フジジュンのライブ終わったら、ど~する? #3「ロックで世界は変えられないけど、人の気持ちは変えられる」

コラム | 2020.07.27 18:00

Photo:にしゆきみ

仕事とプライベートを合わせて、年間約120本のライブを見ているフジジュン(おもしろライター)。基本、ぼっち参戦の筆者がライブ終わり、余韻を残したままにどんな過ごし方をしているか? を報告する連載。「このライブハウス行くなら、帰りはここがオススメ!」など、みなさんのおすすめの過ごし方も募集します! 今日ライブ終わったら、ど~する?

2月中旬、新型コロナウィルスが日本を襲って、俺たちのライブハウスでもクラスターが発生。3月に入ってからは政府からイベントの自粛要請も出て、ライブやイベントが次々と延期&中止。大げさに言ったらライブ通いを“生きがい”にしている俺たちは、楽しみにしてたライブやイベント、フェス中止の発表を聞くたびに何度も心落ち込まされてきた。家で聴く音楽や動画で見るライブも楽しいけど、ライブに行けない日々はやっぱり物足りない。緊急事態宣言が解除されて、配信ライブを行うアーティストが増えてきても、無観客のライブが良ければ良いほど、生で観たい気持ちが強くなるばかり――。

しかし! ライブ現場に行けなくなって約4ヶ月。精神的にライブが観れない“苛立ちモード”から、もう一生ライブが観れないんじゃないか?と思ってしまう“落胆モード”を経て、もはやこの現実を全て受け入れようという諦めに近い“悟りモード”に入ってた僕を歓喜させてくれたのが「ホール会場でのライブ再開が決まったんですけど、レポートしてくれませんか?」というお声がけだった。待ちに待ったライブ再開! 悟りモードに入ってからというもの、ヤバいことにあまり感情が動かなくなってたんだけど。この時ばかりは喜びがブワァ~ッと全身に溢れた。やったぁーーーっ!

6月28日(日)、やって来たのは日本橋三井ホール。この日行われたライブは、DAITAのワンマンライブ『COUNTER ROCKETS』。本来、DAITAのメジャーデビュー25周年記念公演を祝うアニバーサリーライブが行われる予定だったが、停滞したこの状況に反撃の狼煙を上げるべく急遽、タイトルやコンセプトを変更してのライブ開催を決定。6月に入って、ライブハウスの営業やイベント開催の自粛要請が段階的に緩和されながら、本格再開にはまだ少し時間がかかりそうだなと思っていた中、全国最速のタイミングでの開催となった観客を入れてのホールライブ。集客は収容人数の半分以下に抑えられ、入場を待つ行列は広く間隔を空け、入り口では検温と手指の消毒。もちろん、スタッフもお客さんも会場内ではマスク着用厳守で、十分な間隔を空けて並べた椅子に着席したままでの観覧。正直、めちゃくちゃ窮屈だけど、ライブ会場にいられるだけですごく嬉しいし、期待と緊張が入り混じった独特の空気に開演前からワクワクが止まらない!

開演時間になり、観客の手拍子に迎えられて、DAITAとメンバーがステージに登場。ジャ~ン!と大音量で鳴らされるギター、腹に響くドラムやベースの振動、胸に迫るバンドサウンド……久々に味わう生演奏の爆音は最高に気持ちよく、興奮と喜びがこみ上げてくる。また、インストゥルメンタルだからこそ、DAITAの超絶ギタープレイを始めとする、各パートの粒立った演奏を堪能することが出来るし、それが重なった時のバンドアンサンブルの美しさもしっかり楽しめる上、バンドサウンドの痛快さや心地よさをより強く感じることが出来る。久々に見るライブがDAITAで良かった!

ライブ中盤は、最新アルバム『Melodicfall』の楽曲を中心に、ポップに激しく、勇ましく物悲しくとGUITAR一本で様々な感情や情景を表わし、めくるめく景色を描いていったDAITA。熱気溢れる演奏とパフォーマンス、それを彩る舞台照明、会場をまとう独特の空気感など、様々な要素が相混じって形成されていく楽曲の世界観にどっぷり浸ることが出来るのも生のライブだからこそ。PCのモニタで見る配信ライブも楽しいけど、やっぱり生に勝るものは無し! ライブ最高、生演奏最高!!

ライブは約60分の本編を終え、換気タイムを挟んでアンコールに突入。MCでDAITAが「誰かが先陣切ってやらないと突破できないと思うんで」とこの日のライブに賭けた想いを語った。このタイミングでライブを打つこと、矢面に立つことはかなり勇気のいることだったと思うが。DAITAは音楽やエンタメ業界全体を担う特攻隊長として、ロックファンのため、後続するアーティストたちのため、勇気と覚悟をもってその一歩を踏み出した。停滞した世の中をGUITAR一本で斬り開くべく、強い意志のもとライブに挑むDAITAの姿は実に勇ましかったし、その姿勢は最高にロックだった。

ライブレポート詳細はこちら
https://www.diskgarage.com/digaonline/liverepo/145527

ライブが終わり、大興奮&大満足で会場を後にした僕。そのまま会場から直結した、三越前駅から地下鉄に乗っちゃえばスムーズに家に帰れるんだけど。興奮でカッカと火照った身体を収めるため、少し遠回りをして帰ることにする。会場のあるCOREDO室町1を出て、あまり来ることのない日本橋の街を当てもなくポテポテと歩く僕。オフィス街なのか、STAY HOMEの影響か、街には人通りがほとんど無く、なんだか寂しい。

ひと気のない大通りを神田方面に歩きながら考えていたのは、「逆境に立ち向かってこそロック! だけど、この未曾有の危機にロックに何が出来るのか!?」ということ。もちろんそんな壮大なテーマ、僕一人で答えが出せるわけもないし、ロックでコロナウィルスを撲滅出来るなんて思っちゃいないけど。GUITAR一本で世の中と戦うDAITAの姿を見て、悟りモードで停滞していた感情を爆音に突き動かされて、「ロックに何が出来る? ロックで何が変わる?」と考えずにはいられなかった。そして、俺の中で出た結論は「ロックで世界は変えられないけど、人の気持ちは変えられる」ということだった。

この日のDAITAのライブで世の中が何か変わったかは分からないけど、ひとつ間違いなく言えることは、自粛期間に停滞していた僕の心が前を向いて動き始めたこと。久々のライブにめちゃくちゃ興奮して、あやうく忘れかけていたライブへの熱が再燃して。日常を取り戻すために何かしたい、何かしなきゃいけないとすごく前向きな気持ちが芽生えた。しばらくライブに行けてない人が久しぶりにライブを観た時、僕と同じように前向きな気持ちになれたら、きっと世の中も大きく動くはず。楽観的かも知れないけど、そんなことを思ったら、ロックを信じたいと思ったし、さらに力が湧いてきた。よし、肉食っちゃおう!

神田の駅近くまで歩いて、向かったお店は「いきなりステーキ神田店」。肉マイレージのゴールドカードを所持する僕、誕生日月の6月限定で「USリブロース300g」のクーポンを贈られてたことを思い出したのだ。危ない危ない、もう6月が終わっちゃうところだった! クーポン利用を伝えて、店員さんに「おめでとうございます」なんて言われながら、一人でもしゃもしゃとステーキを食べる。「せっかくなら家族や友達と一緒にステーキ食って、「お誕生日おめでとう」なんて言われたかったな」なんて、寂しい気持ちにもなったけど。ステーキは旨いし、こうして外食出来る状況になっただけで良しとしよう。日常が戻るにはまだしばらくかかりそうだけど。今日みたいな日が時々あれば、諦めず前を向いて頑張っていけそうな気がする。

PROFILE

フジジュン

1975年、長野県生まれ。『イカ天』の影響でロックに目覚めて、雑誌『宝島』を教科書に育った、ロックとお笑い好きのおもしろライター。オリコン株式会社や『インディーズマガジン』を経て、00年よりライター、編集者、デザイナー、ラジオDJ、漫画原作者として活動。12年に(株)FUJIJUN WORKSを立ち上げ、バカ社長(クレイジーSKB公認)に就任。メジャー、インディーズ問わず、邦楽ロックが得意分野で、笑いやバカの要素を含むバンドは大好物。

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