前作『レキツ』から1年9ヶ月ぶりとなる3枚目のアルバム『レキミ』を完成させたレキシ。いとうせいこう、謎の忍びシャカッチに加え、斉藤和義、Salyu、山口 隆(サンボマスター)らのゲスト陣とともに描かれる、時代物のようで実は身近な息吹にあふれた歴史絵巻をお楽しみください!
── またまた名作が誕生しましたね!
「ほんとにね、みなさんに『いいアルバムだね』って言ってもらえるのは嬉しいんですけど、どうかしてるよって思ってて……」
── でも、前作『レキツ』はセールス的にも1st以上に売れましたし、ライブのキャパも広がってるし、夏フェスをはじめ、イベントにも多数呼ばれるようになってて。
「そうなんですよね。ちょっとだけ注目されてるのかな?っていう変なプレッシャーが出ちゃったので、足軽先生(いとうせいこう)に相談に行ったんですよ。そしたら『いまは、そういう時期だから、とりあえず出すことが大事だ!』っていうありがたいお言葉を頂きました(笑)。割と考え込みそうになったところを、ふっと軽くしてもらって。そういう意味では、3枚目もわりと自然に自分を出せたかなって思ってます」
── 今回も豪華ゲストが多数参加してます。まず、リード曲「姫君Shake!」に、齋藤摩羅衛門こと斉藤和義さんを迎えてます。
「女性目線の曲だから、女性かな?って思いがちなとこだけど、いやいや、レキシがそんなに普通に歌ってもらうわけもなく。ダンスホールロックンロールというイメージで作ったし、歌詞以外はストレートな曲だったので、和義さんしかいないなって思ったんですね。和義さんにはストレートで直球っていうイメージがあるでしょ。実際に歌ってもらって、まさにドンピシャだったと思いますね」
── 池ちゃんと声が似てるっていう意外な発見がありました!
「それも、いろんな方が言ってくれるんだけど、これ以上、勘違いさせないで!」
── (笑)ストレートじゃない歌詞は、どんなことを歌ってると言えばいいですか?
「主人公の姫君は、籠のなかの鳥で、いわば、堅苦しい思いをしてるんですよね。それは=現代の働き疲れたOLたちっていうんですか。充実してないわけじゃないけど、たまに襲ってくる、この虚無感はなんだろう?っていうね。要は、姫様の気持ちもいまの女性の気持ちも同じですよ、自分の殻に閉じこもってないで、自分を開放しようよっていうメッセージですね。……おれ、なに言ってるんだろう(笑)」
── (笑)「恋に落ち武者」にも近いメッセージ性を感じてます。
「もともとは、お客さんに<平家の落ち武者>って言わせたい。<そろそろ出ていく?どうする〜>って言いたいっていうだけの曲だったんですよ。でも、足軽先生と平家の落人のその後を話しているなかで、出るに出れない青年——それこそ、引きこもりとか、自分の殻から出れない男の子と照らし合わせるようになって。彼らは案外、『あの子、かわいくない?』くらいの感じで、ぽ〜んとあっけなく出ちゃうんだろうね、そういう、いろんなドラマがイマジンできるねっていう曲になってます」
── カブキちゃんことSalyuさんは「武士ワンダーランド」に参加してます。
「カブキちゃんは、レコーディング当日に、届いたばかりのヴォイスチェンジャーを持ってきて。完全にレキシを実験の場にしようとしてたんですけど、すげえいい機械だったので、バンバン使いました(笑)。そうやってレキシで遊んでくれる感じが嬉しかったんですね。しかも、彼女には、しっとりした、伸びやかな歌でもいいのに、あえてP-FUNKっていう。ファンカデリックな感じを歌ってもらいたかったんです」
── 前作には「そうだ、レキシーランド行こう」という曲がありましたが。
「そう。ランド3部作の2部作目ですね。しかも、『武士ワンダーランド』は、『キラキラ武士』に続く、武士3部作の2部作目でもあって。姫3部作とか、レキシにはさまざまな3部作があるんです」
── また、田ンボマスターこと、サンボの山口隆さんにも、サンボっぽいロックナンバー「LOVE弁慶」ではなく、スロウバラード「墾田永年私財法」をぶつけてますね。
「山ちゃんもSalyuと一緒で、あえて、バラードで、ソウルフルな歌を歌って欲しかったんですよね。勢いも大事なんだけど、流れないものっていうか、しっかり聴くものを歌って欲しかったんですよ」
── この曲の歌詞も深いですよね。
「足軽先生が言うところの、トリプルミーニングですよね。足軽先生はいつも『レキシには、ダブルミーニングの先にある、トリプルミーニングが必要だ』って言ってて。この曲でいうと、まず、歴史の授業で習った<墾田永遠私財法>っていうワードがあって、土地だけじゃなく、人の気持ちも永遠ですよっていう意味もある。さらに、関西弁や英詩にも聴こえるかもしれませんねっていう、いろんな要素を含んでますね」
── そのせいなか、日本の歴史をテーマにした歌詞のはずなのに、自分の日常や思い出と重なる部分が多いんですよね。
「そうなんですよね。『LOVE弁慶』だって、実は義経が弁慶を待ってたっていう曲なんだけど、誰にでも経験があることだと思うんですよ。偶然を装って、『あれ?いま、帰り?部活終わったんだ。じゃあ、一緒に帰ろうか』っていう、ピュアな気持ちでの待ち伏せね(笑)。あと、ディスコ調の『大奥〜ラビリンス〜』にも、新しい職場に行くドキドキ感とか、不安と期待が入り交じる感じがあるでしょ」
── 「甘えん坊将軍」もあります?
「最初は、幕府にかまけて、庭ばっかり作ってた足利義政をイメージしてたんですよ。でも、よくよく考えると、『いや、待てよ、甘えん坊将軍は、俺だな』って思って(笑)。逆にいうと、誰にでも甘えん坊将軍のような部分があるじゃないですか。これこそ、レキシ特有の気づきです!」
── では、『レキミ』というアルバムのタイトルにはどんな意味があるんですか?
「“遺跡にいきたい”ってことをコンセプトにしたライブを各地でやってきたんですけど、ツアーの合間をぬって、実際にいろんな場所に行ったんですね。だから、このアルバムには、そういう場所感というか、土地というか、プレイスに対する思いが出たなって思って。改めて、自分が日本で暮らしているっていう意味も含めて、土地=あなただし、自分だし、君だし……レキミだなって。要は、<キミのレキシも日本の歴史だ>っていう気づきですよね。どんな瞬間も歴史だっていう。大きな事柄を年号順に分けた歴史も歴史だけど、その間にある、1年、1ヶ月、1日、1時間単位でもいろんな事柄が起こってていて、そんな<キミの歴史も日本の歴史なんです>っていう意味合いのタイトルになっております」
── すでにツアーも決定してます。
「できるだけたくさんの曲を、一生懸命やりたいなって思ってますけど、まだ全くの未知です。とにかく、いっぱい練習して、120%の力を出せるように“CANばります”。これも、自分ができることしかできないっていうダブルミーニングですね(笑)」
2012年12月19日(水) | 赤坂BLITZ | 18:15 開場 / 19:00 開演 | スタンディング :4,900
(税込) 2F指定席 :5,400(税込) |
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2013年1月11日(金) | LIQUIDROOM | 18:15 開場 / 19:00 開演 | スタンディング :4,900(税込) |
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2012年12月21日(金) | 日本武道館 | 17:30 開場 / 18:30 開演 | 全席指定 :6,800(税込) |
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