「PERFECT HUMAN」で大ブレイク!オリエンタルラジオの2人がRADIO FISHを語り尽くす!

インタビュー | 2016.05.01 18:00

RADIO FISH

オリエンタルラジオ[左:中田敦彦、右:藤森慎吾]

「PERFECT HUMAN」の大ヒットで一躍有名になり、5月25日にはこの曲を含む1stアルバム『PERFECT HUMAN』を発売するRADIO FISHとは、オリラジことオリエンタルラジオ(中田敦彦、藤森慎吾)と中田の実弟でダンサーのFISHBOYとShow-hey、SHiN、つとむで構成された6人組のダンス&ボーカルグループだ。お笑いコンビのオリラジはデビュー直後に“武勇伝”でブレイク、そのあと人気が低迷したと思ったら藤森が“チャラ男”、中田が“インテリというキャラ設定で再ブレイク。そんな彼らが、今度は新しくダンス&ボーカルグループまで結成して「PERFECT HUMAN」で3度目のブレイクを果たし、8月26日には東京・赤坂BLITZのステージに立つ。なぜ彼らは音楽フィールドへと舞台を移してもブレイクできたのか。お笑い、音楽シーンとフィールドが変わっても共通している彼らのイズムとは。オリラジの2人がRADIO FISHを語り尽くす。

インタビュー/東條祥恵

──ズバリ、「PERFECT HUMAN」でブレイクして、いまの心境はいかがですか?

藤森慎吾 すごく充実感がありますね。結成12年目ですけど、今まで経験できなかったことをさらに経験できてるというのは、この仕事をやっててよかったなと思います。楽しいです!!

中田敦彦 もちろんこうなりたくて頑張ってたんですけど。最初に音楽ユニットを作って、始めてからここまでは大変だったんですよ。「PERFECT HUMAN」を作るまでに5曲作ってますからね。それをやっていくなかで、音楽ライブで人を集めることも、音楽番組に出ることも結構大変なんだと思ってたんです。僕らは最初、よしもと(所属事務所)からも「何をやってるのか分からない」といわれて、まったくご協力頂けなかったんですよ。先輩からも「そんなことやって意味あんの?やめちまえよ」といわれ、どんどん疲弊していってたところで「PERFECT HUMAN」でいっきにドアが開いたので、ものすごく驚いてはいますね。

──しかも今回の舞台は音楽シーンですから。

中田 例えば、同じテレビでも音楽番組に出たときは「動きのフォーメーションが分かるVTRを下さい」とか、いままでいわれなかったことをいわれる訳ですよ。こんな新たな世界があるんだというのを経験させてもらってるので、単純に「人生ってこんなことが起きるんだ。面白い」と。それが素直な感想です。

──RADIO FISHはお笑いではなく、音楽ユニットという捉え方でいいんですよね?

中田 そうです。でも、そこのエクスキューズは難しくて。ぶっちゃけていうと、お笑いっていう方が角が立たないんですよ。「僕はアーティストです」というのはみんなすごく嫌がる。「お前ごときが」といわれるんです。なので「お笑い芸人のネタです」というほうがみんな食べやすいんですね。だから、それをいったほうがいいなと僕は思ってます。RADIO FISHというのはどう見たって音楽活動をしている音楽ユニットなんですけど、「PERFECT HUMAN」は楽曲ではなく音楽ネタであるとこちら側が主張したほうが、みなさんが食べやすいかなと思ってそういっているんですけど。でも、やっている活動は音楽ユニットです。

──ということは、これをオリラジの新しいリズムネタと受け取られてもいいし、純粋に音楽ユニットとして受け取って貰っても構わないということですね。

中田 ええ。ご自由にどうぞ。とにかく楽しんでくれればいいと思ってます。

──そもそも何でこのような音楽ユニットを作ろうと思ったんですか?

中田 まず、RADIO FISHを結成できたのは弟のお陰なんです。FISHBOYというダンサーをやってる弟がいて、その弟に「音楽ユニットやりたいからダンサーを集めて」といったのが始まりですから。そもそも何で音楽ユニットをやろうと思ったかというと、元々我々が出てきたのは“武勇伝”というリズムネタでした。リズムネタというのは後からいわれ始めただけで、僕らが“漫才”をやったらああなってしまっただけなんです。

──当時リズムネタという言葉もなかったですし、それを狙ったものではなかったんだと。

中田 そうです。リズムネタでブレイクしても、漫才をちゃんとやらないと正統な芸人としては見てもらえないんですよ。それに苦しんで、何年か漫才に挑戦したんです。でも、ないものはないんです。才能が。そこで漫才に向いてないことが発覚して。なのに、なぜ僕らは漫才で世に出てきた人たちと一緒に仕事できてるのかと考えた結果、「すごく音楽性が高いんだ」と思ったんですね。じゃあそれを極めようと思って、2013年ぐらいから音を使ったネタをたくさんやっていったんです。そこで「これは人数がいたほうがもっと音楽性が高められる」と思ったんですよ。お笑いのネタで使われる楽曲って古いんですよ。

──あー、わかる気がします。

中田 音楽業界から見ると7〜8年遅れてるんです。僕はそれも嫌だなと思っていて。ダンサーを入れて、もっと音楽としていまっぽいカッコいいものができないかなと思ったんですよね。

──音を使ったネタをやってらっしゃった頃も東方神起の「CATCH ME」をすぐコピーしたりしてたじゃないですか?そういうものがすべてRADIO FISHへと繋がっていった。

中田 ええ。それをやった結果分かったんです。僕、YouTubeで僕らの何が一番再生回数が多いのかを調べたんですよ。そうしたときに、他の芸人さんは芸能番組に出たときの漫才ネタが上位にくるんです。僕らも1年に1回は演芸番組で漫才をしてるんですよ?ところが、僕らの再生回数のトップにくるものはネタじゃなかった。音系、歌系の企画でバラエティーに出て東方の「CATCH ME」やWORLD ORDERの「MIND SHIFT」を完コピしたときのものがヒットしてたんで、僕らのは強みは音楽なんだとYouTubeの再生回数から逆算して見つけ出したんです。

──そんなブランディングからRADIO FISHを結成して。お二人とも歌とダンスのトレーニングはかなりされたんですか?

中田 というのがアーティストの基本的な考え方だと思うんですよ。でも僕らはそんな時間がなかったんです。普通の仕事だけでパンパンのなか、僕のわがままでこのプロジェクトを走らせたんで。すぐにダンスやボーカルのスキルは上がるかっていったら、上がらないですよ。そこで考えたのが、工夫して、歌えてるし踊れてるという風に見せてるということ。よくよく見ると、僕らはすごいダンスをしている訳でもすごいボーカル力が高い訳でもないですから(微笑)

中田敦彦

──では、藤森さんは最初に中田さんからダンス&ボーカルユニットをやりたいと提案されたとき、正直どう思われました?

藤森 節目節目で相方がこれまでもプロジェクトを打ち出してきて、なんだかんだでそれにすべてのっかってうまく一緒にやってきて。他力本願ではないですけど、そこはすごく信頼しているからこそ足並み揃えてやってこれたんですけど。今回に関しては、いままでとはまったく違うプロジェクトだったで、歌を歌うというのは最初僕は「無理じゃねぇか」と正直思ってたんですよ。

──ああ、そうだったんですね。

藤森 でも、あっちゃんがやりたいというであれば全力でやろうという思いはあったんで、去年1年ライブをやってきて。年末に「PERFECT HUMAN」でガーンと話題を集めるようになってからは、「すげぇ!!ここまでなるとは思ってなかった」というのが僕の感想で。本当によかったと思いましたよ。相方のこの緻密なリサーチ、プランニング、いまこういう楽曲がきてるからこういうのがウケるんじゃないかという分析力…。そういったものはものすごい信頼してますから。

──あとは、それを藤森さんがどう体現していくのかということ

藤森 そうですね。その体現する部分も、「PERFECT HUMAN」に関しては「ラップは慎吾が書いてくれ」という依頼があったんですよ。僕はいままでネタというものはいっさい書いたことがなかったんですね。でも、僕は相方から「あれやってくれ」「これやってくれ」といわれるのは好きで(微笑)

──ゼロからモノを生むのが中田さんで、それを形にしていくのが藤森さんなんですね。

藤森 僕は自分から何かを作りたいという欲求は起きないんですよ。だから、そこはコンビでよかったなと思うところですね。あっちゃんがこうやって指針を打ち出してくれたなかで、自分の役割というのをもらえると。

──自分を120%発揮できる、と。

藤森 そういうやり方は得意だなというのが自分のなかに1つあるんですね。だから、ラップの歌詞に関してもすごく楽しく作れましたし。これで、あっちゃんにいままでの恩を少しでも返せたかなと(笑)

──では実際にそれを曲のなかでラップするのはどうだったんですか?

藤森 あれをラップといっていいのか僕には分からないですけど。元々ああいう歌い方は好きなんですよ。チャラ男のときもラップみたいなことをやったり、武勇伝もリズムに合わせて言葉を並べてた訳で。どれもリズムがすごく大事だったんですね。そういうものが僕、すごく好きで。

──リズムに合わせて言葉をのせるというのが?

藤森 ええ。得意なのかなとは思ってました。

中田 リズムネタって、誰でも作れるように思われちゃうんですけど。僕らが漫才に向いてないのと同様、多くの芸人さんはリズムネタに向いてないんですよ。リズムの才能に恵まれた人にしかリズムネタは作れない。彼はそういう意味でいうと、五感、声の感じも含めてすごく天性の才能を持ってるんですね。それを生かすのはラップじゃないかという仮説が僕のなかにはずっとあって。そうしたときに、スチャダラパーのBoseさんと仕事をする機会があって。

──ああ。中田さんが司会を務めていた番組『映画ちゃん』のなかで制作したアニメ(『出番ですよ!オニギリズ』)にBoseさんが本人役で声優として出演されて、主題歌(『O.N.I.G.I.R.I.』)を藤森さんと一緒にラップされてたやつですよね?

中田 ええ。そのときBoseさんに「彼は向いてるよ」といわれたんですよね。

藤森 嬉しかったですよ。Boseさんにそういわれたときは(微笑)

中田 「リズムの取り方もいいし、何といっても声がいい」と。「ラッパーに必要な才能は変な声なんだよね」とBoseさんにいわれて僕は納得したんですね。誤解を恐れずにいうと、桑田佳祐さんも井上陽水さんも特徴ある声をしてらっしゃるじゃないですか?特徴的な声は才能なんだと思って。相方は変わった声をしてるなと前から思ってたんで、Boseさんのその一言に後押しされ、やっぱりラップだと思いまして。それで藤森にラップをお願いして「PERFECT HUMAN」が生まれたんです。

──Boseさんの助言は大きかったんですか?

中田 大きかったですね。プロの方の一言は。

藤森 Boseさんには歌ってもらったものは、僕が書いたラップだったんですね。そのときに、そういうお褒めの言葉を頂いたんですごく自信につながりました。前から「やりたいな」と思って、ちょこちょこラップみたいなことは番組の企画とかでやってたんですね。それをここまで表立ってやったのは「PERFECT HUMAN」が初めてだったんですよ。

──藤森さんのラップに対する周りの反響はどうでした?

藤森 意外にも「いいね」「上手いね」と声をかけてもらって。気持ちいいなと思いましたね(微笑)。ネタは「面白いね」といってもらうのが褒め言葉なんです。もちろん「PERFECT HUMAN」も「面白いね」という感想もあるんですが、それにプラスして「上手いね」とか「カッコイイ」っていわれることはすごくありがたい言葉として受け取ってます。

藤森慎吾

──1stアルバム『PERFECT HUMAN』にはこの「PERFECT HUMAN」に至るまでに発表してきた楽曲たちが収録されている訳ですが。EDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)を基盤とした音楽をやろうというのは、いろいろリサーチした上で考えていたことなんですか?

中田 そうですね。あと、ローコストということも大きかったです。楽曲制作は“自腹”ですから(微笑)。「PERFECT HUMAN」が成功してからは正式に制作に事務所も協力してくれるようになりましたけど、それまでは楽曲制作を含めすべてが自腹。完全なるインディーズでしたから。

──PERFECT INDIES状態だった、と。

中田 はい。「もし当たったら本当に恩返しできると思うから」って、ギャラが出世払いですよ。ダンサーも音楽クリエーターも。そのなかでEDMはローコストで作れるというのがすごく大きかったです。

──なるほど。そして、デビュー作「STAR」を配信してみての反響は?

中田 話題にも何にもならなかったですよ(苦笑)。だから、以降いろいろ実験して、何が受けて何が受けないんだろうと試して。

──「PARADISE」ではちょっとバンドサウンド風な方向にしてみたり。

中田 振ってみましたね(微笑)。でも、僕はまだまだEDMを聴きたいんですよ。でも、音楽クリエーターたちは嫌がるんです。「もう古い」「海外のトレンドから外れちゃいますよ」って作りたがらないから、いやいや待ってくれと。俺らは世界のトレンドに合わせた高度な音楽を目指してる訳じゃないんだと。『ULTRA JAPAN』(日本初の都市型巨大ダンスフェス)も日本にやってきたばかりで、日本でまだ満足いくほど俺はEDM聴いてないし、何よりも俺たちはまだまだ踊りたいんだといって、無理やり作ってもらいました(笑)

──それで作った「PERFECT HUMAN」が大当たりした訳ですから。本当にスゴいですよね。

中田 これは僕の分析ですけど、色々な幸運が重なったというのが大きいと思います。だって、いい曲は世にいっぱい溢れてますから。でも、それがみんなに届くかどうかは別問題じゃないですか?この曲は、その届くルートがたまたま通れたんだと思います。あと、歌詞で何を伝えたいのかというのがはっきりしたのがこの曲だったというのも大きいです。

──歌詞の方向性がこれだけ違いますもんね。

中田 何を伝えたいのかにいきづまったんですよ。僕自身が。芸人になりたいとか、ミュージシャンになりたい、まではいいんですよ。でも、なったあとどうしたいのかというのがないと、続けられないと思うんです。音楽業界に入ってみて、ローコストで女性にも耳障りがよくてってこういうのだろうというのを何となく5曲作ってみて。あれ、俺は何がしたいんだろうと思ったとき。ただ単純に僕は僕のカッコよさだけを伝えたいだけだと思った。それで、藤森にオーダーしたんです。結局、伝えたいことは「あっちゃんカッコいい」の頃と。

──なにも変わってないんですよね。

中田 “イズム”は変わってない。それをやったら、独自性を持って受け入れられたんです。自分の苗字を入れる歌詞、しかもそれを連呼する人ってあんまりないと思うんですよ。でも、僕はやりたかった。みんなカッコつけたいからアーティストは下の名前だけにする人が多いじゃないですか?それぐらい苗字ってダサくなる。でも、それ以上に僕は自己顕示欲が強かったんで入れたんですね。自己顕示力の強さが、僕らの伝えたいこと。それが見つかったのがこの曲ということです。

──では、8月26日の赤坂BLITZのワンマンライブについても聞かせて下さい。こちらはどんなライブにしたいと思ってますか?

中田 ワンマンでやるのは去年やった渋谷クアトロ以来。とにかく盛り上がることに特化したライブをやりたいと思ってます。EDM志向の。だから、みなさんには盛り上がりに来て欲しいなと思ってます。そこには込み入った世界観は何もないので、みんなに楽しんでもらいたい。2016年の“旬”のものです。旬のものを食べるというのは非常に体にいいことですから。あのとき「PERFECT HUMAN」見たよ、と後年いえますしね。

──アルバムの曲だけでいけますかね?

中田 曲数は自信があります!赤坂BLITZに向けてめちゃくちゃ曲は作りますから。だから、半分以上は新しい曲になります。

藤森 大変だ(苦笑)

──ゲストは考えてらっしゃいますか?

中田 いまのところ考えてないです。この現象自体、名前のある有名作曲家とコラボして作ったものではないですから、そういう見せ方ではないのかなと思ってます。なので、今回はRADIO FISHだけでどこまでやれるかを見てみたいなと思ってます。

藤森 ただ(会場の)キャパがね、いままでのワンマンのなかでは一番大きくて。お笑いのライブじゃまずできないところですからね。

──そうなんですか?

藤森 できないですね。

──音楽ライブだからこそ、こういう会場でライブができると?

藤森 ええ。

中田 そこがすごく大きいんですよ。知名度でいったらゴールデンで番組やってる芸人の方があるのに、まったく知名度のないアイドルの方が武道館埋めて、知名度がある芸人は500のキャパを埋めるのにひいひいいってる。それが現実ですから。これは何なんだろうってすごく思ってました。でもそれは、演芸の中身、笑いを伝達する適切さというのもあると思うんですよ。大規模キャパシティーに向いてる/向いてないでいうと、圧倒的に音楽は向いてるんですよね。

藤森 座って観るお笑いと違って、赤坂BLITZの1階はスタンディングですし。みんなでペンライトを思いきり振ってもらって、盛り上がってもらいたいですね。

──ペンライトは必須ですか?

藤森 そう!グッズで売ってますので、それを買ってもらって。

中田 振った方が絶対盛り上がりますから。

藤森 タオルとうちわも売りますから(笑)

中田 男性アイドルとしても楽しめるんです。

藤森 楽しみ方は人それぞれですから(微笑)

中田 それぐらい大衆的ってことです。

──では最後に、RADIO FISHの音楽業界でのライバルを教えてください。

中田 ゴールデンボンバーさんですね。最初のお手本は彼らですから。彼らは音楽のなかでお笑いをやろうとした。僕らはお笑いのなかで音楽でやろうとしている。だから、ライバルというよりもすごくリスペクトしています。そのイズムを。あとはDJ OZMAさん、氣志團さん。あの人たちのイズムもそうです。そういう系譜のなかで、僕たちのことを見てもらえるととても嬉しいです。

RADIO FISH

PERFECT SUMMER

2016年8月26日(金) 赤坂BLITZ
18:00 開場 / 19:00 開演
6月11日(土) SALE

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1st ALBUM「PERFECT HUMAN」
(よしもとアール・アンド・シー)
5月25日(水) SALE
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