世良公則 “40年間コンティニューし続けている” 変わらぬロック・スピリッツと変化や進化を続けることの凄み。JET ROXとのツアーも!

インタビュー | 2017.06.02 12:00

世良公則

インタビュー/フジジュン

──デビュー40周年を迎える世良さん。ツイスト時代から時系列順に曲を聴いていくと、時代に沿った進化や変化をいまも続けていて。芯はブレず、現代の音楽も取り入れていく姿勢に驚嘆しました。

僕は40年間、ずっとコンティニューし続けていて。売れる売れないでなく、「いま思うことをいまやる」という姿勢で自分にとっての価値を求めて音楽をやり続けてきたんだけど。世間にはどうしても“あの世良公則”というものがあって、“「あんたのバラード」や「銃爪」が聴きたい”になってしまうんです。仕事だったり、家庭だったりとそれぞれに事情があって、“あの頃の世良”で止まってしまっている。それも分かるし、大事にしてあげたいんだけど。その上で現在の曲をやった時、「うわ、すごい!」と思って受け入れてくれたら20年の空白も相殺されて、現在の僕とシンクロ出来る瞬間があると思うんです。だから僕の大きな仕事として、「あの時の世良は凄かったよね」も大事にしてあげながら、若い子から年配の方、そして空白の20年を持ってしまったあの頃のロックキッズと同じ空間を共有して。最後は大合唱でひとつになって、「生涯、音楽ファンを続けて下さい」とメッセージを届けるというのがあるんです。

僕の夢は22歳でデビューした時から、日本のロックを浸透させること

──進化や変化を続けているからこそ、当時のファンはもちろん若者の心にもダイレクトに響くものがあると思いました。

僕の夢は22歳でデビューした時から、日本のロックを浸透させることで。当時はテレビに出た時も「あんなのロックじゃねぇ」と言われたり、日本語で歌ったら「ロック・ミュージシャンはもっとアメリカナイズされて、英語もペラペラじゃなきゃいけない」と言われてきたんですが。評論家にも嫌われながら、「アメリカのミュージシャンはアメリカの英語で歌っていて、イギリスのミュージシャンはイギリスの英語で歌っている。だったら僕らは日本語で歌って、母国語のロックを目指せば良い」と言い続けてきたし、「20年30年経って、“世良さんのロックを聴いて育ったんですよ”という世代がプロになって、日本語でロックするようになったら、世の中変わるんじゃないの?」と信じてきて。あれから40年経った現在もそれは思っているし、今もまだ変化の途中だと思っているんです。

──しばらくライブに行けていなかったファンや世良さんのライブを未体験の人にも、JET ROXでの東名阪ツアーや40周年記念ライブはとても良い機会になりますね。

そうですね。そこでずっと応援してくれてた人もいれば、ドラマに出てる僕を見て知ってくれた世代もいて。この間のライブも女子高生が来てくれて。「“Days”が大好きだ」と、現在の世良を見て好きだと言ってくれているので、「君、カッコいいな!」と思わず言っちゃいましたけど(笑)。40年前、世代も性別も職業も超えて、日本にもロックというカルチャーが根付けばと思って、ロックを始めて。カルチャーとしてはまだ発展途中だけど、ロックは若い人だけの音楽じゃなくなっているし、ベテランだって渋い音楽ばかりをやってるわけじゃない。実際、僕も年齢も関係なしにハジけられてるし、年とともにエネルギーが育っていってるのを感じますし。「私、もうおばさんだから」なんて言う人もいますけど、ロックはちゃんと若い人も年配の人も魅力的に輝く音楽に育ってると思うんです。

──僕は世良さんの曲で「少年」がすごく好きで。おじさんになった自分を歌詞に重ね合わせて、熱い気持ちで聴いていました。

僕の中では昔と今とが別個ではなくて、自分がコンティニューし続けている限りは全部繋がってると思ってるんです。30代の頃はツイストの曲に抵抗がある時期もあったんですが、そんな時期もあったから今、ツイスト時代の曲を歌うことに何も抵抗ないし。逆に「アイノウタ」のような「いま、これを伝えたいんだ。いま、この言葉が刺さらなきゃ嘘だ」って曲は、「あんたのバラード」の<あんたに>が刺さるのと同じ気持ちでやれてるのが自分の中で面白いなと思って。40年前に「あんたのバラード」で鳥肌を立ててくれた若者と、今の若者の感覚はそんなに変わらないと思うし、そこに時代や時空を超えるエネルギーもあると思うし。それは40年間続けて来てるからこそ感じる超越感だったりするし、そこで再びコンティニューすることでまたこの先が見えてくるし。40年歌い続けてきたからこそ分かることというのも、やっぱりありますね。

僕は覚悟を決めて歌っているから、大事なのはそれをお客さんがどう聴くか

──そういった気持ちで歌っていると、ツイスト時代の曲も当時とは全く違った気持ちで歌えていると思うんですが。改めて、新鮮さを感じたりすることもあるんですか?

どうなんだろう?歌に対する変化という意味では、聴く人に全部を委ねることが出来るようになりましたね。例えば、「銃爪」を歌う時、最高のコンディションの「銃爪」を歌うんです。ギターを弾くなら、最高のギターソロを弾きたいし、よっちゃん(野村義男)に任せる時は気持ちよく弾けるように盛り上げたり、フルのエネルギーであらん限りの力で演る。大事なのは僕がどんな気持ちで歌うかよりも、それをお客さんがどう聴くか?ということで。そこには何年ぶりに見る人もいれば、初めて見る人もいるけれど、どの軸にいようとも、その人が感じた「銃爪」が全てだと思ってるんです。「年取ったな」「老けたね」と思う人もいれば、「元気だね」「最高だな」と思う人もいて、そこはどう捉えられて良いんです。僕は覚悟を決めて歌っているから、聴き手に委ねることが出来るし、そこには初期衝動もその時に大事なことも、それまで勉強してきたこともこれからの未来に託していることも、全部含めて届けることが出来ると信じているんです。

──覚悟を決めるというところでは、公式ページのインタビューで30代から40代になる時に自己改革をして、一人で生きる覚悟を決めたと語ってますが。あの頃がなかったら、今の世良さんは無い?

無いでしょうね。40代になったら、自分のスタイルは変えられない。でも、30代だったら自分を捨てることが出来ると思って。人が世良に求めていること、期待していることを一回切り捨てて、「本当にあなたは音楽をしたいんですか?」とか、「何になりたいんですか?」と自問自答した時、「良いミュージシャンになりたい」と単純に思ったんです。そこで中学の時に親戚のお兄ちゃんからクラッシックギターをもらって、弦を張って。<はじめて覚えた“C”のコード それはもうひどい響きだった>という歌詞(「1977」)もあるけど、その衝動みたいな物を30代の終わりにもう一度強く意識することが出来て。「たった一人でも音楽がやりたい。ギター一本あれば、俺は人と勝負出来る」と思って、ギター一本だけ持ってロスに行って、アメリカのミュージシャンに聴かせてセッションでレコーディングしたりして。まだまだこれからなんだろうけど、人に託していくための勇気や覚悟みたいなものはそこで作れましたよね。

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世良公則 x JET ROX TOUR 2017

6月23日(金) 東京・赤坂BLITZ
7月14日(金) 愛知・名古屋ダイアモンドホール
7月16日(日) 大阪・なんばhatch
Vo. 世良公則《JET ROX》Key. 神本宗幸(ex.TWIST) / Gt. 松本タカヒロ / B. 小島剛広 / Dr. 國分建臣

世良公則 デビュー40周年記念スペシャルライブ「ReBORN」~タダイキヌクベシ~大阪野音

10月14日(土) 大阪城野外音楽堂
[スペシャルゲスト]斉藤和義 / 宮田和弥〈JUN SKY WALKER(S)〉 / and more...
[参加ミュージシャン]GUILD9:Gt.野村義男 / B.櫻井哲夫〈ex.カシオペア〉 / Dr.横瀬卓哉 / Key.神本宗幸〈ex.ツイスト〉

世良公則 Knock・Knock 2017 with 宇崎竜童

8月12日(土) 東京・よみうり大手町ホール
8月27日(日) 福岡・小郡市文化会館
9月18日(月・祝) 北海道・登別市民会館
10月28日(土) 茨城・常陸大宮市文化センター

世良公則ソロ・アコースティックライブ O-kiraku LIVE 2017

7月1日(土) 東京・秋川キララホール
7月8日(土) 千葉・千葉市民会館
7月23日(日) 栃木・那須野が原ハーモニーホール

≫ 詳細はオフィシャルサイトにてご確認ください。

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