兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第71回[2021年1月前半]編

コラム | 2021.01.22 15:00

イラスト:河井克夫

 音楽などのライター兵庫慎司が、主に音楽のライブ、時々演劇やお笑いやプロレス等の「生で観たもの」に関してレポを書き、半月に一回のペースでアップしていく連載、世の中大変な状況ですが、それでも「配信ライブもOK」というルールで続けております。2021年の一発目である今回=1月前半は、全4本で2本が配信、2本が生です

1月5日(火)19:00 ウルフルズ@中野サンプラザ/PIA LIVE STREAM

 2020年12月30日(水)・31日(木)大阪フェスティバルホール、2021年1月5日(火)中野サンプラザの『ウルフルズ ライブ2020-2021』3本の3本目、中野サンプラザ。この3本目のみ、PIA LIVE STREAMで生配信あり。1月8日(金)18:00〜1月17日(日)までアーカイブ視聴可能で、チケット代は手数料等込で3,830円でした。トータス松本、ジョンB、サンコンJr.のメンバー3人に、ギター桜井秀俊(真心ブラザーズ)とキーボード浦清英が加わった5人体制でのステージ。
 なお、大阪の1日目は『 〜とにかく歌えれば。〜』、2日目は『~あーだこーだOh!みそか!~』、そしてこの東京は『〜Happy New Yeah!! 好きでよかった〜』というサブタイトルが付いていて、3日とも違うセットリスト。で、この日は、サブタイトルどおり「バンザイ〜好きでよかった〜」でスタートし、「それが答えだ!」「タタカエブリバディ」「センチメンタルフィーバー〜あなたが好きだから〜」「生きてく」「ワンダフル・ワールド」──と続いていく、セットリスト自体が、こんな状況の中でも集まってくれたオーディエンスへの、あるいは配信でこのライブを観ている人への、メッセージになっているような、とてもエモーショナルなライブだった。
 大阪2日のサブタイトルはトータスとサンコン、この東京はジョンBが付けたとのこと。トータス、今日はセットリストもジョンBが考えた、自分には思いつかないものになっている、俺の中にはない発想や、と、ジョンBを称賛する。
 確かに、A・A・P(アホアホパワー)とか言っていても、どんなに華やかでにぎやかな音楽をやっていても……いや、そういうものをやればやるほど、同時に怒濤のようなセンチメンタリズムを放つ、要は泣ける、というウルフルズの大きな魅力をたっぷり味わえるセットリストになっていたが、そういう構成が得意なのって、トータスでもサンコンでもなくジョンBな気はする、確かに。

1月8日(土)17:00 サンボマスター@横浜アリーナ/Streaming+

 当初は結成20周年の一連の活動の締めとして設定された、自身初の横浜アリーナでのワンマン。新型コロナウイルス禍を受け、収容者数を減らして配信もありで行うことになっていたが、2020年12月以降の感染の急速な拡大加速を受けて、有観客での開催を見合わせ、無観客での配信ライブに変更することが、12月22日(火)に発表された。
 この公演、配信/中継の方は、複数の方法で行うことが決まっていた。まず、インターネットでの有料生配信は、Streaming+。視聴券のみは3,300円、Tシャツ付視聴券は6,600円(共に税込)。で、有観客公演の中止を受けて、アーカイブ視聴の期間が、1月17日(日)23:59まで延長になった。
 そして、JOYSOUNDがやっている、全国のカラオケルームでライブ配信を観ることができるサービス『みるハコ』でも視聴可能、室料別で3,000円。それから、テレ朝チャンネル1とスカパーオンデマンド(アーカイブ配信は1月11日(月)23:59まで)でも中継された。私はStreaming+で観ました。
 さて。一度でも観たことのある方はご存知のように、「そんなもんですかあんたたち!」とか「全員優勝! 全員優勝!」などと、それはもう執拗にオーディエンスをあおって、何度も語りかけて、コール&レスポンスをくり返して──という、徹底的に「巻き込み型」のライブをやるのがサンボマスターである。なのに無観客で、しかも場所はだだっ広い横浜アリーナ、って、大丈夫なんだろうか。
 と、始まる前は心配になったりしたが、杞憂もいいところだった。「おまえらここ無観客だと思ってんのか! おまえらが観てるのに無観客のわけねえだろ!」と、山口隆、通常のライブの時とまったく同じ勢いで、レンズの向こうのオーディエンスをあおりまくりながら、次々と曲を放っていく。最初は「でもこの人たちの目の前、誰もいないんだよなあ」とか思ったが、観ているうちに3人のその異常な高さの熱に、どんどん引き込まれていく。
 1曲目「ロックンロール イズ ノットデッド」から、ライブで披露するのは10年ぶりだという7曲目「きみはともしび」までやってから、セカンド・ステージに移り、「ライブハウスでのサンボマスターです」(山口)という趣旨で5曲やったのだが、その移動の時に映った客席を見て、「あ、そうだった、無観客なんだった」と思い出した。つまり、それまで忘れていた。というくらいだった。
 そんな、終始大興奮&大感涙のライブでありながら、本編ラストの「花束」では、ベース近藤洋一が途中でいなくなる→コタツに入ってこの配信ライブを観ているところが画面に映し出される→スマホで、ドラム木内泰史のツイッターアカウントをブロックしたり、山口と木内の写真を撮ってアップしたりする──というばかばかしい展開になって、「泣かせる」と「くだらない」がちゃんとセットになっているのが、さすがサンボ、これぞサンボ、と思ったりもした。
 あと、アンコールの最後に、事前に募ったファンたちの映像が、3人の背後の巨大画面いっぱいに投射される、という演出も、とても効いていた。
 なお、このライブに、当日のバックステージの映像や、結成20周年を迎えたサンボが過去の思い出の場所を巡る映像(おそらく、ライブ当日にStreaming+で、開演15分前から流れたやつだと思う)を加えた特別番組『結成20周年の軌跡「ラブ フロム サンボマスターat 横浜アリーナ」完全版』が放送されることが、後日発表になった。
CSテレ朝チャンネル1にて、3月6日(土)15:00から。詳しくはこちら。
結成20周年の軌跡「ラブ フロム サンボマスターat 横浜アリーナ」完全版

1月13日(水)18:00 syrup16g@新木場 USEN STUDIO COAST

 遡ることもう11ヵ月、になるのか。syrup16gのツアー『SCAM:SPAM』の追加公演、『SCAM:SPAM:SCUM』2020年2月28・29日@新木場スタジオコーストの公演の3日前に、政府が「新型コロナウイルス感染拡大予防協力要請」を発表。それを受けて、興行としては急遽延期になったが、それ以前から決まっていたニコニコ生放送での中継は、そのまま行われた。
 2日とも観て、所属レーベルのサイトにレポを書きました。
兵庫慎司によるsyrup16g 『SCAM:SPAM:SCUM』 2月28・29日新木場スタジオコースト 無観客公演レポート
 で、その後、一度は6 月22・23日で、振替公演の日程が出たものの、それも開催不可能になり、再度出た振替スケジュールが、2021年1月13・14日、2月2・3日の4デイズ。『SCAM:SPAM:SCUM:SLUM』と銘打って行われることになったが、開催直前に二度目の緊急事態宣言が出て、平日なのに開演時間を19時から18時に繰り上げるしかなかった。という、いろんな厳しい状況の中で、決行された4デイズの初日がこの日。
 一回の入場者数を600人に絞り、入場時のCOCOA確認や体温測定や消毒や歓声NG等のルールを敷いて感染予防に務め、1Fフロアは座席のように床に番号を振ってその位置に立ってもらう、というオペレーションでの開催だった。翌日に続く。

1月14日(木)18:00 syrup16g@新木場 USEN STUDIO COAST

 というsyrup16gのライブ、1月・2月合わせて4デイズのうちの2日目が、この日。1日目も2日目も、とにかくもう、すばらしかった。
 2019年後半から、全国各地2デイズで回ってきたこのツアー、そもそも、1日目と2日目でセットリストが違う、という趣旨で行われたものであり、なので、前日とこの日もまったく異なるセットリストだった。だから書いちゃってもいいような気もするが、でも2月の2デイズがまだなので、やめた方がいいか。やめときます。レアな曲、ライブの鉄板曲、個人的に大好きな曲など、聴けてうれしい曲が山ほどあった、というくらいにしておきます。
 久々にオーディエンスの前でライブができる3人の喜びと、久々に生でsyrup16gを観ることができるファンの喜びが、ぶつかってスパークしっぱなしみたいな時間だった。「歓声NG」というルールなので、お客さんは終始シーンとしているんだけど、もともとわりとそういうバンドであることが、「だから気にならない」という、いい効果を生んでいた気もする。その分、曲が終わるたびに湧き上がる拍手のボリューム、人数を絞っているとは思えないほど大きかったし。
 総じて、言内省的でダウナーな曲が大半を占めるこのバンドのライブとしては、めずらしいくらいだったかも。と言いたくなるほどの、歓喜に満ちた時間だった。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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