webDI:GA LIVE REPORT

ASIAN KUNG-FU GENERATION
2012.3.14 up

共に前を向いて歩いて行くための、"今"に響くアジカンの歌

これが今のアジカン――と、強く感じた。
ライヴの最中の空気がじつに引き締まっていて、演奏の緊張感が高かった。1曲1曲がグサリと、私の内臓に深く刺さり、時には胃袋がつかまれるぐらいの感覚があった。
ベスト盤『BEST HIT AKG』にならったライヴだからこその曲達に、オーディエンスの興奮もやまなかった。しかし、いわゆるお祭り騒ぎのようなライヴとは違う。ステージから放たれていたバンドの気構えは、非常に硬質だった。


後藤正文(Vo&G)
高い緊張感の理由には、プレイが研ぎ澄まされていたことがあるだろう。高度な構成の楽曲を持つアジカンが、ギター・バンドとしての最高の演奏を堂々と見せた、そんなライヴであったことも事実である。その最大の要因としては、これが昨年の震災以降に彼らが行う初のツアーということが大きいはずだ。当日の会場では、被災地の「自立支援プロジェクト 」のグッズが売られたり、「東北ライブハウス大作戦」のブースが設営されるなど、いつもとは異なる雰囲気があった。今回、高校生以下はチケット代のキャッシュバックを当日受けられたのだが、そのお金を支援のための募金箱に入れていった若い子も多かったようだ。また、ステージ演出用の数十のTVモニターは再生可能エネルギーで稼働していたという。かねてからエネルギー問題に関心を寄せていた後藤正文は、震災後、その意識をさらに強めている。


喜多建介(G&Vo)

伊地知潔(Dr)
セットリストは先ほどのベストからの選曲に加え、後藤が考えた架空のベスト盤である『骨盤』と『 芋盤』からも多く配されていた。わけても「真冬のダンス」(2006年作『ファンクラブ』収録)は当初の予定にはなく、急遽アンコールで追加されたという。またMCで、いくつかの曲ではオリジナルと歌詞を替えて唄っていることに触れ、たとえば「夜のコール」(2009年のNANO-MUGENコンピ盤に収録)の<全てが行き詰まって/そんな時代になった/音楽は既に在って/僕たちは何を歌うの?>という箇所は<こんな時代になった>としていたことを明かした。


山田貴洋(B&Vo)
そしてアンコールで披露された新曲「踵で愛を打ち鳴らせ」(4月11日発売シングル)は、こうしたシリアスな状況でもアジカンは前を向いて歩いていくことを唄っており、そのことが何よりも素晴らしく、それでこそこの時代を代表するロック・バンドの姿だと確信した。終演後のメンバーの話によると、アンコールで演奏した楽曲2連発でのお客さんのハジけっぷりにものすごく感動したそうだ。ヒストリーをたどりながらも、それ以上に現在の彼らが如実に表れた、充実感いっぱいのライヴ。すでに制作が進んでいる次のアルバムの完成を心して待ちたいと思う。

●Report by 青木優
●Photo by TEPPEI
M1. 迷子犬と雨のビート
M2. Re:Re:
M3. アンダースタンド
M4. 君の街まで
M5. 夜のコール
M6. アフターダーク
M7. 或る街の群青
M8. ブラックアウト
M9. サイレン
M10. ソラニン
M11. 月光
M12. マーチングバンド
M13. 惑星
M14. 融雪
M15. 藤沢ルーザー
M16. リライト
M17. ループ&ループ
M18. 君という花
M19. さよならロストジェネレイション
M20. 転がる岩、君に朝が降る
M21. 海岸通り
--ENCORE--
En1. 踵で愛を打ち鳴らせ
En2. 真冬のダンス
En3. ワールド ワールド ワールド/新しい世界
W En1. 遥か彼方
W En2. 羅針盤




INFORMATION

■RELEASE

初のベスト・アルバム
『BEST HIT AKG』
 (Ki/oon Records)
●NOW ON SALE
ニューシングル
「踵で愛を打ち鳴らせ」
 (Ki/oon Records)
●4/11(水) ON SALE


■OFFICIAL HOMEPAGE
www.asiankung-fu.com
 


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