PLAGUES・深沼元昭の「ミュージシャン宣言」。3ピースの醍醐味を改めて感じる作品制作、ツアーへの高揚感を語る。

インタビュー | 2017.02.01 18:00

PLAGUES

インタビュー/兼田達矢

──ニュー・アルバム『Free will』には2つの側面があるように思います。ひとつは、PLAGUESというキャリアのあるバンドの新しいアルバムという位置付けで、もうひとつは林(幸治)さんが入った新体制での2ndアルバムという面もあると思うんですが、いかがですか。

深沼元昭 そうですね。確かに、そういう2つの面があると思います。

──その2つの側面は、深沼さんのなかではどんな具合に意識されているんですか。

深沼 リテイク・ベストが2枚とオリジナル・アルバムを1枚レコーディングしましたから、林くんが入ってからの作品としては今回の新作が4枚目になるんですけど、オリジナル・アルバムとしては2枚目ですから、単純に2ndアルバムを作ったときの心境にすごく似てる感じがしますよ。
前作は、普通の1stアルバムと同じようにそれまでの勢いというか、再始動に対するみなさんからのご祝儀的な反応も含め、その盛り上がりのなかで作ったところもありましたけど、今回はそういう状況ではないですからね。2ndアルバム的な感覚というか、もうすでに現存していて普通にずっと活動しているバンドが自分たちの音楽性やメッセージ、目指しているものをしっかり示す作品にしないといけないという意識はすごくありました。
もうひとつ、ミュージシャンの人たちはみんなそうだと思いますが、東日本大震災の後、音楽をやって生きていくということにもう一度自覚的にならざるを得ない精神状態になって、そういう言ってみれば外的な要因に促されて気合で作ったのが前作だったように思うんです。
だから、多少の力みというか、“こういうタイミングでこういう作品を作らなければいけない”という気負いみたいなものもあったと思うんですよね。でも、今回は元々あったPLAGUESというバンドがまたアルバムを作るという、より自然な状態で制作に入ったということもすごく大きいと思います。

前はいろんな外的な要因に影響されている部分も多かったと思うんですが、今回はすごくプレーンな状態で向き合ったアルバムだなあという感じがします。

──確かに、この新作から聞こえてくる音楽はいかにも深沼さんらしいギターが鳴って、そこからサウンドが組み上がっているという印象の、自然なというか、PLAGUESらしい作品ですよね。

深沼 前は、「再始動しました」「震災がありました」というような、いろんな外的な要因に影響されている部分も多かったと思うんですが、今回は自分たちが曲を作って、それをレコーディングして、アルバムを作るということに、すごくプレーンな状態で向き合ったアルバムだなあという感じがします。

──その「プレーンな状態で向き合う」ことはあらかじめ意識されていたことですか。それとも、結果的にそうなった感じですか。

深沼 “そろそろPLAGUESのアルバムを作らないとな”という気持ちはあったし、“このあたりでアルバムを作って、この時期にツアーをやって”みたいなことはいろいろ考えてはいたんですけど、それでも他の仕事もあったりして、今回のアルバムの曲というのはほぼ2、3ヶ月で書いてるんです。ものすごく短期間なんですよ。そういう意味でデビュー直後の状況に近い感じだったと思うんです。
デビュー・アルバムで全部吐き出して、2ndアルバムを作らなきゃいけなかった時期も多分、これくらい時間がなかったんですよ。本当に、一気に書き上げるというか、アルバムを作曲するというくらいの気持ちだったんです。

──ということは、深沼さんが言われた「プレーンな状態」というのは、そうした物理的な状況の産物だったわけですか。

深沼 基本的にはそういうことですけど、ただ僕自身がそうなるように仕向けていたところもあるんですよね。PLAGUES用に曲をちょこちょこ書きためるということをしないで、“ここから何ヶ月間は、他の仕事をせずにPLAGUESのソングライターとして集中してやろう”という気持ちはあったと思います。

──それは、そういうふうに集中してやったほうがいい結果になるというイメージがあったからでしょうか。

深沼 クオリティーを考えれば、書きためていくやり方のほうがいいと思うんです。書いたものを聴き直す時間があるし、そうすると“ここの部分は生かして、他のところは作り直そう”とか、もっとプロ的にやれたと思うんです。
でも、PLAGUESはそういうやり方じゃないような気がするんですよ。PLAGUESというのは青春のバンドなんです。最初は友達から始まったものがお互い仕事仲間になっていくというか、みんなそれで初めてプロになるわけじゃないですか。それ以降に出会った人たちは、出会った最初からみんなプロなんですよね。
僕にとっては、PLAGUESだけが、友達だったみんながプロ・ミュージシャンになっていったバンドなんです。そこにある気持ちというのは、もう二度と他では味わえないと思うんですよね。で、そういうバンドのアルバムを作ると、やっぱり毎回そういう気持ちになるんですよ。それに対して、しっかり曲を書きためていくようなアプローチはとらないほうがいいんじゃないかなという感じはありましたね。

──そういうふうに自然体で集中して作ったということであれば、歌詞にはいよいよその制作時期の深沼さんの心情がストレートに表れているんじゃないかと思うんですが、歌詞の内容に関して印象的なのは吹っ切れた感というか、「Fool on the freeway」の歌詞に倣えば「夢の輪郭を追いかけていくしかないんだから」という意識がアルバムの基調を成しているように感じました。

深沼 もうミュージシャンとしてやっていくしかないというか…。ミュージシャンというのは誰も知ってる通り決して安定した職業ではないし、昨今は業界全体がそんなに景気が良いわけでもないですけど、それでもやっぱり音楽を作ってると楽しいし、出来上がると“これしかない!”と毎回思うんですよ。だから、もうしょうがないっていうか(笑)、いい意味で自分のなかに潔さが生まれたように感じてるんです。よっぽど音楽が好きなんだなとしか思えないんですよ、ここまでくると。
しかも、まだ若手気分というか、まだまだこれからやりたいことがいっぱいあるし。20歳の頃には、30過ぎまでやれれば十分でしょと思ってたし、それにその頃までやれば絶対飽きてるだろうと思ってたんですけど、それは間違いでした(笑)。だから、今回のアルバムはこれしかないっていうある種のミュージシャン宣言でもあるような気がします。
 

1 2

“Free will” release one-man tour 2017

3月4日(土)名古屋・池下CLUB UPSET
3月5日(日)大阪・心斎橋Live House Pangea
3月11日(土)渋谷CLUB QUATTRO
NOW ON SALE
【Musicians】Vo&Gt:深沼元昭、Dr:後藤敏昭、
Ba:林 幸治 (from TRICERATOPS)、Key&Gt:堀江博久

>>>詳細はオフィシャルサイトにてご確認ください。

ディスクガレージ先着受付

お申し込みはこちら
受付公演:3月11日(土)渋谷CLUB QUATTRO
受付期間:受付中~2月28日(火)23:00
※規定枚数になり次第終了

関連リンク

RELEASE

NEW ALBUM「Free will」
(SPACE SHOWER MUSIC)
NOW ON SALE
※CD2枚組