IKE(Vo.)
メジャーデビューから1年半の時を経て、ついに実現した全国13か所をめぐる大規模ツアー。そのファイナル・赤坂BLITZ2DAYSの初日は、「トーキョー、盛り上がっていこうぜ!」というIKEのワイルドな叫びから始まった。まずは「Crazy」「Last Moment」と、強烈な四つ打ちの爆音ヘヴィロックで幕をあけると、「感情ディスコード」ではメンバーとオーディエンスが一体となったヘッド・バンギングが飛び出し、「OVER」ではスモークが発射され、会場内は異様な熱気に包まれる。いつものことながら、SPYAIRのライブは1曲目から手加減なしの全力疾走だ。
「誰もケガしないように、最後まで楽しくね!」
UZ(G.)
IKEの短いMCのあと、デビュー曲「LIAR」に続くMOMIKENの極太ベースソロをはさんで、ファンキーな「Come on」から「Beautiful」までを一気にやりきって、ここでようやく小休止。KENTAが「どこから来たの?」と客席に語りかけると、東京近郊以外からも地元・名古屋、あるいは東北の仙台、そして最も遠くから来たのは中国からの留学生という、様々な声が挙がったことからも、この1年半のSPYAIRへの支持の広がりが感じ取れる。
MOMIKEN(B.)
KENTA(Dr.)
「今見てるこの景色、マジで最高です」
IKEがかみしめるように語った言葉はそのまま、「BEAUTIFUL DAYS」のあとのMCにも引き継がれる。SPYAIRが始まった場所、名古屋・栄の路上ライブの思い出を語ったあと、足を止める人が誰もいなかった時代があったからこそ「今のこの景色が最高です」という言葉を繰り返す、その言葉がメンバー全員の気持ちを代弁している。当時を再現するようにアコースティック編成で演奏された「Stay together」と、IKEとUZのアコギのみで歌われたラブソング「I miss you」は、バンド結成以来の万感の思いがこもっていて、ひときわ胸にグッとくるものがあった。
と、ここでまたシーンは一変し、今度はENZEL☆による恒例のエンタテインメント・タイム。コール&レスポンスやお揃いの振り付けで盛り上げると、そのままKENTAのドラムソロ→MOMIKENとUZとのセッションへとつなげて、「STRONG」からライブの後半がスタート。「このツアーのために新曲持ってきました!」というIKEの紹介で演奏された「Break Myself」は、SPYAIRの得意とする速く重くメロディアスなロックナンバーで、初めて聴くにも関わらず、オーディエンスは一人残らず手を振り上げて飛び跳ねる。さらに「Dead Coaster」「INCOMPLETE」「ジャパニケーション」と、会場全体が熱気のカタマリとなって一気に駆け抜ける。残すはあと1曲だ。ここでIKEが静かにマイクの前に立つと、重大発表を口にした。
ENZEL☆(DJ)
「12月18日、日本武道館のステージに立ちます。人は夢を持って進んでいかなきゃ駄目だと思うんです。みんなで一緒に夢を見よう。ついてきてくれますか!?」
バンドが放つ爆音にも負けない大歓声が、その問いに対する答えだ。さらに本編ラストに「My World」を、そしてアンコールではまたも新曲「Rock’n Roll」と、「サムライハート(Some Like It Hot!!)」「SINGING」を歌いきって、爆音と熱気、胸揺さぶる歌とメッセージに満ちた、2時間を超えるライブは幕を閉じた。
路上から始まり、ライブハウス、全国ツアーを経て、ついに武道館を照準にとらえたSPYAIRの果てしなき前進。そこに夢がある限り、彼らの勢いが止まることはないだろう。(編集部)