兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第108回[2022年6月前半・突然少年、宮本浩次@周南、真心ブラザーズ、ピーズ、Saucy Dog、フラワーカンパニーズ、宮本浩次@代々木、Bug Holic、の8本を観ました]編

コラム | 2022.06.22 17:00

イラスト:河井克夫

 音楽ライター兵庫慎司が、基本的に生、時々配信で観たすべてのライブ=主に音楽、時々それ以外のレポを書いてアップしていく連載の108回目=2022年6月前半編です。今回は配信はなし、演劇とかスポーツとかの音楽以外のものもなし。音楽のライブ、8本を観て書きました。半年以上にわたって気にし続けていた、そして結局10本観た宮本浩次の全都道府県ツアーが終わってしまったことに、何か、喪失感のようなものを感じています。

6月1日(水)20:00 突然少年@下北沢シェルター

 ここ1年ちょっと、バンド名を「初恋 from 突然少年」に変えて活動してきたが、この日から「突然少年」に戻ります、というワンマン。コロナ禍もずっと切れ目なくライブを続けてきたバンドで、ちょいちょい観に行っていたのだが、もともとライブの数がめったやたらと多いので、お客さんが散っちゃってなかなかフルハウスになることがなかった上に、コロナ禍以降は感染予防で人数の制限があるので、フロアに余裕のある状態でこのバンドを観ることに慣れていた。ここ2年くらいは。
 なので、シェルターに着いて、びっくりした。満員! いや、もちろん感染予防対策で上限は抑えているのだが、にしても、開演時間を超えても入場が終わらないくらいの人が集まっている。こんなにファンいたのか、このバンド。ってすごい失礼だな俺。でも驚いたし、うれしかった。
 お客さんたち、今日が特別なライブと判断して集まったのだと思う。男多し。みなさん歓声を飛ばしたりはせず、静かに観ているが、異様に真剣。片時も観逃すまい、聴き逃がすまい、みたいな表情で、ステージに神経を集中している。
 突然少年の4人も、脱がないし(以前は全員上半身裸だった)、力任せに爆音でねじ伏せるというよりも、一音一音に神経を注いで演奏しているように思えるが、かといっておとなしくなったのとは真逆で、音にも声にも一挙手一投足にも、鬼気迫るものがある。ステージの上からも、フロアからも、ものすごい波動のようなものが終始放たれている、そういう感じだった。
 途中のMCで、バンド名を突然少年に戻したこと、1年ちょっとサポートを務めてきたドラムのピエール畳(本名:篠原賢)が正式メンバーになったこと、2015年から7年間一緒に活動してきたマネージメントから離れてフリーになったことが、MCで発表になった。これからも追おうと思う。

6月2日(木)18:30 宮本浩次@山口周南市文化会館

 昨年10月から始まった全都道府県ツアー『日本全国縦横無尽』のファイナル。当初のファイナルは5月15日(日)の沖縄・石垣市民会館 大ホールだったが、3月の4公演が宮本のコロナ陽性で延期→振替になり、この山口が最後(48公演目)になった。
 追加が発表された『縦横無尽完結編』6月11日(土)・12日(日)東京・国立代々木競技場 第一体育館(宮本のバースデー・ライブでもある)がまだ残っているとはいえ、全国各地を回るのはこの日が最後だし、宮本、たまにライブで感極まって涙を見せることもあるので、今日のステージではついしみじみしたり、感涙したりするかもしれない。
 と、観る前は思ていったのだが、そんな空気ゼロだった。ものすごい勢い、すさまじいテンション。一区切り感ゼロ、明日からもツアーが続きそうなくらい。いや、アンコールのMCでは、「ファイナルですねえ」という会話になったし、そこでひとこと求められたギターの名越由貴夫が「感無量です」と言ったりもしたのだが、メンバーの出している音も、宮本が発している声も、そういうムードではなかったのだ。
 代々木ではそういう、一区切りなムードになるんだろうか。なっても、ならなくても、いっそう楽しみになった。

6月5日(日)17:00 真心ブラザーズ@草月ホール

 ふたりで全国を回って来たツアー『真心道中歌栗毛』のファイナル。ということで、ふたりともスーツで登場(YO-KING曰く「今日以外は、家から来たままの格好でやってたくせに)。
 で、「BABY BABY BABY」「愛のオーラ」「いい天気」「光るひと」までやったところでYO-KING、「いや、今日も調子いいわ! にやけちゃうよね」。確かに「愛のオーラ」の途中でニヤニヤしていた。が、それ、お互いのスーツ姿がおかしくて笑っていたことが、後のMCで判明。漫才師のようだ、寄席感がある、爆笑問題みたい、そういえば昔対談したことがある、などと言い合うYO-KINGと桜井秀俊。
 お客さんからのリクエスト曲を箱から引いて歌う、できない場合は謝る、という「三楽会」のコーナーでは、最初に引いたのが「アメンボ」で、できないと判断し「すみません!」と頭を下げたふたりのお辞儀、ぴったり息が合っていて、爆笑が巻き起こった。
 次に引いた「のりこえるの歌」は歌えたが、途中の歌詞を忘れたYO-KINGが即興で歌詞をでっち上げる。その次に引いた「うまくはいえないけど」は、普通に歌えているようだが、歌詞の一番二番の順番が、だいぶあやふやだった。
 その次の「THE MASKERS」のコーナー(ザ・タイマーズ的なやつ)では、カバーを3曲披露。続くMCでは桜井が教頭、YO-KINGが金八に扮してモノマネをやる展開になり、しばしがんばった桜井が「すみません、許してください!」と土下座。また爆笑。
 などなど、何もそこまでと言いたくなるほど笑いどころの多いステージだったが、テレ東の番組でオンエアされている新曲「白い紙飛行機」を披露したり、個人的に大好きな「頭の中」をやってくれたりと、セットリスト的にも大満足な内容だった。
 あと、11月から翌年1月まで「真心ブラザーズ ライブ・ツアー『FRONTIER』」を行うことが、この日発表になった。10本のうち、CRAZY BUFFALOES(グレートマエカワ&サンコンJr.)と回るのが6本、Low Down Roulettes(岡部晴彦&伊藤大地)と回るのが4本。これも楽しみ。

6月8日(日)19:00 ピーズ@豊洲PIT

 結成35周年(の前日)記念ライブ。開催前日にチケットがソールドアウトする、という、5年前の30周年日本武道館の時と同じ、なんともピーズらしい展開。このライブのレポ、某所に書きます。まだアップされていませんが……というか、ライブが終わってけっこう経ってから「なんか書けませんか?」と打診が来た、というめずらしいパターンだったもんで、まだ書いてもいないんですが、書いて、納品して、アップされたらここに貼ります。なので、詳しくはそちらを。

6月10日(金)18:30 Saucy Dog@日本武道館

 Saucy Dog、日本武道館2デイズは1年前にも行っているのだが、その時はコロナ感染予防対策で一席飛ばしだった。今回はフル、しかも客席360度仕様での開催。演出が豪華だったのも含めて、何から何までスペシャルなライブだった。でも……というようなことを、このDI:GA ONLINEにアップされたレポに書いていますので、ぜひ。
 ≫ DI:GA ONLINE:Saucy Dogが初アリーナ・ツアーを完走!日本武道館2デイズの2日目をレポート!

6月11日(土)16:45 フラワーカンパニーズ@横浜ランドマークホール

 ツアーの年もあれば単発の年もあったし配信の時もあったが、とにかく毎年行っているアコースティック編成でのライブ『フォークの爆発』、今年はこの日に横浜ランドマークホール、翌日は京都の円山公園音楽堂。横浜はメンバー4人だけで、京都は奥野真哉が加わる。
 フラカン、コロナ禍初期の2020年8月27日に、横浜アリーナで無観客生配信ライブを行い、2021年8月21日には横浜ベイホールでワンマンをやっている。今後も「フラカンの横浜ストーリー」と銘打って、毎年一回横浜で何かやりたい、だから今年は『フォークの爆発』をそれに当てることにした、ということらしい。
 この日演奏されたのは、全部で19曲。「フォー爆」恒例の「RCサクセションのカバーをやるコーナー」は、今年は「トランジスタ・ラジオ」。10曲目に披露。あと、アンコールでは、BO GUMBOSの「夢の中」をカバーした。
 なお、このシリーズ、ライブの最初と最後に、「フォークの爆発のテーマ」という短い曲をやるのが、何年か前から恒例になっている。当然この日も、1曲目はそれで始まった。で、アンコールは前述のように「夢の中」で始まり、次は、圭介が途中で歌いながら立ち上がって声をふり絞り、他のメンバーも魂をこめて演奏しているのが伝わってくる音で──つまり、それはもうすばらしいパフォーマンスで「東京タワー」を聴かせた。曲が終わった時のオーディエンスの拍手が、いつもにも増して長く長く続いた程の出来だった。
 それはいいが。メンバー、そこでステージを下りてしまったのだ、「フォークの爆発のテーマ」をやらずに。アンコールを求める手拍子を受けて戻ってきたグレートマエカワ、「ごめんごめん、『東京タワー』があまりにもキマったもんだから、『テーマ』やるの忘れて帰っちゃったわ」。
 あとできいたら、グレート・圭介・ギター竹安堅一の3人とも忘れたそうです、「テーマ」をやることを。唯一忘れなかったドラムのミスター小西、「あれ、ギター下ろした、ベース下ろした……え? やらないの?」とは思ったそうですが、3人に従って去ったそうです。

6月12日(日)17:00 宮本浩次@国立代々木競技場第一体育館

 2021年10月から始まった全都道府県ツアー『日本全国縦横無尽』の追加公演であり、宮本浩次56歳のバースデーライブでもある『縦横無尽完結編 on birthday』、代々木競技場第一体育館2デイズの2日目。このライブも、某所にレポを書く都合上、ここではあんまり詳しいことを書けないので、ふたつだけ。
 この代々木では、ステージ中央からでっかい花道が伸びていて、その先が円形のステージになっていた。で、ライブが始まるといきなり宮本がそこに立っていたり、そこから姿を消してソデから現れたり、「rain-愛だけを信じて-」ではその円形ステージに雨が降り注ぐ中でびしょ濡れになりながら歌ったり、というような、いろんな演出があったのだが。
 宮本、そういった演出がない時でも、とにかく花道にいる時間が長かった。全体の6割から7割くらいの時間、花道で歌っていたんじゃないかと思う。
 ステージで歌っている宮本を観る、ということは、歌う宮本のバックで演奏するメンバーたちの姿も見えるし、そのさらに後ろの効果映像や照明なんかの演出も含めて、目に情報が入ってくるということだ。でも、花道で歌っている時は、観る者の視線の先にあるのは、宮本の姿だけになる。ライブ全体の6割から7割の時間、その状態でパフォーマンスして、この大会場で、超満員のオーディエンスを釘付けにしているって、すごくない? すごい、と改めて思いました、私は。
 で、ふたつめ。ツアー『縦横無尽』を観たの、これで10本目だが、アンコールの最後に「ハレルヤ」が歌われる時が、このライブの中でいちばん好きな瞬間です、私。ものすごい開放感が押し寄せてきて、何度観ても、本当に幸福な気持ちになる。
 と、言いたかったんだけど、ツアー終わるまでセトリをバラすのはなしだろうと思ったので、これまで言えずにいたのでした。

6月13日(月)20:15 Bug Holic@下北沢CLUB Que/DANKE

 Bug Holicという新人バンドを観に行った。2019年の夏に今のメンバーが揃い、2020年2月に初音源を録音し、さあライブを始めようというタイミングで世の中がコロナ禍になってしまう。が、その音源を録ったスタジオを持っているレーベルのプロデューサーが音源を気に入ってサポートし、ライブができない状態で、音源の配信リリースを、2021年6月からスタートする。そして、最近ようやくライブを始め、この日で3回目──というプロフィール。
 そのプロデューサーから教えられて音源を聴いて、曲が書けるバンドだなあ、と思っていた。ので、観に行った。この日は未完成VS新世界、LUCKCAMEとの3マン。DANKEで配信もあり。
 で。びっくりした。とてもライブ3回目とは思えないほど、ファンがついていて、盛り上がっていて。音源リリース開始から1年経って、合計6曲聴ける状態になっているとは言え、でも、それだけよ? 活動。その段階で聴いて好きになって、ライブを始めたので観に来た、という、耳の早い人がこんなにいるのか。
 さすがに演奏はまだラフだったが、パフォーマンスは堂々としたもので、3回目感、なかった。あと、いい曲を書ける精度の高さも、生で観て改めて確認した。でかくなりそう。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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