兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第69回[2020年12月前半]編

コラム | 2020.12.23 17:00

イラスト:河井克夫

 音楽などのライター兵庫慎司が、半月の間に観たすべてのライブについてレポを書いてアップしていく連載の、2020年12月の前半編です。新型コロナウィルス禍以降は、配信で観たライブと、現場で生で観たライブの両方について書いています。今回は、4本中3本が生、1本が配信、という割合になりました。

12月1日(火)19:00 フラワーカンパニーズ@新代田FEVER/Streaming+

 フラワーカンパニーズが11月30日(月)・12月1日(火)新代田FEVER、12月16日(水)・17日(木)京都磔磔の計4デイズ、ほぼかぶり曲なしのセットリストでライブをやる企画の2日目。かつ、2020年は、毎月新代田FEVERでゲストを招いて対バンでライブを行うはずだった、その企画の一環として「『月刊フラカンFEVER2020』〜シリーズ初のワンマン2デイズ!〜」というタイトルが付いたライブでもあった。
 人数限定座席ありで有観客、生配信もあり。生配信のチケットは各日2,500円・通しで4,500円、プラットフォームはStreaming+、12月6日(日)23:59までアーカイブ視聴可能だった。
 本編16曲でアンコール1曲の全17曲のうち、前日もこの日もやったのは、12月23日リリースのニュー・アルバム『36.2℃』の先行シングルとして、ライブ会場等で販売が始まった「履歴書」1曲のみ。なお、『36.2℃』からは、前日は「一週間」、この日は「こちら東京」が披露された。
 というわけで、昨日はやってない曲だらけ、ツアーで言うと初日みたいなもんなんだから、とっちらかり気味なライブになってもおかしくないが、なのになぜかちゃんと「2日目ならでは」的などっしりした落ち着きのあるステージになっていたのが不思議、というか、さすがだと思った。
 あ、鈴木圭介のMCだけは、昨日はそんなことなかったのに、この日はあらぬ方向にとっちらかりまくっていたが、それも含めて楽しんでくれるお客さんの度量の深さも、いいライブになった大きな要因、という気もした。言ってしまえば特殊な時期で特殊な状況であるにもかかわらず、こうしてフラカンを観に来るみなさんだけのことはある。

12月5日(土)20:00 電気グルーヴ@リキッドルーム/ZAIKO

 電気グルーヴのファンクラブ「DENKI GROOVE CUSTOMER CLUB」の会員限定で観ることができる、リキッドルームで収録した無観客の配信ライブ。チケット代は3,600円、プラットフォームはZAIKO、12月8日(火)23:59までアーカイブ視聴可能。
 2019年3月の30周年ツアーの東京公演がピエール瀧の逮捕で飛び、復活一発目のライブになるはずだった2020年8月のフジロック・フェスティバルがコロナ禍で延期になった。ので、配信とはいえ、本当に待ちに待った、1年9ヵ月ぶりの電気のライブである。
 タイトルは『FROM THE FLOOR 〜前略、床の上より〜』。石野卓球とピエール瀧、サポートの牛尾憲輔(agraph)と吉田サトシ(ギター。以前は数曲参加することが多かったが、この日は出ずっぱりだった)の4人が、リキッドルームの客席フロアにセットを組んで行うライブだった。事前にDGCC(ファンクラブの名称。DENKI GROOVE CUSTOMER CLUBの略)のサイトにアップされたコメントによると、「うちらみたいなグループは、ステージにいて無観客でやった場合、瀧がサムすぎる」のでそうした、とのこと。確かに。
 8月にオンラインのフジロックで曲をMVを初公開、配信リリースされたばかりの新曲「Set you Free」でスタートし、最新アルバムのタイトル・チューン「TROPICAL LOVE」で終わる全15曲。現体制=1999年にまりんが脱退して卓球&瀧のふたりになる前の曲は「B.B.E.」だけ、あとはすべてそれ以降の曲、というセットリストも、パフォーマンスそのものも、最高だった。セットリスト書いておきます。
1 Set you Free/2人間大統領/3 Missing Beatz/4 モノノケダンス/5 SHAME/6 B.B.E./7 SHAMEFUL/8 顔変わっちゃってる。/9 Fallin’ Down/10 Upside Down/11 MAN HUMAN/12 Baby’s on Fire/13 Nothing’s Gonna Change/14 Flashback Disco(is Back!)/15 TROPICAL LOVE

 なお、後日、このライブの「Set you Free」が、macht(電気のレーベル)のオフィシャルYouTubeチャンネルにアップされた。こちらです。

DENKI GROOVE - Set you Free(LIVE / FROM THE FLOOR 2020)

12月14日(月)19:00 突然少年@下北沢シェルター

 11月22日(日)に、ギターのカニユウヤがバンドを離れること、本人は戻る意志はないがメンバーは3人で活動しながら彼の帰還を待つということが、発表になった突然少年。その時の私の困惑は、この連載に書きました。
こちら。 ≫ 兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第67回[2020年11月前半]編
 が、結局、12月5日(土)大阪・心斎橋ANIMAのライブから、カニユウヤ、バンドに復帰した。ああ、よかったあ。その後に何があったのか、どんな話し合いが持たれたのか等は全然知らないが、とにかく、よかったあ。
 で、THE TOMBOYSの企画に出演したこの日の下北沢シェルターを観て、それ以上の意味で「ああ、よかったあ」であったかもしれない、ということを知って、ちょっとびっくりした。
 彼が一度はバンドを離れた、ということは、簡単に言えば、何かでもめたとか、他のメンバーとの間に意見や意志の齟齬があったとか、そういうことなのだと思うが、いったん離れたことによって膿が出てすっきりしたのか、それ以前のライブよりも、さらによくなっていたのだ。
 4バンドが出演するイベントなので、持ち時間が短くて、ゆえに代表曲ばかりがガッと並んだセットリストだったのも功を奏した部分もあったのだろうが、演奏そのもの、パフォーマンスそのものが、なんというか、澄みきったような印象を受けた。カオスな爆音&絶叫のバンドなのに。THE TOMBOYSのファンにも確実に刺さったな、これは。と感じた、フロアの様子を見ていて。

12月15日(火)19:00 佐野元春&THE COYOTE BAND@LINE CUBE SHIBUYA

 東京、神奈川、京都、大阪、名古屋を回る5公演のホール・ツアー『TOUR 2020 ‘SAVE IT FOR A SUNNY DAY’』の2本目である東京公演。このDI:GA ONLINEにレポを書く、という仕事で観ることができて本当にラッキーだった、と感謝したくなる、本当にいいライブだった。
レポはこちらです。
佐野元春 & THE COYOTE BAND 特別なメッセージを込めたコンサートを開催。「舞台は、僕たちの場所。みんなの希望になるように」

 余談。曲が終わって言う「ありがとう」や、MCでの「今日はこうしてみんなの前でライブができて、本当にうれしいです」という言葉。そのたびに「ああ、この人、心底そう感じて言っているなあ」ということが伝わってくるのが、僕が佐野元春のライブをいいなあと思うポイントのひとつだったりする。シンプルな言い方なのに、嘘や誇張がない感じ。

《レポート》佐野元春&ザ・コヨーテバンド「Save It for a Sunny...

佐野元春(Official)さんの投稿 2020年12月15日火曜日

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