デビュー25周年の米倉利紀が明かした「音楽、歌人生の表と裏」

インタビュー | 2017.09.28 18:00

──ライブのMCって…台本なしですか?

ないですよ、事前に喋る内容も考えていないです(微笑)

──フリーであそこまでのクオリティーって、相当なトーク術じゃないですか!

実はデビューした当時はMC台本があったんです。僕が書いたもの、マネージャーさんが書いたものを組み合わせて台本を作っていました。台本通りに一語一句間違わないよいうにMCをする。所謂、台詞みたいなものですからMCリハーサルまでやってたんですよ。ライブのリハ、MCのリハ、それを合わせた通しリハというのがあって。全て流れが決まっているわけですから、ミュージカルのように一回のショーの長さが完璧に決まっていました。MCでのアドリブなんて一切なかったですしね。ラジオに出演するときも同じ。事前に番組から質問事項を頂いて、回答を用意して、それをストップウォッチを片手に時間を計りながら与えられた時間内に読む練習をマネージャーさんと何回もしてから番組出演していたんです。

──その時代の訓練があったからこそ、台本なしであそこまでのフリートークができるようになったんですね。きっと。

そうかもしれないですね。そんな積み重ねがあるので、“MCなんて台本なしで余裕でできますよ”とは僕は言えない。これも本当に大変だったから。音楽業界の後輩やプライベートな友達がライブを観に来ると、「MCも楽しそうにやってるんですね」「お客さんいじって楽しそうだね」って必ず言われます。 “うん、楽しんでますよ”と答えます。でも、心の中では“楽しんでる。でも、ポンっと楽にこの階段を登れた訳ではない”と初心を忘れないように、過信しないようにしています。

米倉 利紀

──ああー。そこも「25年間は大変でした」というお話に通じますね。

そうですね。歌に関しても同じことが言えます。親から、神様から授かったこの声と度胸、でもそれだけではこのエンターテイメントの世界で生きていけない。ある意味、歌手なんて誰でもなれると思っているんです。でも、本当の意味での歌手。歌をうたうということの意味。歌を通して心をメッセージするという歌手になるには、お金では買えない階段を努力で登らなきゃいけない。それは1日2日で登れる階段ではない。最近、九重親方(元大関・千代大海)さんと仲良くさせていただいているんです。親方から発せられる言葉、一言一言がいま僕の心にズシズシ突き刺さってくる。これは去年亡くなられた先代、千代の富士さんがよくおっしゃってた言葉らしいんですが、『今日、いいお稽古ができたからって明日強くなる訳ではない』と常々おっしゃってたらしいんです。『その積み重ねが2年後3年後の自分の強さになる。要は“忍耐力”なんだ』と。それを、この25周年を迎えた僕が、このタイミングで聞くことになったことの意味。25年やったからって偉くも何ともない。25年歌ったからって30周年を迎えられる保証はない。ここで本当の意味で踏ん張らないと26年もないかもしれないと背筋が伸びます。

──大事なのは『忍耐力』だという言葉を届けてくれたんですね。親方との出会いが。

先代、千代の富士さんのお話でありながら、九重親方の心を通して、九重親方の声でメッセージしてくださいました。九重親方との出逢いは僕にとって幸せの節目です。 “25周年を迎えられたから次は50周年だ”とか、そんな大変なことを安易に僕はいえない。逆にいうと、いままで大変だった25年がこのあとまた25年やってくるということでしょ? 同じことの繰り返しはない、1回経験したから2回目は楽になるってこともないですから。何だったら2回目は2倍大変になるだろうと僕は思っています。

──年齢もとりますから。

体力的にも倍以上大変でしょうね。(笑)いろんな知識や経験があるが故に、いままで以上に苦戦することが増えると思うんです。自分にもより厳しくなるでしょうし、周りのスタッフにも厳しくなるでしょうね。でも、それが必ず次に繋がっていくんだってことを僕はこの身をもって、この25年で経験してきたと自負しています。そして、その経験を一人でも多くの人達とシェアしていくことが、僕に関わってくれた人々への恩返しかなと思っています。

──そういう意味では、自分を改めて引き締める25周年にもなっている訳ですね。

とはいえ、毎日僕も迷いもしますし、こうやって偉そうに話していることをパッと忘れてしまう瞬間もあります。こうしてお話することで、再確認するということでもあるんですよね。面倒くさいからって記念日を嫌う人っていますけど、僕はとても大切にだと思っています。再確認するタイミングなんですよね、記念日って。例えば誕生日。“いやいや、もう誕生日を祝ってもらう年齢じゃないから”って照れ隠しでいう人がいます。先ほど言ったような生まれた日の気持ちを再確認はできないですけど、生まれたときに親はどんな気持ちだったんだろうと産んで育ててくれた両親に感謝をすることで、自分の始まりに感謝できると思うんです。

──なるほど! それは素敵な考え方ですね。

僕は自分の誕生日に必ず親に連絡をします。誕生日は自分を産んでくれた両親に感謝する日。

──今年も10月21日は<toshi’s 45th birthday bash!!!!!>の開催が決定してますが。こちらはどんな内容になりそうですか?

毎年行っているバースデーイベントなのですが、今年は久しぶりにアコースティックライブをお届けしようと思ってます。いままではイベント色が強かったのでトーク中心だったり、パーティー色が強かったんです。でも、今年は25周年イヤー中ということで、僕の歌を信じてついてきて下さったみなさんに、歌で感謝を伝えられたら良いなと思っています。

──その後、Christmasには<“extra smoky rich” -WE ARE BACK>も決定していますが。こちらはどんなライブになるんですか?

昨年から始めた再演シリーズです。お芝居では“再演”ってよく聞きますけど、ライブではなかなかないですよね。実は10年ぐらい前に1度だけデビューライブ「bella donnaツアー」の再演というのをやったことがあるんです。昨年、その年の春にやった「switch」ツアーを年末に再演するというのをやってみたら、精神的にその1年がすごくしまったんですよ。ファンのみなさんも同じようなことを言ってくださっていました。こうして、1年を振り返った後に新しい年を迎えるというのがとてもいい感じだったので、今年もやってみようかと!! 内容は今年、春から初夏にかけて行われた<“smoky rich”/“extra smoky rich”ツアー>の再演です。セットリストも衣装も全部そのまま再現です。更にChristmasなのでChristmasソングをセットリストに加えて盛り沢山なクリスマスライブにしたいなと思っています。

──もしかすると“あの曲”のChristmasバージョンが聴けるかも?

良いですね、そういうのもありですね(微笑)

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toshi's 45th birthday bash!!!!!

10月21日(土) 新宿ReNY
9月30日(土)チケット発売!
※1日2回公演
※今回はスペシャル・アコースティックライブをお届けします。
更に、ご来場の皆様おひとりずつとツーショット写真撮影あり!

toshinoriyonekura.com presents
toshinori YONEKURA concert tour 2017
-gotta crush on..... volume. eighteen- “extra smoky rich” -WE ARE BACK

12月24日(日)25日(月) 新宿ReNY
NOW ON SALE
※6月30日、ZEPP TOKYOで全23公演の幕を下ろした“extra smoky rich” TOURの再演。 あの最強のセットリストや衣装をそのまま再現します!

members are:
vocal: toshinori YONEKURA

band master and keys: ryuichi kureha
drums: yoichiro yamauchi
bass: tsuru
backup singer: vahoe
dancers: ryoshin、dai、ary、nari

関連リンク

RELEASE

22nd ALBUM『smoky rich』
[(株)徳間ジャパンコミュニケーションズ]
NOW ON SALE