兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第66回[2020年10月後半]編

コラム | 2020.11.09 15:00

イラスト:河井克夫

 音楽などのライター兵庫慎司が、主に音楽、時々演劇とかお笑いとかプロレス等、つまり「生で観た興行」すべてについて短くレポを書いて、月2回ペースでアップしていく連載です。新型コロナウィルス禍以降は、主に配信ライブを観て書いていて、秋になったあたりから徐々に生で観たライブも入って来る、という感じに変わってきて、今回は全7本中5本が、生で観たやつになりました。

10月17日(土)16:00 ハンブレッダーズ@Zepp DiverCity

 『ハンブレッダーズの“ライブハウスで”見るラジオ』と銘打ったツアー。YouTubeでやっている『ハンブレッダーズの見るラジオ』のライブ版で、アコースティック・ライブとトークで、名古屋・東京・札幌・大阪・仙台・京都・金沢・福岡・岡山・宇都宮を回る、というもの。全日「夕方の部」と「夜の部」の2公演で、入場者全員に、オリジナルマスクがプレゼントされる。
 僕が観たのは、東京公演・Zepp DiverCityの「夕方の部」。1階フロアにも座席を出して、1階も2階も1席飛ばしでお客さんを入れ、マスク必須・検温あり、声を出しての鑑賞NG、というルールだった。
 このツアー、12月6日の宇都宮HEAVEN’S ROCKまで続くので、内容の詳しい記述は避けますが、メンバー3人だけのアコースティック編成になることによって、もともとのメロディのよさ、言葉の強さが際立っていたというか、スパッと耳に飛び込んでくる鋭角な感じが、却って増していた、どの曲も。もっと聴きたい。

10月20日(火)20:00 ズーカラデル@リキッドルーム/Streaming+

 『がらがらどん』と銘打って行われた、ミニ・アルバム『がらんどう』のリリース・ライブ。本来ならツアーを組んでいたであろうが、それがかなわないので、せめて1本だけでも、ということで決まったのだと思います。入場者は100人弱で着席状態、Streaming+で生配信あり。
 現場に行って、観て、彼らの所属レーベルが各メディア等に送る、オフィシャルのライブレポを書きました。MUSIC LOUNGEにアップされたものを貼っておきます。

MUSIC LOUNGE「『がらんどう』リリース記念ワンマンライブ『がらがらどん』終了! ワンマンライブを再現したプレイリスト公開中!」

10月22日(木)20:00 突然少年 vs the band apart@新代田FEVER/ZAIKO

 おそらくコロナ禍前から組んであったと思しき、全ヵ所ゲストあり、対バンで回るニュー・アルバム『心の中の怪獣たちよ』のリリース・ツアーを、無観客有料生配信(チケット代1,000円/この日の配信は10月25日(日)22:30までアーカイブ視聴可能)という形に変えてスタートした突然少年。そのツアーの東京編、場所は新代田FEVER、ゲストがthe band apart大先輩の回がこの日。私、最近突然少年の外部スタッフ的な仕事が多いこともあり、生で観せてもらえることになって、FEVERに行きました。
 the band apartは、お客いようがいまいが関係ない(ように見える)鉄壁のアンサンブルで、もう「さすが!」のひとこと。本人たちが自然に楽しそうに演奏していることも、お客いようがいまいが関係ない(ように見える)ポイントだと思う。本当に関係ないわけはないと思うが、でも、そのことが気にならない。
 突然少年は、高校の時、先輩からthe band apartを教えてもらった、今日こうして一緒にやれてうれしい、感謝している、と、その先輩の名前を何度も出しながら全9曲を演奏。「火ヲ灯ス」「アンラッキーヤングメン」「ゴーストタウン」「魂の味」「ラジオ」「雨の日」「フロムアンダーグラウンド」「伝えられなかったこと」「ボール」でした。
 バンアパと比べると基本的に荒いプレイだが(そりゃそうだ、と思うし、そんなことわかった上でゲストに呼んだのだろうが)、必死さと切実さでその差に立ち向かっていくようなステージだった。

10月23日(金)20:00 初恋の嵐@渋谷ロフトヘヴン/TwitCasting

 渋谷ロフトヘヴンでのライブをツイキャスで生配信。チケットは税込2,500円、プラス投げ銭もあり、11月6日(金)23:59までアーカイブ視聴可能。ベース隅倉弘至とドラム鈴木正敏のメンバーふたりに、ギター木暮晋也・ギター玉川裕高・キーボード高野勲のサポートが加わった5人でスタート。ステージの上はドラム鈴木正敏だけ、他の4人はフロアで演奏。
 1曲目は、隅倉ボーカルで「さえない男たち」。曲の後半のインプロ部分がとても長くとってあって、ほぼインスト・バンドと化す。そのままほぼ曲間なしで2曲目が始まると、ステージの鈴木正敏の隣に、大きく頭を振りながらGOING UNDER GROUND松本素生が現れる。ああ、だからステージ空けてあったのか、と納得。
 で、松本素生は「Untitled」「初恋に捧ぐ」の2曲。続いてSPARTA LOCALS/HINTOの安部コウセイが登場して「雨やどり」「真夏の夜の事」。次は鈴木正敏ボーカルで「君が待つ場所」、そしてSCOOBIE DOコヤマシュウが歌う「宝物」で力いっぱいアッパーになって、同じくコヤマシュウの「睡眠」でしっとり方向に戻る。セカイイチ岩崎慧は「ジョイント」と「涙の旅路」、本編ラストは隅倉弘至が歌う「どこでもドア」。
 アンコールは松本素生&岩崎慧&コヤマシュウ&安部コウセイ、4人で歌い継いだりハモったりの「touch」。間奏やアウトロがインプロ状態で、1曲目以上に長尺、松本素生のリードで曲がビートルズ「ヘイ・ジュード」になったり、岩崎慧が高野勲と一緒に鍵盤を弾いたり、ドラムが鈴木正敏から安部コウセイに替わったり、と、好き放題な展開になって終了しました。全12曲、豪華。
 しかし、いつも思うけど、ゲスト・ボーカル陣、とにかく楽しそう。普段自分のバンドでは看板を背負っているけど、ここではそうではない=責任がない、しかもコロナ禍以降はそうそうバンド仲間にも会えない、ということで、楽しさが加速するんだと思います。

10月25日(日)17:00 ナイツ@横浜にぎわい座

 毎年この時期に全国ツアーを行っているナイツだが、今年は新型コロナウィルス禍を考慮して、東京・横浜の4公演のみの開催、10月18日(日)・19日(月)国立演芸場、25(日)・26日(月)横浜にぎわい座。客席も1/2しか入れないフォーメーション。それでなくてもチケットの競争率高いのに、こりゃあ無理だ、と、今年はあきらめていたが、直前に知人が「チケット取れたんだけど、その日急な仕事で行けなくなった」と、チケットを譲ってくれた。ちなみに去年は別の知人が「一緒に行く友達が行けなくなった」と、チケットを譲ってくれた。何かナイツ運みたいなものがあるのだろうか、俺は。確かにナイツの漫才は好きだし、ナイツのラジオ番組、TBSもニッポン放送も、よく聴いていますが。
 なお、26日の公演は、チケット代2,500円(税込)で、U-NEXT、PIA LIVE STREAM、Streaming+の3つで生配信もされた(アーカイブ視聴は10月27日(火)23:59まで)。さらに後日、「ディレイ・ビューイング(おまけ映像付き)」もあり。こちらは全国の映画館にて、11月15日(日)16:00と16日(月)13:00/19:00に上映、チケット代は2,800円。
 というわけで、これもその「ディレイ・ビューイング」前なのでネタバレ自粛しますが、もう、とにかくおもしろかった。特に、最後にやった、いわゆる「漫才」の枠を超えた形での大ネタ、死ぬほど爆笑した。特に土屋伸之のしゃべり、元ネタにそっくりだったり、長尺セリフを余裕でクリアしていたりして、見事だった。得意なんだろうな、このネタ。

10月28 日(水)18:30 『フリムンシスターズ』@渋谷・シアターコクーン

 演出家・劇作家の松尾スズキ、自身が芸術監督になってから初めての、シアター・コクーンでの演劇。書き下ろし。大阪公演もあり。直前に重要な出演者のひとりである阿部サダヲが、新型コロナウィルスに感染して稽古ができなくなったりしてヒヤヒヤしたが、10月24日(火)から無事に公演がスタート。で、私がチケットを取っていたのがこの日でした。
 公演はまだまだ続くし、11月12日(木)にはライブ配信もあるし、大阪もあるので内容に触るのはやめときますが、ふたつだけ。まず、わかりやすい! 松尾スズキの演劇の中で過去屈指のわかりやすさ、間口の広さなのではないかと感じた。わかりやすくするために薄めたのではなく、濃いままでわかりやすくなった感じ。
 で、もうひとつは、阿部サダヲ、こんなに出ずっぱりの役だったのか!ということにシンプルに驚いた。これで2週間くらい稽古に参加できなくなった、というのはかなり致命的なはずだが(本人にとってだけでなく、共演者たちにとっても)、それ、観ていてまったく感じなかった。
 あ、11月12日(木)のライブ配信は、WOWOWメンバーズオンデマンドとSPWNにて。前者はWOWOW加入者が無料で観れるやつで、後者はチケット3,500円、どちらも11月15日(日)23:59までアーカイブ視聴可能。

10月30 日(水)21:00 フラワーカンパニーズ@京都磔磔/Streaming+(FC会員限定)

 「無観客だからこそ、普段自分たちがワンマン切れない会場でやれる」という、前代未聞の発想による横浜アリーナ無観客生配信ライブを、8月27日(木)に行ったフラワーカンパニーズの、次なるむちゃな企画がこれ。関西における彼らのホームである京都磔磔で、全曲新曲のライブを行って収録し、それをこの日に配信する、というもの。ファンクラブ会員限定の有料配信、チケット代は税込2,000円で、11月2日(月)23:59までアーカイヴ視聴あり。
 要は、ニューアルバムの制作作業に入っていることを公言していたフラカンが、そこに収録される候補(なのだと思う。全曲入れるとも、入れないとも、言わなかったので)の曲をずらっと並べる、というライブである。これ以前にライブで披露したことがあるのは、ライブ会場&通販限定で先に販売が始まったニューシングルの「履歴書」の表題曲のみ。そのカップリングに入っている「一週間」も、まだ人前ではやったことがない。という状態で、本編11曲、アンコールに「履歴書」を追加して、全12曲をプレイしたのだった。
 新曲、全体的に、メロディ重視の、いわゆる「いい曲」が多いな、という好印象だったが、びっくりしたのは、ベース&リーダーのグレートマエカワが歌う曲が1曲、そしてギター竹安堅一が歌う曲が1曲あったこと。フラカン31年のキャリアの中で、グレートがリードボーカルをとる曲はこれで3曲目、竹安に至っては初だ。メンバー4人がリレー式に歌う「いいことありそう」という曲はあったけど、彼が頭から最後まで歌うのは、初めて聴いた。
 グレートの方は、いつも「まあまあ」な自分を歌った曲で、竹安の方は、新型コロナウィルス禍で活動できなくなっていた時期に書いたことが、モロにわかる曲だった。ニュー・アルバムに入れるのか入れないのか知らないが、入れてほしい。

  • 兵庫慎司

    TEXT

    兵庫慎司

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