浜田省吾 × 田島照久 コラボレーション作品展「浜田島Ⅴ」大好評開催中!アートディレクター 田島照久が本作品展への想いや見どころを語ったインタビュー、ロングバージョンを公開!

インタビュー | 2017.12.29 12:01

田島照久

インタビュー:兼田達矢

今回は原点回帰。アナログのものをたくさん出します。やっぱりいいなあと思うんですよ。色気がある、というか。

—このイベントの企画はどんなふうに生まれたんですか。

田島照久(以下略) 本当に言葉遊びからですね。“浜田”と“田島”でね。ただ、僕はロック関係の仕事が多いから、そういう日本語での発想というのはあまりなかったんですけど、その2つをくっ付けると、「浜田の島」ですよね。それが面白いなあと思って。だから、“浜田島”という言葉が先だったんです。で、その名前で何かできないかなと考えていって、浜田くんと僕の展覧会というのを思いつき、浜田くんの事務所の社長に相談したら、「面白いんじゃないか」と言ってくれて、そこからはトントン拍子に進んでいきました。

—展覧会と言われましたが、単に平面の表現の展示に止まらない、空間的な表現ですよね?

まさにそういうことを最初にイメージしました。遊び的な場所というんでしょうか。内容的にも、最初は平面の展示だけだったのが映像もやったり立体造形を作ったりしながら、まさにアミューズメント的な感じに近づきつつありますね。

—それは、1回目、2回目と回を重ねるなかでイメージが進化していった感じですか。

そうなんです。オリジナルの曲まで作りましたから。

—そうなんですか。田島さんは、ご自身でもバンドをやられてるんですよね。

そうなんですけど、僕が曲を作って、水谷公生さんに途中からプロデュースみたいな形で入っていただいて、つい1週間ほど前にいい感じに仕上がりました。それも、発表するひとつの作品なんです。いちばん最初は浜田くんのことを文章で書こうとしたんですが、そうするとすごく長いものになってしまうので、歌詞の形で書いてみたんです。で、それを浜田くんに見せたら、「田島さんはギターを弾くんだから、自分で曲を作ればいいじゃない」と言われて、それでなんとか作ってみました。「ハーモニーメーカー」というタイトルです。歌は僕じゃなくて、僕のバンドのボーカルをやってる女性が歌ってくれてますけど(笑)。

—(笑)、最初から空間的な展開をイメージされていたのは、平面の展示だけでは収まらないだろうという感じがしていたわけですか。

いちばん最初に横浜でやったときから思いとしてはあったんです。映像もやりたい、あれもこれもやりたい…、みたいな感じで。でも、残念ながら自分の技術もなかったんで、その時点で思い描いていたことの、半分くらいしか表現できなかったと思います。その後、都合4回、各地で開催されるたびにバージョンアップを重ねてきて、5回目になる今回は自分が最初にやろうと思った思いがかなり達成できたかなと思っています。

—そうした空間的な表現に至ったのは、浜田さんから受け取るものを十全に表現しようとすると、田島さん自身が平面だけでは飽き足らなくなってきたということもあるんじゃないでしょうか。

そうなんでしょうね。僕は新しいもの好きだから、映像もやりたくなるし…。そもそもグラフィック・デザイナーから始めてるから写真を撮ること自体、素人だったわけです。それでも、自分で撮るようになると、自分で撮ってデザインするというやり方が、僕としてはすごく楽になったんですよね。自分で撮ることで、自分のやりたいことを実現する上でのいろんな問題が解決したんです。そのうちに、今度はコンピュータがどんどん進化してきて、そこの部分でもいろんなことができるようになっていったでしょ。だから、ますます僕のなかには“あれやりたい、これやりたい”というものが膨らんでいって、それでここに至ったんだと思いますね。

—「最初は技術もなかった」と言われましたが、やってみて何が足りないと感じられたんですか。

まず一人でやってるということですよね。そうすると、やっぱり限界はあるわけですよ。何か大きな造形物を作ろうと思うと、やっぱり一人の手には負えないということが出てくるわけです。そういう部分を補ってくれたのがコンピュータの進化で、僕は早くからコンピュータに取り組んでいたので、例えば映像にしてもそうだし、いまだったら WEBのデザインも自分でやりますから、本当にコンピュータに助けられながらここまで来たという感じです。

—とは言え、というか、浜田さんの音楽もやっぱり浜田さん自身の生身の魅力やアナログな表現の力があって、そこから触発されて田島さんの仕事が進むという部分もあるんじゃないでしょうか。

おっしゃる通りで、僕のなかにはやっぱりアナログの部分というのが捨て難くあるんです。浜田くんもそうですが、僕もアナログの時代からこのミュージック・ビジネスの世界に入って、アナログの時代からジャケットを作ってきてたりしてますから、今回はそういう意味での原点回帰的な部分もあります。その一方で、テクノロジーで進化した部分についてはその最先端を見てもらおうと思っていて、この“浜田島”では両方を追いかけているんですが、ただこれまでアナログのものはそんなに出すことはなかったんで、今回はそういうものもいっぱい出していこうかなと思っています。

—それは、例えばデジタルカメラが無い時代に撮った写真とか、そういうものを今回は見ることができるということですか。

そうです、そうです。フィルム素材ですよね。写真で言うと、アナログで撮ってたのは多分90年代くらいまでだと思うんです。浜田くんも、『J.BOY』のあたりは完全にアナログなので、そのあたりの写真をたくさん出そうかな、と。最近アナログの紙焼きが出てきたりして見直してるんですが、やっぱりいいなあと思うんですよ。色気がある、というか。

浜田くんにはいつも強力なコンセプトがある。浜田くんが納得がいくように、僕は職人に徹して制作を進めていく

—浜田さんのアートワークに取り組まれるときに、いつも意識していることは何かありますか。

何ですかねえ…。

—やっぱり、作品ごとの話になりますか。

ジャケットに関しては、この間の猫のジャケット(浜田の最新リリース『The Moonlight Cats Radio Show Vol.1& Vol.2』)のように、浜田くんは「猫でやってよ」と言うだけで、あとは僕が全部作るということもあるんですけど、オリジナル・アルバムを新しく作る場合には浜田くんのなかに強力なコンセプトがあるんですよね。そのお題を受けて、僕からプレゼンはするんだけど、浜田くんもそういうことに関しては自分の表現したいものが表れてないと納得できないタイプだから、そこでの僕は職人に徹して制作を進めていくんです。浜田くんが「こうしたい」「こういうものを入れたい」と言ったら、それを入れるというタイプなんです、僕は。そういう意味では、浜田くんはやりやすいというか…。僕は、グラフィック・デザイナーのプロとして、携わっているつもりなんですけどね。つまり、そのクライアントが浜田くん自身というわけなんです。

—クライアントに明確なコンセプトや主張があるほうが、職人としては腕をふるいやすい、と?

そうです。その人に向けて作ればいいわけですから。その反面、この間のアルバムのように「任せるよ」という場合もあるわけで、これまでやってきたなかではそういうのが半分半分という感じですかね。

—ただ、オリジナル・アルバムに関しては、やはり田島さんの印みたいなものが出ているように感じますが。

それはやっぱり、自分の色が出ちゃうんですかねえ。ただ、これまで浜田くんのものをたくさんやってきて、浜田省吾というカラーが僕のなかで熟成してきている感覚はあります。それは逆に言うと、浜田くんがやろうとしていることに対して、そこから僕が逸脱することは、クライアントに対するスタンスとしてはいいことなのかどうかわからないし、逸脱したい気持ちも僕のなかにはあるんだけど、でも「ON THE ROAD」というテーマで作ってきたものは、雲から光が射してるみたいなものからいまだに逃れられないというところはありますね。ファンの人たちからしても、安心感を持てる共通の言語みたいなものがあるんじゃないかなあという気がしてるんですよね。そのあたりについては、浜田くんというのはものすごく冷静に物事を考えるタイプなので、ジャケット関係についてはあまり奇をてらったものは要求されないし、僕も作らないということになってますね。

新しい浜田省吾像というよりも、未発見の部分をみつける、そういうものをこの“浜田島”に投入したりしている

—「浜田省吾というカラーが僕のなかで熟成してきている感覚はある」と言われましたが、それは田島さんが浜田さんの音楽としっかり向き合って、そのうえでデザインされているからなんだろうなと思いました。

そうですね。ラッキーなことに、彼は本当に素晴らしいミュージシャンだし、僕自身がファンですからね。彼が作り出す音楽に対して。自分があまり理解できない音楽だったら、こうはうまくいかなかったかもしれないですよね。

—ファンのみなさんが田島さんのデザインに愛着を感じているのは、浜田さんの音楽に対して共有しているものがあると感じているからでしょうね。

そういう意味では、僕はファンの立場に立って作ってると思いますね。こういうものを作ったらファンはうれしいんじゃないかな、ということはすごく考えます。

—ジャケットに関しては、というお話でしたが、グッズになるともうちょっと遊び心というか変化球的なものも出てくるんですか。

そこはそれこそプロだから、売れるものを作ります(笑)。というか、「みなさんが欲しがるもの」というテーマで作ってますね。

—ということは、ジャケット以上にファンの気持ちに寄り添った感じになるわけですね。

そうなんです。ところが、この“浜田島”に関してはけっこう自由なんです。浜田くんも、ほとんど何も言いません。ここで展示するものは、基本的にはここでしか見られないものですよね。もしかしたら、一部パッケージ化されて残るものも出てくるかもしれないけれど、でもほとんどはここだけのものだから、自由にやってくださいっていう。その結果として、“こんな浜田省吾もあるんだ!?”というものもあるんです。

—それは、ジャケットなどを通して表現されている浜田さんのビジュアル・イメージとは違う、でも田島さんだから知っている浜田さんの別の一面、みたいなイメージでしょうか。

世の中にはトレンドとか、いろいろありますよね。浜田省吾さんが作り出す世界観というのは揺るぎないものがありますが、そういうトレンドとかファッションというのは、ちょっと別の流れ方をしてると思うんですよ。でも、僕らデザイナーというのは、そういう流れのほうに身を置いて生きていく職業だから、ちょっと違う想像力みたいなものもはたらくわけです。そのなかで“これを浜田省吾的に表現したら、面白いかもしれない”というものもいっぱいあって、そういうものをこの“浜田島”に投入したりしているわけです。

—そういうことを通して、ファンに“新しい浜田省吾像”を提案するような感覚でしょうか。

新しい浜田省吾像というよりも、未発見の部分をみつける、みたいな感じかもしれないです。

—最後に、来場者のみなさんが会場を出るときにどんな気持ちになっていたらいいなと思いますか。

少し理解できない部分もあったりして、じわっとですけど“あれ、何だったんろう…?”と気になって、また来たくなるようなものであればいいかなと思うんです。つまり、全部が咀嚼できるような内容だったら、面白くないような気がするんですよ。だから、いい意味でちょっと気になるところがあるような展示にしたいなと思っています。

—期待しています。ありがとうございました。

 

巨大なパネルが記念撮影スポットに!

 

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浜田省吾 × 田島照久 コラボレーション作品展「浜田島Ⅴ」

▼会場:東京・渋谷ヒカリエ9階 ヒカリエホール ホールA

▼開催期間:2017年12月21日(木)~2018年1月8日(月•祝)
※2018年1月1日(月・祝)は全館休業日
※クロークのご用意もございます

▼開催時間:開場11:00 / 閉場 21:00 (最終入場は閉場の60分前まで)
※但し2017年12月31日(日)、2018年1月2日(火)、1月8日(月•祝)は18:00閉場

▼チケット:前売りチケット好評発売中!
当日券は各日11:00~閉場60分前まで会場にて販売(休館日除く)
※未就学児童は無料

▼開催概要:アートとエンタテインメントの融合による類を見ない作品群が浜田島史上、最大規模の空間に展開される。デジタルの最前線と究極のアナログが混在する、普段では観る事ができない浜田省吾の世界をご期待ください。

 

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