兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第123回[2023年1月前半・清水ミチコ/氣志團/SHISHAMOと3日連続で日本武道館、などの8本を観ました]編

コラム | 2023.02.13 18:30

イラスト:河井克夫

 音楽などのライター兵庫慎司が、自分が観たすべてのライブ(基本的に生・時々配信での視聴もあり)の短いレポを書いて、半月に一回アップしていく連載の123回目・2023年1月前半編です。新代田FEVERで年を越し、翌日から3日続けて日本武道館へ通う、という始まり方になりました、2023年は。

1月1日(日)0:00 フラワーカンパニーズ@新代田FEVER/Streaming+

 スタート時刻を「0:00」と書いたのは、12月31日の22:45に始まった年越しライブだから。というわけで、前回で、このライブの12月31日までについて書いた続きです。
 まず前回、全員学生服で登場した時のフロアの反応を見て、ベース&リーダーのグレートマエカワ、「あ、スベった、と思った」と白状。で、前回の最後に、「そして。年越しのカウントダウンの瞬間、さらなるスベリが待っていた。次回へ続く」と僕は書いたが、その「さらなるスベリ」、年越しの瞬間だったのだ。
 その時をどのように演出するか、毎年あれやこれやと考えて実行しているものの、どうもうまくハマらない、という自覚があったらしきフラカン、開き直って「今年はこれにする」と「ピッ、ピッ、ピッツ、23時59分をお知らせします」と告げる、時報の音声を流す。
 で、年越しの瞬間を、メンバー4人とオーディエンスで待ったものの、なぜか0:00を告げる音声だけが、出なかったのだ。よって、年越しの瞬間が無音となり、メンバーの誰かが「……えっ?」と言ったところで一同我に返り、その空白をかき消すように演奏に突入したのだった。笑った、年明けから。
 今年もよろしくお願いします。

1月2日(月)16:00 清水ミチコ@日本武道館

 毎年この時期恒例の、日本武道館ワンマン。最近は、この武道館のあと、2月とか3月まで全国ホールツアーをやることが多くて、僕はそっちを観に行っていたのだが、今年は翌日と翌々日も氣志團とSHISHAMOで武道館なので、だったら3日続けて行こう、と、この日のチケットを取った。あ、この連載で僕が観に行っているライブ、基本は招待ですが、この日のように、普通にチケットを買っているものもあります。
 ただ、なんせ、ツアーはまだまだ全然続くので、具体的な内容には触れられないのだった。普通のミュージシャン以上に「ネタバレしたらだいなし」な方なので。でも書けることはなんだろう、ええと、そうね、あ、毎年僕は「××作曲法」の新作ネタをとても楽しみにしているんだけど、今年も期待に応えてくれた。めちゃめちゃ笑った。ということぐらいか。あとは、幕間の映像におけるゲストはあったが、ステージに登場するのは今年も基本ふたり、清水ミチコと、おなじみの弟さん、清水イチロウ(いろんな楽器が弾けるので、ポイント的にサポートで出て来る)であることも書いていいですよね。
 それから、幕間の映像の方のゲストで、これは書いてもいいだろう、と思うのは、松尾スズキ。毎年恒例なので。これも、今年もめちゃめちゃ笑った。で、私、松尾さんと面識があって(昔、松尾さんの担当編集者だったのです)、彼が毎年武道館に観に来ることを知っていたので、終わってから「今年も大ウケでしたね!」とLINEしたら、「行けなかった、腰痛で…」という返信が。松尾さん、昔から腰が悪くて、この時期、また悪化していたようです。お大事に。

1月3日(火)17:00 氣志團@日本武道館

 氣志團、1月1日に7年ぶりのニューアルバム『YANK ROCK ROCKERS』をリリースし、1月3日に14年ぶりの日本武道館をやり、この日を最後にライブ活動は無期限で休止。理由は、綾小路翔の声帯炎の治療とリハビリのため──という日。DI:GA ONLINEでは、フジジュンさんがレポを書いておられます。こちら。
 ≫ DI:GA ONLINE:氣志團、14年ぶりの武道館公演、歓喜と熱狂を生んだ25周年の集大成GIG!
 で、僕は、レポとかは書いていないんだけど、このライブの10日後に、綾小路翔にインタビューすることが決まっていたのもあり、足を運んだのだった。それがなくても行ったけど。そのインタビューはこちらです。≫ Real Sound:氣志團 綾小路 翔、コンサート活動の無期限休止を発表した背景 武道館公演の裏側も明かす

1月4日(火)18:00 SHISHAMO@日本武道館

 2022年11月13日から、CDデビュー10周年イヤーの活動に突入しているSHISHAMOが、その活動のひとつとして行った日本武道館ライブ。でもこれも、具体的な内容については、書くのが憚られるのだった。大阪城ホールもあって、そちらはまだ終わっていないので(3月4日開催)。
 なので、具体的じゃないことを書くと、改めて、ロック・バンドとしてのSHISHAMOに惚れ惚れしたライブだった。曲によってバック・トラックを使うこともあるが、ステージの上は3人だけ。歌とギターとベースとドラムでできている、シンプルなロック・バンドならではの音で、いかに新鮮で、いかに楽しくて、いかに聴き手がドキドキワクワクできるものを作り続けられるか、表現し続けられるかに、ここまでトライし続けている、そして成果を出し続けている例、なかなかいないと思う。
 SHISHAMOと言えば、聴き手の脳をひっつかんで離さないラブソングだけど、それと同じくらい価値のあることに感じる。というようなことを、観ながら何度も考えた。

1月7日(土)16:00 マカロニえんぴつ@さいたまスーパーアリーナ

 2022年9月から始まった14ヵ所・19公演の全国ツアー『マカロックツアーvol.14』のファイナル、さいたまスーパーアリーナ2デイズの1日目。
 日本武道館やフェスのステージ等のキャパがでかい場所で、このバンドがライブをやる姿は、これまで何度も観て来たが、それでも、さいたまスーパーアリーナになると違いますね、光景が。チケット完売でびっしり満員だし、そのみんながみんな恐ろしく高い熱でステージに向けて(おそらく声が出せない代わりに)念みたいなエネルギーを放っているのが感じられるし。
 「トリコになれ」で始まり、「なんでもないよ、」で本編が終わり、アンコールで「リンジュー・ラヴ」(新曲。1月期のTBS系ドラマ『100万回 言えばよかった』の主題歌。この日がライブ初披露)「僕らは夢の中」「鳴らせ」を追加した、全21曲。
 バンドをやっているとなかなかしんどい、最初の2〜3年は「ひとりでやってもよかったな」とか思った、でも大好きなユニコーンがいたからやってこれた──という言葉から始まり、今の自分たちがあるのはスタッフや仲間のミュージシャンや応援してくれたメディアの人や、あなたのおかげだ、という感謝を伝え、「離れないでほしいんです。あなたは離れないとわかっています」と締めて曲に入った、本編ラストの「なんでもないよ、」が、特にグッときた。

1月8日(日)18:00 Kroi@LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

 昨年7月27日にリリースしたニューアルバム『telegraph』のリリース・ツアーの追加公演。リアルサウンドにレポを書きました。こちらです。
 ≫ Real Sound:KroiがLINE CUBE SHIBUYAを埋め尽くすことの価値の大きさ 新しさと遊び心満載の初ホールワンマンを観て

1月13日(金)18:30 ウルフルズ@中野サンプラザ

 1本目の11月9日@三郷市文化会館大ホールのレポを、このDI:GA ONLINEに書いた(こちら)、ウルフルズのデビュー35周年ツアー『楽しいお仕事会』のファイナル。
 この日は、ぴあにレポを書きました。こちらです、ぜひ。≫ ぴあ:【ライブレポート】エンタテインメントでもあり、ドキュメントでもあった『ウルフルズ 30周年ツアー 2022-2023』ファイナル公演

1月15日(日)16:00 THE COLLECTORS@渋谷クラブクアトロ

 THE COLLECTORSは、2022年11月23日にニューアルバム『ジューシーマーマレード』をリリースしたが、そのツアー、東京公演はなしだった。2023年1月から12月まで、渋谷クラブクアトロでマンスリー・ライブを行うことが決まっていたので、その1本目を東京でのリリース・ライブに当てたからだ。
 というわけで、見事にそういうセットリストだった。堪能した、多数の『ジューシーマーマレード』の曲たちも、それ以前のレパートリーも。個人的に、ここ最近、THE COLLECTORSのライブは、日本武道館とか大宮ソニックシティとか中野サンプラザとかの大会場で観ることが続いていたので、久々にクアトロで観ると、なんかもうすごいインパクト。音にしろ、視覚にしろ。
 加藤ひさしにインタビューするたびに、「身体の衰えが大変」とか「いつまでやれるんだろう」とか「終りが見えてきた、ってことじゃないですか?」とか、必ずそんな話が出る。まあ、無理もないと思う、加藤さん、もう62歳なので。
 でも、こうしてライブで生で歌う姿に触れると、「いや、どこが!?」と言いたくなるのだった。あのエヴァーグリーンな声、この日も存分に出ていたし。近々また観に行きたい。

 追記:以上をアップしたあとに、肝心なことを書き忘れていたのを思い出しました。
 THE COLLECTORS、ライブの中盤の「もっともらえる」(ニューアルバム収録曲)で、シークレット・ゲスト=音源にも参加している藤井尚之が登場してサックスを吹きまくる、というサプライズがあったのでした。豪華! めちゃくちゃ盛り上がった、フロア。
 で、彼が去った後、加藤ひさしが「毎月あると思うなよ! 来月は何もないからな!」みたいなことを言って、大笑いになったのでした。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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