兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第97回[2022年2月はライブが多いので3回に分けて書きます、の前半・宮田和弥、フラワーカンパニーズ、宮本浩次、くるり、ズーカラデルを観ました]編

コラム | 2022.02.21 18:30

イラスト:河井克夫

 音楽などのライター兵庫慎司が、生もしくは配信で観た、基本的に音楽・時々お笑いや演劇やプロレスなどのレポを書いて、月二回ペースでアップする連載の97回目、なのですが。
 2022年の2月は、数えてみたところ、前半は9本、後半も9本ありました。いくらなんでも多すぎる、こんなん長すぎて読む気なくすだろみなさん、と判断し、今月に限り、三回に分けることにしました。
 というわけで、今回は、2月1日(火)から2月12日(土)までのレポ、生が4本で配信が1本の計5本です。

2月1日(火)18:30 宮田和弥@京都磔磔/Streaming+

 宮田和弥、56歳の誕生日に、京都磔磔にて、バンド編成でワンマンライブをやり、生配信も行う。と聞くと、オーソドックスに感じるが、この時点で8年ぶりのソロアルバム『The 21』が既に完成しており、発売日の2月12日(土)から、それを携えて全14本の弾き語りのツアーに出て、それが終わると続けて東名阪をバンドセットのツアーで回って、締める。という前に、まず、この2/1磔磔で、『The 21』収録の12曲を、曲順どおりに全曲プレイして配信もする、という企画なのだった。
 なるほど、おもしろそう。というわけで、配信で観た。頭に「愛したいんだ」「ロギンダンス」「シンクロニシティ」の3曲をやって、4曲目から16曲目まで『The 21』を曲順どおりに披露。お客さんが知らない曲ばかり立て続けにやるから、というのと、おそらく換気の必要もあって、3曲か4曲ごとにMCをはさみながらプレイした。
 で、16曲目、「フリージア」で全曲披露を完走して本編終了、アンコールで「チョコロール」「陽はまた昇る」「Save me」を追加、という全19曲。期待通りおもしろかった、スリリングで。っていうか、知らない曲ばかりだと、その分、集中して観るし、聴くもんですね。あたりまえか。
 なお、このツアー会場で『The 21』を買うともらえるフリーペーパーに掲載されている宮田和弥のロング・インタビュー、私が担当しました。オフィシャルサイトにもアップされています。よろしければぜひ。 ≫ 宮田和弥 5th Album『The 21』official interview

2月4日(金)19:00 フラワーカンパニーズ@下北沢CLUB Que

 『フラワーカンパニーズ ワンマンツアー 「ザッツオーライ、発車オーライ」』の東京公演。フラカンがCLUB Queでやるのは6年ぶり。フラカンの動員力を考えるとキャパが小さいので、普段はやらないが、ここのところ東京でのライブが多かったので、小さくてもOKじゃないか、と判断したこと。2月4日はフラワーカンパニーズが28年前に上京した日で、その日にライブをやりたかったこと。であるなら、その頃よくお世話になっていたCLUB Queでやりたかったこと。以上、ブッキング担当のグレートマエカワさんが、このスケジュールを切った理由の予想でした。そんなに外れてないと思います。
 というわけで、グレートは、当時、上京にあたって名古屋から持って来たTシャツの中で、今も2枚だけ残っているうちの一枚=吉野家Tシャツをオーバーオールの下に着て登場。
 セトリはこのツアーの他の箇所と同じく、近年の曲とライブの定番曲がバランス良く交じる並びだった。後半で「ギターリフがかっこいい曲・フラカン内第1位」(と僕が思っている)である「NUDE CORE ROCK'N'ROLL」をやってくれたのに、しびれた。というか、うれしかった。

2月6日(日)18:00 宮本浩次@新潟テルサ

 『宮本浩次 TOUR 2021〜2022 日本全国縦横無尽』の20本目。個人的に、1本目の川口(10/20)、10本目の広島(11/21)、15本目の大阪(12/19)と観て来て、これで4回目になる。
 このツアー、行く先々で、お客さんの「うれしそうさ」「喜びっぷり」「興奮度の高さ」「多幸感」などを、強く感じることがとても多い。コロナ禍ルールで全員マスク着用だから表情が見えにくいし、歓声を上げたり一緒に歌ったりできないにもかかわらず、その場にいると肌で感じるというか、空気で感じるというか。
 で、この日は特にそう感じたんだけど、俺だけかな、どうかな、と思っていたら、アンコールの恒例のMCコーナーで、小林武史がそのことに触れていた。自分はお世辞とか言う方じゃない、本当に感じた、お客さんが熱かった、と。
 ただし。開演前に、キョードー北陸のこの公演の担当者からきいて、初めて知ったんだけど、新潟、去年も一昨年も、緊急事態宣言もまん防も一切出なかったそうですね。だから、現在のまん防が初めてで、地元はこれまでにない緊張に包まれているそうです。そういう状況の中での、あんなに熱い時間だった、と思うと、またいろいろと考えさせられるものがある。

2月11日(金・祝)17:30 くるり@東京ガーデンシアター/(後日)Streaming+

 大阪と東京で行われた、結成25周年ライブ『くるりの25回転』(正確には昨年2021年で25周年だが、コロナ等、諸々の事情でこの時期になったのだと思う)の東京編。
 二部構成、アンコールありで、全27曲。岸田繁と佐藤征史を含めてミニマム3名、最大12名の編成で、ファースト・アルバム『さよならストレンジャー』の1・2曲目である「ランチ」「虹」で始まり、リリースした時系列に沿って曲を披露していく。
 基本はシングル曲で、時々インストである「惑星づくり」のようなレアな曲もはさまったりする構成。岸田曰く「わりとくるりにしては、人気の曲をやってます」。普段は、フェス出演時とかでも平気でシングル以外を並べたりするバンドなので、確かに、と納得。
 ただし、デビューシングル「東京」はやらずに始まったので、アンコールで追加するのかな、と思ったが、やらないままで終わった。というのもくるりらしいなあ、と思ったが、考えたら、他にもやらなかった人気曲、いっぱいありますね、「ハイウェイ」とか「ブレーメン」とか、「Baby I Love You」とか「HOW TO GO」とか。単に、尺的に入らなかったのか。
 とにかく、じいっと耳を傾けていること、そのものが、つくづく至福な時間だった。音もプレイも最高で。超満員だし、配信もすればよかったのに、もったいない、と思ったら、2月26日からStreaming+で配信することが決まったようです。よかった。詳しくはこちら

2月12日(土)17:30 ズーカラデル@Zepp Haneda

 ニューアルバム『JUMP ROPE FREAKS』のリリース・ツアー『JUMP ROPE MADNESS TOUR』、全9本の1本目。コロナ感染予防対策で、Zepp Hanedaの1Fフロアに座席を置いた仕様でのライブ。
 で、このツアー、3月20日(日)の新潟まで続くので、詳細を書くのは自粛しておきますが、ひとつだけ。私、この前日に、くるりの25周年ライブに行きました。で、この翌日と翌々日に、宮本浩次の全都道府県ツアーの東京公演、国際フォーラムホールAの2デイズに行きました。
 くるり、二部構成でアンコールありでした。25周年の特別なライブだったからだと思います。宮本浩次の2デイズも、二部構成で、アンコールありでした。こちらはここ数年、いや、もっと前からか、ソロでも、エレファントカシマシでも、いつもそういう構成で、ライブをやっておられます。
 で、その間に観たこのズーカラデルのツアー初日。曲数も、ライブ自体の尺も、くるり・宮本浩次と、ほぼ同じだったのだ。しかも、二部構成でもない。
 なんちゅう新人だ。いや、でも、『JUMP ROPE FREAKS』、15曲も入っていたからかな、とも思ったが、終わって気がついた、その15曲を全部やったわけではないことに。要は、このキャリアにして、これだけの尺をもたせるくらい名曲揃いであるということだ、既に。

 というわけで、次回、宮本浩次東京国際フォーラム2デイズから始まる、2022年2月中盤編に続きます。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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