黒沢健一 DI:GA掲載アーカイブ ~Banding Together~ 第4回

2017.02.0812:00

黒沢健一

ちょっぴりシャイで、いつもあたたかな柔らかい笑顔で、時に少年のように、そして真摯に、たゆまぬ音楽への愛情を言葉にしてくださった黒沢さん。
DI:GAに遺してくださったそんな宝物のような言葉を、取材をして下さったライターさんによる新たな寄稿と共にお届けします。黒沢健一さん、素敵な音楽を、ありがとうございました。

-ディスクガレージ DI:GA編集部-

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DI:GA 160号(2009年2月) インタビュー
「Focusが合った感覚」
自分の中のマニュアルを捨て、完成した7年ぶりのオリジナルアルバム。そして全国バンドツアーへ!

interview/長谷川誠


DI:GAで黒沢健一にインタビューしたのは約8年前の2009年1月のことだった。彼の取材はこの時が3度目で、最後の取材となった。個人的な付き合いがあるわけでもないので、人柄はよくは知らないのだが、音楽の天才であったことだけは間違いないだろう。彼が時折、音楽について語りながら、ちょっと照れくさそうに浮かべた笑顔は今もはっきりと覚えている。取材のテーマは4枚目のソロアルバム『FOCUS』。この作品は7年ぶりのオリジナル・アルバムだったのだが、そんなにも間隔があいてしまったのは、彼が寡作だったからではなくて、自らに課した楽曲のクオリティーのハードルがとてつもなく高かったから、そしてまた作品を発表する意義とはなにかというところまで徹底的に突き詰めていくタイプだったからだろう。当時のインタビュー時にも彼は「生きていると、自然に曲は出てくる」と語っていた。収録されている11曲も約60曲ほどのストックの中から厳選されたものだった。彼がどれほど素晴らしい音楽家だったか、讃えるには遅すぎるかもしれないが、それでも讃えたい。ここでは『FOCUS』について改めて振り返ってみたい。
彼はL⇔Rとしてはもちろん、MOTORWORKS、curve509、Science Ministryなどのバンドで、そしてソロで数多くの素晴らしい楽曲を生み出してきたのだが、『FOCUS』は彼が創作の原点に立ち返って制作された作品だった。つまり聴きたい曲を作るということ。が、それはこびるということではなくて、自分の内部にあるリスナーとしての欲求に徹底的に素直になっていくということ。別の言い方をすると、音楽を極めることと音楽を楽しむこと、その2つのベクトルが交わったところで生まれたのが『FOCUS』だった。彼の音楽の最大の魅力はたぐいまれなポップセンスと研ぎ澄まされたロックンロール・スピリッツが見事に共存・融合しているところにあると思うのだが、『FOCUS』はポップなベクトルに振り切った作品となった。
1曲目の「Grow」はこのアルバムの中でも屈指の名曲のひとつだ。歌とピアノとストリングスのみで成り立っている美しいミディアム・バラードで、聴けば聴くほど味わいが増していく。“旅立っていく君”と“何かを探すつもりの僕”とが描かれているのだが、彼のいないこの世界で、「Grow」を聴くと、不思議な感慨が湧いてくる。“旅立っていく君”と彼とが重なって響くからだ。悲しみや寂しさにハッとさせられそうになるのだが、それだけではない。この曲からは新しい始まりの予感のようなものも伝わってきて、彼はまだどこかで曲を作り続けているのではないかという気もしてくるのだ。
『FOCUS』の中には「Maybe」、「POP SONG」、「September Rain」など、雨がモチーフとなっている曲がたくさん入っている。「雨の曲が多いのはどうしてなのか?」という問いに対する「雨の日に曲を書くことが多いんですよ。雨が降った、よし曲を書こうって思いますから」という答えは彼らしいものだった。“晴耕雨読”ならぬ、“晴耕雨歌”。もし雨音の調べが音楽のように聞こえてきたならば、それは彼が今もなおどこかで曲を作り続けていて、そのメロディの断片が雨の中に溶けこんだからなのかもしれない。
雨の歌とともに、「Feel it」「September Rain」などのように光が差し込むような曲も彼はたくさん生み出している。『FOCUS』に限ったことではないが、彼が作り出した曲の数々は今もなおみずみずしい生命力を備えている。新曲を聴くことが出来ないのは残念だが、彼の残した曲たちは色褪せることなく輝き続けるだろう。音楽が彼の存在証明であるならば、彼は今もここにいる。

ライター・長谷川誠

L⇔R LIVE at BUDOKAN "Let Me Roll It! Tour 1996" 予告編

L⇔R "REMEMBER" short ver.

Looking for the Places / 黒沢健一

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