岸田教団&THE明星ロケッツ 結成10年、Vo. ichigoがバンドやライブに対する意識の変化、夏ツアーからはじまる新たなストーリー

インタビュー | 2017.07.01 12:00

岸田教団&THE明星ロケッツ

インタビュー/森 朋之

今年3月に3rdアルバム「LIVE YOUR LIFE」、5月には同人盤(東方アレンジ)「ANCIENT FLOWER」をリリース。夏には東名阪のワンマンツアーを開催するなど精力的な動きを続けている岸田教団&THE明星ロケッツ。結成10年目を迎えてさらに活動の幅を広げているバンドの現状について、Vocalのichigoに聞いた。

ここ2年くらいで、思っていることをしっかり伝えるべきだなと思うように

──岸田教団&THE明星ロケッツの活動スタートは2007年。10年目を迎え、メンバー同士の関係性、ichigoさんのバンドに対するスタンスも少しずつ変化しているようですね。

そうですね。私はもともとシンガーソングライター志望だったし、岸田(Ba/リーダー)に声をかけられてバンドに参加したときも、最初はバイト感覚だったんですよ。でも、活動を続けていくうちにこの場所がだんだん大事になってきて。岸田教団のお客さんって、すごく優しいし、礼儀正しくていい人たちなんです。こういう人たちが一生懸命に応援してくれてるってことは、いいバンドなのかもしれないって(笑)

──ファンのみなさんにバンドの魅力を教わった?

そうだと思います。“お客さんが好きって言ってる岸田教団はどういうバンドなんだろう?”“お客さんが好きって言ってくれている私は、どういう人なんだろう?”って考えてきたし、自分が思っていることだったり、“こうなりたい”ということもしっかり伝えるべきだなと思うようになって。そういう気持ちになったのは、ここ2年くらいですけどね

──その変化はニューアルバム「LIVE YOUR LIFE」の歌詞にも反映されてますか?

はい。もともとはストーリーを作るように歌詞を書くのが好きだったんです。彼と彼女の物語を私の目線で書いたり、男性の目線から歌ったり。つまりフィクションだったわけですけど、自分のなかに“伝えたい”とか“知ってほしい”と思うことが増えるにつれて、歌詞の内容も変化してきて。自分が書ける歌詞のジャンルがひとつ増えた感じですね。

「LIVE MY LIFE」は初めてお客さんのことを意識して書いた曲なんです。

──特にタイトル曲の「LIVE MY LIFE」はichigoさんのリアルな感情が込められてますよね。

これまでにも“こんなふうに思ってるよ”ということを歌った曲はいくつかあったんですが、『LIVE MY LIFE』は初めてお客さんのことを意識して書いた曲なんです。聴いてくれた人が“私はこれでいいんだ”と思ってくれるような歌にしたくて。出来上がってみると、自分自身を肯定しているというか、“私、これでいいでしょ。これからも応援してね”っていう曲になったんですけどね(笑)

──ベクトルがちょっと変わってしまったと(笑)

はい(笑)。でも、お客さんが応援してくれる力って本当にすごいですからね。“ちょっと好きだな”から一歩踏み込んでライブに来てくれて、少しずつお客さんの数が増えて。そうすると大きな会場でライブが出来るようになるし、演出もカッコよくなっていくっていう。そういう循環がしっかりできているんですよね、いまは。“みんなのおかげで生きていられる”という自覚も持てるようになったし、それを返せるのは楽曲とライブしかないので。

──「希望の歌」「nameless survivor」など、アルバム全体を通してメッセージ性が強い曲が多いのも印象的でした。

それは偶然というか、このアルバムの制作に入るタイミングで、たまたま岸田と私がメッセージ性を曲に込めるようになったんです。ふたりとも、この世界のことを表現しているというか…。それは大きな世界の話ではなくて、日常のことなんですよね。どうしようもないこと、思い通りにいかないことが当たり前にある世界のなかで、どうやって自分のスペースを確保して生きていくかっていう。音楽で世界を変えるみたいなことではなくて、どうしようもない世界のなかで、力のないヤツがどうやって生き延びるか?ということですね。漠然として不安とか“この先どうなるだろう?”という気持ちって、誰にでもあるじゃないですか。あと30年働くのか…とか。

──めちゃくちゃ切実な話ですよね。そのテーマから無縁でいられる人は、ほとんどいないと思います。

そうですよね。楽しく仕事をしていて、趣味があって、仲のいい友達がいれば“これでいいか”って思うかもしれないけど、感情をぶつけられたり、寂しさを打ち明けられる相手が欲しくなることもあるだろうし。『nameless survivor』はまさにそのことを歌っているんです。どうしようもない感情に飲み込まれそうになったときに寄り添える曲になったらいいなって。以前は“そんなことを私が歌ってもしょうがない”と思っていたんですけど、それも少しずつ変わってきて。私って“元気で愉快”みたいなイメージがあるみたいなんですけど——確かにいつも元気なんですけどね(笑)——そういう人が“思うようにいかないときもあるし、孤独を感じることもあるよね”って歌うことに意味があるのかなって。Ichigoでもそんなことを思ってるのかって、ちょっとでも救いになったら嬉しいですね。

──そのモードは岸田さんともリンクしているんですか?

岸田はまた違った捉え方をしていると思います。“この世界をどう生き抜くか?”というテーマは共通しているけど、表現の方法が違うんですよ。岸田は私みたいにセンチメンタルな人ではないし、生きていくことの不安をあまり感じないみたいなんです(笑)。ただ、彼のなかにも“どう生きていくか”というメソッドや哲学があって、それが曲のなかにも出てるんじゃないかなと。“うまくやるコツは やらなくてもいい面倒ごとに首を突っ込まないでいる事”という歌詞があるんですけど…。

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岸田教団&THE明星ロケッツ ワンマンツアー2017 ~LIVE OUR LIFE~

8月4日(金) TSUTAYA O-EAST《東方アレンジ楽曲中心のセットリスト》
18:00 開場 / 19:00 開演
8月5日(土) TSUTAYA O-EAST《メジャー以降のオリジナル楽曲中心のセットリスト》
17:00 開場 / 18:00 開演
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※規定枚数になり次第終了

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RELEASE

Major 3rd Album「LIVE YOUR LIFE」
(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)
※CD+DVD、CDのみの2種
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東方ヴォーカルアレンジCD「ANCIENT FLOWER」
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