動物のしあわせを考え、音楽や朗読に感動し、買い物を楽しむ1日。いぬねこなかまフェス2017

ライブレポート | 2017.10.20 13:00

約20分の休憩を挟み、第2部が開始。トップバッターを務めたお笑い芸人の椿鬼奴は「どうも、スティーブン・タイラーです」で挨拶して、会場のムードを一気に明るくし、スティーブン・タイラーがフロントマンと務めるハードロックバンド、エアロスミスの名曲「ミス・ア・シング」を熱唱。富樫春生(Pf)、友森昭一(Gt)、スティーヴ・エトウ(Per)によるアコースティックバンドを従え、ウクレレも演奏。「マイクにつけたバンダナが邪魔でしょうがなかった」とこぼしつつ、続いて、「シマリスしか飼ったことないので、いぬねこへの憧れだけで作った」というオリジナル曲「いぬねこの歌」を歌うと会場からは自然とクラップが巻き起こった。

椿鬼奴

友森の中学時代の同級生だというジャズシンガーのakikoは「(このイベントは)続けることが大切なんだと思ってます」と語り、「スウィングしなけりゃ意味がない」を歌唱。人の心と体を無条件に揺らし、つきうごかす歌の力を見せつけると、大きな拍手が沸き起こった。ここで、坂本美雨を呼び込み、エルヴィス・プレスリーの「好きにならずにいられない」のカバーをデュエット。黒のドレスに身を包んだakikoと真っ白いワンピースをきた坂本が向かい合って響かせた美しいハーモニーに全ての人が息を飲んで聴き入っていた。そして、akikoを見送った坂本は「大事な人や家族を思い出しながら届けたいと思います」と語り、未発表の新曲を初披露。優しい愛を訥々と語るように歌い、会場を温く包み込んだステージとなっていた。

 

akiko

坂本美雨 / akiko

坂本美雨

 ここでスクリーンが降り、小泉今日子が登壇し、2003年から2012年まで神奈川県葉山の自宅で飼っていたロシアンブルーの「小雨」ちゃんとの最後の日について明かした。
「生まれて初めて自分で飼った猫が小雨だったんですけど、一緒に暮らしているうちに私も東京に入れなくなって神奈川県の葉山に移り住んで。そこには友達もいないし、東京に出ていくのにも時間がかかるけど、他に何もいらないっていう感じだったんですよね。小雨と二人だけの蜜月ような生活をしていて。でも、朝ドラが決まった時に、ここに住んでいたら撮影が間に合わないと思って、東京で部屋を探してて。すごい気に入った部屋があったんだけど、なぜか小雨がここにイメージがわかなくて。でも、気のせいだろうなと思って、そこを借りて。引っ越す直前に小雨が突然、死んじゃったんですよ。原因もわからなくて。その日は仕事が遅くなって、帰ったら、洗面台の下の化粧ポーチを枕にして、後ろを向いて、寝てるような形をして、もう息をしてなかった。だから、嫌な予感に抗わなかったこととか、もしその日にその仕事が入ってなかったら、家に入れたのにとか。後悔ばかりが先にたっちゃって。まだ、そのイメージがわかなかった部屋に住んでるんですよ。なので、次、引っ越したら迎えたいなと思ってます。でも、『引っ込んでんじゃないよ。もっとワイワイ仕事しなさいよ』って、小雨に背中を押されたような気もしたので、がむしゃらに仕事をしてました。ふふふ」と笑みを見せ、小雨の写真が流れる中、「あなたに会えてよかった」を歌った。歌詞の言葉1つ1つが、まるで小雨との思い出を振り返っているようにも聞こえ、彼女が空を見上げながら声を張り上げた<思い出が星になる>というフレーズには胸を打たれるものがあった。

小泉今日子

猫7匹、犬3匹を熱海の自宅で飼っている作家でミュージシャンの町田康を交えた座談会「動物保護法改正について」での激論を挟み、ステージ上にはグランドピアノが設置。今年で5度目となる武道館単独公演を控える清水ミチコはマイペースに大暴れ。「100年使える声の歌」では、たらちゃんから藤田ニコル、のん、山口もえ、杉本彩、高畑淳子、黒柳徹子、瀬戸内寂聴と年齢を超えた女性の声を歌い分け、童謡「おはなしゆびさん」では5人の政治家になりきり、「聞き取りにくいアナと雪の女王」ではこの日、一番の大爆笑を引き起こした。

座談会「動物保護法改正について」

清水ミチコ

ステージに登場するなり、「今日の衣装、随分昔のものをクローゼットから引っ張り出してきたんですが、裾のほうにびっしりと猫の毛がついております。ご覧ください」と話し、笑いと同時に拍手まで湧いた矢野顕子。この日は、1992年に糸井が作詞し、矢野が作曲した「SUPER FOLK SONG」と同曲内の主人公であるマサル君とミドリちゃんのその後を歌った新曲「SUPER FOLK SONG RETURNED」を続けて演奏。柔らかく弾んだ歌声とピアノによって、聴き手の脳裏には楽曲の物語や世界観がまざまざと映し出された。牛と馬と豚、キツネやタヌキもいる村を出た二人が長男長女と猫に恵まれ、64歳の今も幸せに暮らしてるんだな、という映画を見たような感覚に陥った2曲だった。

矢野顕子

女優の鈴木杏は、原作/ジム・ウィリス、文/石黒謙悟、絵/木内達朗の絵本「どうして?犬を愛するすべての人へ」を朗読。妻と子供ができたことで殺処分されることになった犬から届いた手紙は、涙なしでは聞けない物語となっていた。と、同時に改めて、現在の日本でも年間約20万頭の犬が処分されている現実を突きつけられた思いがする。最後に出演者全員が登場し、町田康をメインに保護動物の写真共に「名前のうた」を合唱。友森による「動物愛護について考えて、少しでも動物の幸せに繋がればいいなと思います」とあいさつで約3時間のイベントは幕を閉じた。

鈴木杏

「名前のうた」合唱

動物と人とのより良い関わりを考え、社会問題を学び、音楽や朗読に感動し、買い物を楽しむ。遊びに来るだけで保護動物たちの支援になるイベントがこれからも長く続いていき、いつか殺処分がなくなる社会になり、多頭飼育やペットショップの8週令、高齢者のペット飼育などの問題が解決されることを心より願っている。

1 2