今年6月にリリースされた1stアルバム「傾向と対策」。
そのファイナル公演となったワンマンライブの最初のMCで石井卓(V&G)はこう話した。
「今日のライブはアルバムのおさらいでもあり、Jeeptaのおさらいでもあると思ってます」。
その言葉どおり、この日のライブで彼らは結成5年目の集大成とでも言うべきステージを展開した。
オープニング、メンバー全員がしっかりと目を合わせ、最初の轟音を放つ。その瞬間、会場の中に凄まじいまでの緊張感が生まれる。
そこからはもう、独創性の大爆発。強烈なへビィネスと豪快なグルーヴをたたえたバンド・アンサンブル、変拍子とトリッキーなコードワークを混ぜ合わせたアレンジメント、そして、生きることの本質にしっかりと目を向けた哲学的とも言えるリリックがひとつになるという、他のバンドでは絶対にあり得ない音楽的光景が目の前に立ち上がってくるのだ。
約40本に及んだ今回のツアーによって彼らのなかには、“自分たちのやりたいことを貫けば、それがロックのど真ん中を打ち抜くはずだ”という絶対的な信念が生まれつつある。4人の確信的なステージングを見ていると、そのことがはっきりと伝わってくる。
個人的にもっともインパクトを受けたのは、choroのギタープレイ。まったく予想もしない角度からアプローチすることで、楽曲の世界観に豊かなイマジネーションを与える彼のギターはまちがいなく、Jeeptaのオリジナリティを支えていると思う。
SET LIST
1. 日々無情
2. 心
3、sorry
~MC~
4. Loop
5. フレグランス
6. my way home
~MC~
7. human
8. 六法全書
9. 130
10. 虹
~MC~
11. 向こう(新曲)
12. 進化論
~MC~
13. 旅路
14. アナログ時計
15. 二面体ハッピーエンド
16. CONTINUE
17. 四季、是、色
~MC~
18. 傾向と対策
19. シナリオ
20. リコール
EN1. 冬の歌
EN2. 夢に見たこと
ライブ中盤では、新曲「向こう」を初披露。直接は見えない部分、物事の向こう側へと意識を広げることによって、新しい繋がりが生まれるはずだ。
そんなメッセージを美しいメロディとともに響かせるこの曲は、今回のツアーに導かれた新しい可能性に他ならない。
その直後、「僕たちが音を鳴らす、テーマのような曲」というMCとともに演奏されたバラード「進化論」と合わせて、Jeeptaの本質がずっしりと響いてくる瞬間だったと思う。
また、ライブ後半で演奏された「四季、是、色」も強く印象に残った。どこか日本的な情緒を漂わせつつ、人間が持つ複雑で多面的なエモーションをしっかりと映し出す。
言うまでもなく、そんな楽曲を奏でられるバンドは他にない。
圧倒的な個性とロックバンドとしての高揚感をバランスよく表現、さらなる成長ぶりを力強く示したJeepta。
結成以来、活動をともにしてきたドラマーの脱退という大きなポイントを経て、彼らがどう変わり、どう進化していくのか。どうやらこのバンドのポテンシャルは、飛躍的に向上しつつあるようだ。
●REPORT by 森 朋之