ハルカトミユキ ロングインタビュー。アルバム『溜息の断面図』6/28リリース!!3年連続の野音公演も。

インタビュー | 2017.06.28 12:00

ハルカトミユキ

インタビュー/森 朋之

前作『LOVELESS/ARTLESS』から約10カ月、ハルカトミユキから早くもニューアルバム『溜息の断面図』が届けられた。既にライブで披露されている「終わりの始まり」「嵐の舟」を含む本作は、ハルカ、ミユキのコンポーザーとしてのセンスがしっかりと発揮されると同時に、葛藤、不安、鬱屈といった負の感情を乗り越えようとする意志が提示された充実作となった。9月2日(土)には3年連続となる日比谷野外大音楽堂ワンマンライブも決定。新たなピークへ向かい始めたふたりに聞いた。

 

──ニューアルバム『溜息の断面図』がリリースされます。前作『LOVELESS/ARTLESS』から約10カ月というハイペースですね。

ハルカ(Vo,Gt) がんばって作りました(笑)。最初は10曲くらいのアルバムにしようと思っていたんですけど、最終的に12曲収録して。ほぼ全部書き下ろしです。

──素晴らしい。前作のリリース以降は、アコースティック編成の全都道府県ツアー、バンド編成のツアー、日比谷野外大音楽堂のワンマンライブ、今年2月の5周年ツアーなど、ライブ重視の活動が続いていましたよね。

ミユキ(Key,Cho) 2月のツアーは、ハルカが曲の前に朗読をしたり、私がショルダーキーボードを持ってかけずり回ったり、お互いの個性を主張できたライブになったと思います。お客さんも私たちのライブの二面性を楽しんでいた感触がありましたね。47都道府県ツアーを経験したことで前作の曲ができたのと同様、5周年ツアーをやったことで、結成当時に持っていた攻めの感情を思い出すきっかけにもなり、それは確実に今作のヒントになりました。

ハルカ いつもそうなんですけど、ライブやっていると曲を作りたくなるんですよね。自分のなかで変化が起きて、書きたいことが蓄積されるというか…。ただ、去年はなかなか制作のモードになれなかったんです。5周年のツアーのときに“新曲をやりたいね”って言ってたんですけど、何を書いていいかわからなくて。そのときはミユキが作曲した曲(「終わりの始まり」)をやったんです。言葉を書き貯めることはしていたんですけど、アルバムの制作に入ってからも“どうしよう、曲作り”という感じだったんです。

──ミユキさんはどんなモードだったんですか?

ミユキ 5周年を迎えて、攻めた姿勢を見せたいと漠然と思いながら制作を始めました。前作は私にとってターニングポイントになった作品だと思っているんですが、今回はそこからさらにアップデートした楽曲を作りたくて。前作ではハルカが私の曲に言葉を乗せるときに、何を歌ったらよいかわからないという苦労をさせてしまったので、今回はもっとハルカトミユキの軸に寄り添ったものを作ろうと思ってました。そのことによって今作の楽曲は、どれも私たちにとって大切な“怒り”を感じられるものになったと思っています。

ハルカ 前作もミユキが半分くらい作曲していたんですけど、そこですごく変化があったと思っていて。もともと音楽的なセンスはあったんだけど、その出し方がわかってなかった気もするんです。でも、前作で“ハルカトミユキとして書くべき曲”を掴んだと思うし、その後もどんどん曲を書くようになって。そのおかげでハルカトミユキの音楽もすごく広がったんですよね。

 

■『終わりの始まり』 (from 3rd AL『溜息の断面図』)  

 

──ハルカさんが“何を書けばいいかわからない”という状態を脱したきっかけは何だったんですか?

ハルカ アルバムに向けた曲を書き始めた当初は、ぜんぜんしっくり来る曲が書けなかったんです。打ち込みを使ったり、ギターを弾きながら作ったり、いろんなやり方を試していたんですが、ちょっと頭で考え過ぎていたというか。“もっと明るい曲を書こう”みたいなことを計算していたところもあるし、自分のテンションも上がらなくて。そのときにプロデューサーの野村陽一郎さんが“考え過ぎないほうがいい。暗い曲だけでもいいから、どんどん書いてみたら”って言ってくれて。その言葉で吹っ切れたんですよね。“暗い曲しか作れなくてもいいのか”って思ったら、スラスラ書けるようになってきて。アコギを弾いて思い付いたことを歌いながら作っていたんですけど、自分のクセとかも排除せず、許してあげながら書いてましたね。

──実際、そのときに作ったのは暗い曲が多かったんですか?

ハルカ そうかも(笑)。暗いというか重いというか、そういう曲が多かったかな。そのときは“私が好きならそれでいい”っていう感じだったんですけどね

──確かに「わらべうた」「Stand Up, Baby」あたりはダークな手触りですよね。一方で「インスタントラブ」のようなポップに振り切った曲もあって。

ミユキ 「インスタントラブ」は、アルバム制作が始まって一番最初に、夜中のハイなときに作りました。大好きな80’sを感じる曲を作って、ライブのときにみんなで楽しく踊れたらいいなって。どんなに明るい曲を作っても歌詞でハルカがブチ壊してくるし、すごく書いてて楽しいんだろうなというのが伝わってくるので、こういう楽曲の制作はとても楽しいですね。

ハルカ 「インスタントラブ」の作曲はミユキなんですけど、こういうポップな曲にハッピーな歌詞を乗せずに、ちょっとヒネくれたことを書くのが好きなんですよ。この曲が出来たことで、ミユキが持ってるポップさはやっぱり必要だなって改めて思いましたね。ミユキは一見フワッとしていて、“ポップな曲が好きなんです”って普通に言っちゃうんですけど、じつはすごくアナーキーな部分も持っていて。ポップなところとアナーキーな部分を合わせもっているところが、表面的には正反対だけど、私とも近いんだろうなと思います。たぶんミユキは自覚してないだろうけど、そういう性格は彼女が作る音にも自然と出てる気がしますね。

ミユキ 確かにそういう部分は私のどこかに潜んでいて、ハルカから常に求められてることだとも感じてます。“怖いもの知らずで、無敵な感覚のことかな”と思ってるんですけど、そういう部分を曲やライブで出せば出すほどハルカトミユキの幅がどんどん広がって、おもしろいものができると思うので。ただ、少し頭で計算してこの感覚を出そうとすると“つまらない”と言われるので、スイッチをまだ自分では操れていないんです。

 

■ 『わらべうた』 (from 3rd AL『溜息の断面図』)   

 

──アルバムの最後に入っている「種を蒔く人」も印象的でした。タイトルからもメロディからも、希望のようなものがしっかりと伝わってきて。

ハルカ “種を蒔く”という行為自体が希望の象徴だと思うんですよね。どんな花が咲くのか、何が収穫できるのかわからなくても、未来があることを信じているから種を蒔くわけで。そういう曲をアルバムの最後に入れたかったんですよ。最終的には光を感じてほしいなって…。それはまぶしい光ではなくて、たぶん淡い光なんですけど、そこには浄化してあげられるような力があると思っているので。

──鬱屈した空気、先がまったく見えないムードが蔓延しているし、浄化を求めてる人も多いでしょうからね。

ハルカ 今回のアルバムのなかには“許し”というテーマもあると思っていて。私は考え過ぎるところがあるし、気にしなくていいことを真に受けたり、自分がしてきたことに罪悪感を抱えながら生きてるところもあるんだけど──たぶん、そういう人がハルカトミユキの音楽を聴いてくれてるんですよね──そういう自分を認めて、許してあげることも生きていくための方法だなと思うようになりました。自分の汚さ、弱さを許すというか…。

──そういう感覚はいままで持ったことがなかったんですか?

ハルカ なかったですね。自分の内面と向き合いながら、それを曝け出して、突きつけるところで終わっていたので。言葉にするだけで救われるんですけど、その先に進んで“それでいいんだよ”って言ってあげられるだけの強さが持てなかったので。今回のアルバムでは、それが出来たかもしれないですね。

 

■『WILL(Ending Note)』 (from 3rd AL『溜息の断面図』)   

 

──そういう表現に辿り着いたのは、何かきっかけがあったんですか?

ハルカ 曲を書きながら、ですね。3曲目の「Sunny, Cloudy」の歌詞を書いたことも大きかったです。この歌詞はいちばん等身大で、ノンフィクションに近いんですけど、書いてるときに“もがいて、苦しんでいる自分の気持ちを捨ててしまってもいいのかも”と思って。「世界」「光れ」の続きみたいな感じで作っていたんですが、その2曲も、もがきながら進んでいくような歌で。「Sunny, Cloudy」でやっと、さらに先に行けたと思います。自分を責める気持ちをいったん、横に置いておくことも必要だなと気付けました。

──ミユキさんは、ハルカさんの歌詞の変化についてどう感じてますか?

ミユキ 制作の中で、ハルカから出て来るものが明らかに変わった瞬間があったんです。何がハルカをここまで変化させたのか、気になって仕方がなかったですね。今作は同じようなメロディが続く曲もあるので、歌の表現もかなり重要で。その部分に関しても、言葉とともに怖いと思うくらい鋭さを増したと感じています。

 

■『Stand Up, Baby』 (from 3rd AL『溜息の断面図』) 

 

──6月下旬にはtacica、peridots、きのこ帝国を招いたレコ発3daysライブを開催。さらに「OTODAMA SEA STUDIO」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」などの夏フェスに出演。フェスって好きですか?

ハルカ アウェイの状況は大好きですね(笑)。それは結成当初の精神性に近いんですけど、自分たちのことを誰も知っている人がいない、誰からも求められていないという環境も好きだし、“おまえらにわかってたまるか”という精神もいまだにあるので。だから、ワンマンをやるようになった頃、ちょっと戸惑ったんです。睨み付けたり、突き放すことで表現してきたから、求められてる状況でどうしたらいいかわからなくて。いまは自然にやれてますけどね。対バンも好きです。“タイマン”みたいな感じで(笑)。特に6月のレコ発は、個人的にも好きな人たちを呼ばせてもらいました。

──そして9月2日(土)には日比谷野外大音楽堂のワンマンライブも。野音のワンマンは3年連続ですね。

ハルカ ちょっと意外に思われるかもしれないですけど、野音が好きなんです。野外なんですけど、そこまで開放感がないというか、ちょっと哀愁があるような気がして。アルバムの新しい曲はこれからライブで育っていくだろうし、いまは“どう表現しようか”と考えているところです。それを野音でも見せられたらいいですね。

ミユキ 攻め切ったアルバムが出来たことで、より一人一人の心に突き刺さるライブを見せられるのではないかと思っています。私も自由に踊るので、ぜひみんなも好きなように踊って発散して、前を向いてもらえたら嬉しいです!待ってます!

 

6/28公開!第5弾 Music Video
■ 『宝物』 (from 3rd AL『溜息の断面図』)   

→ハルカトミユキ 3rd AL『溜息の断面図』特設サイト

 

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+5th Anniversary SPECIAL

9月2日(土) 日比谷野外大音楽堂
開場 17:15 / 開演 18:00

チケット NOW ON SALE !!

※発売は各プレイガイド他、このページ下部でもインターネット受付実施中!

アルバム レコ発 3days

1st day 06.28 SHIBUYA WWW X with tacica
6月28日(水) SHIBUYA WWW X
開場 18:30/開演 19:00
LIVE:tacica、ハルカトミユキ

2nd day 06.29 SHIBUYA WWW with peridots
6月29日(木) SHIBUYA WWW
開場 18:30/開演 19:00
LIVE:peridots with 河野圭・横山竜一、ハルカトミユキ

3rd day 06.30 SHIBUYA CLUB QUATTRO with きのこ帝国
6月30日(金) SHIBUYA CLUB QUATTRO
開場 18:15/開演 19:00
LIVE:きのこ帝国、ハルカトミユキ
>>>各公演の詳細はこちら

EVENTS

rockin'on presents ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)
★ハルカトミユキは8月12日(土)17:55〜HILL SIDE STAGEに出演予定!

OTODAMA SEA STUDIO 2017〜BEACH MUSIC 2017〜
7月15日(土) OTODAMA SEA STUDIO (神奈川県・三浦海岸)

「+5th Anniversary SPECIAL」ディスクガレージ受付

お申し込みはこちら
受付期間:受付中~ 2017年8月3日(木) 23:00

関連リンク

RELEASE

3rd ALBUM『溜息の断面図』
NOW ON SALE
※初回盤【CD2枚組】、通常盤 の2TYPE