ASKA、今秋の「Who is ASKA !? 」全国ツアーでは観客が求める楽曲に“ありったけ”で応え、熱量高いステージを届ける

インタビュー | 2024.06.06 17:00

数多くの名曲、ヒット曲を生み出してきたASKAのソングライティングの素晴らしさを今更説明する必要はないだろうが、それと同様に、あるいはそれ以上に彼がライブの現場で積み重ねてきたもの大きさを見逃すことはできない。昨年は、ASKAが長く敬愛してきた世界的な音楽プロデューサー、デイヴィッド・フォスターとの共演を実現し、さらには自身のワンマン・ツアーも果たした。そして今年は、9月から来年2月まで続くツアーに臨む。

音楽デビュー45周年を迎えてますます熱量が高まっているように見えるライブへの想い、“Who is ASKA !?”と題した全国ツアーへの意欲を聞いた。
──まず、45年もの間、圧倒的な数のライブを重ねてこれた、その理由を考えると、やはりライブが好きということになるんでしょうか。

いや、僕はね、最初の頃ライブが嫌いだったんですよ。

──そうだったんですか!?

アマチュアの時は前に向かって行くだけだったので、「好きだ」「嫌いだ」は言ってられなくて、とにかく先だけを見てライブをやってました。で、プロになった瞬間からですね。自分に向けるプレッシャーが結構大きくて…。

──自分でプレッシャーをかけていたんですか。

「プロになったんだから」という、必要以上の力が入ってたんです。人間って誰しもそうですけど、素の自分を見せるということは難しいじゃないですか。少しでもよく見られたいって思いますよね。その意識が強かったんでしょうね。ライブではとにかく等身大の自分じゃない自分を見せるんだ、そういう自分を演出するんだという気持ちが強くて、本当に1本1本大変な思いをしてたっていうのがデビュー当時でした。ですから、実はライブはあんまり好きじゃなかった…。というよりも、苦手でしたね。だって、幕が…、昔は緞帳ですけど、それが上がるのを待ってる時に自分の着てるシャツが心臓の鼓動で揺れるのがわかるんですよ。ボンボンって。そのくらい緊張してましたね。

──ちょっと話は飛びますが、高校までずっと続けられていた剣道をまた始められましたよね。そこでは、それこそ真剣勝負というか、集中して相手と向き合うから、緊張感もすごいと思うんですが、その緊張感とは違うものですか。ライブが始まる前のドキドキというのは。

違います。だって、よく思われたいですから。自分がどれだけのものかっていうのは、わかってるわけですよ。だけど、そこを出しちゃいけないっていう妙な…、プレッシャーを自分で与えてましたね。剣道では逆で、子供の頃から観客が多ければ多いほど大胆な技は出せたんですよ。優勝戦なんて、観客が周りを全部囲むわけじゃないですか。大好きでしたね、そういうのが。

──剣道ではよく見せようという気持ちがないから集中できるということですか。

相手を飲み込むっていう気持ちが強かったんだと思います。どの技で勝ってやろうかということしか考えてなかったんで。負けるっていうことは考えてなかったんですよ。どうやって勝ってやろうか、どの技で勝ってやろうかっていうね。そういう背負ったところがライブについては、デビューしたばかりの新人の頃にはまだなかったということですね。だから、デビューしたての頃は「どうぞお付き合いください」だとか「ご覧になってください」ってよく言ってたんですけど、ある時からそれをやめたんです。そうじゃなくて、“どうぞ見てくれ!”という気持ちに切り替わったんですよ。その瞬間からすごく楽になりましたね。

──何か、きっかけがあったんですか。

デビュー当時からずっとお客さんが増え続けていたなかで、“もしかしたらやれるかもしれない”という自分に対する期待感、それにこれから先の希望みたいものが備わってきたんでしょうね。デビュー当時は、どうなりたいか、どうしたいのかっていうことさえ答えられなかったですから。

──“どうぞ見てくれ!”という気持ちに切り替わって楽になると、今度はお客さんを楽しませようというような気持ちになっていったんでしょうか。

ある日気がついたことがあって。それは楽しませるっていうよりも、自分が楽しくないとお客さんは楽しくないんだということなんですよ。コンサート当日、会場に来られる方々というのは、時間も、それからお金も、そう対価を払って来られてるわけじゃないですか。そこでですね、自分が思いっきり楽しんでる時って、お客さんも喜んでくれるんですよ。

──なるほど!
  • 兼田達矢

    取材・文

    兼田達矢

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