兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第147回[2023年11月前半・モトリーとデフレパ、SHISHAMO、TESTSETなどの5本を観ました]編

コラム | 2023.12.01 17:00

イラスト:河井克夫

 音楽などのライター兵庫慎司が、生で観たライブすべてのレポを書く連載の147回目。1ヵ月で観た本数が14本までの時は月二回、15本以上の時は月三回のペースでアップしていて、先月に続き、2023年11月も、月三回のパターンです。
その11月の一回目である今回は、9月29日にオープンしたKアリーナ横浜に、初めて行ったりしています。

11月3日(金祝)17:00 Mötley Crüe/Def Leppard @ Kアリーナ横浜

 初めて行ったKアリーナ横浜で観たのは、Mötley CrüeとDef Leppardが世界を回るカップリング・ツアーの日本公演、2デイズの1日目。
 僕は高校生の頃からモトリーが大好きで、特に当時はドラムをやっていたもんで、トミー・リーのド派手なかっこよさには影響を受けまくった。曲をコピーするのはもちろん、カウベルを買ったり、右手でシンバルを叩いた瞬間に左手でパッと握って音を止めたり、左腕を頭の周りをグルッと回しながら二拍四拍のスネアを叩く練習をしたり……すみません、わかる人が限られることを書いて。
 なお、前回の来日も行ったが(2015年2月)、ギターのミック・マーズの病状悪化もあって(彼はバンド加入前から強直性脊椎炎という厄介な病気を患っている)、このツアーでモトリーとしてのライブ活動は終了、だから来日もこれが最後、ということだった。が、2019年にそれを撤回し、今回の来日となった。
 ミック・マーズはツアーから引退して、今回のギタリストは、MARILYN MANSONやROB ZOMBIE等で活躍してきたジョン5なのだが、最高だった。彼のギターがいいだけでなく、それにひっぱられてトミー・リーのドラムとニッキー・シックスのベースも、前回の来日の時よりもパワーアップしていて。
 60歳を超えてプレイヤーとして成長することってあるんだなあ、という変な感動込みで、満喫した。聴きたい曲いっぱいやってくれたし。特にファーストとセカンドの曲がうれしかった、その時期がいちばん好きなので。
 対バンのDef Leppardは、正直「単独だったら行かなかった」くらいの感じなのだが、これも楽しかった、自分でも知っている曲(=ヒット曲)が何曲もあって。
 それから。開場時間に、メタル・ゴッドこそ伊藤政則先生がDJをやることが直前に発表になったので、早めに行った。これもとても楽しかったです、古い曲はうれしいし、新しい曲は「こんなのあるのか!」ってためになるし。

11月4日(土)17:45 HONEBONE @ リキッドルーム

 HONEBONEのワンマン過去最大のリキッドルームで、この当日にニューアルバム『継承』を会場限定で先行販売、というライブ。
 このDI:GA ONLINEでレポを書きました。笑いとシリアスの振れ幅がでかい、盛りだくさんのステージでした。ので、ぜひ。
HONEBONE、満員のLIQUIDROOMワンマン。最新アルバム『継承』の楽曲披露&テツandトモも出演!

11月11日(土)17:00 SHISHAMO @ ぴあアリーナMM

 CDデビュー10周年でいろいろ行ってきた活動の締め、ぴあアリーナMM2デイズの1日目。2日目は、かつて『スペシャ列伝』で一緒に回ったKANA-BOON/キュウソネコカミ/go!go!vanillasを招いてのイベントとして、開催された。
 で、自分が観に行ったこの1日目は、ワンマン。世の多くの人が最初にSHISHAMOの存在を知った曲である(自分もです)「僕に彼女ができたんだ」で始まり、「明日も」と「明日はない」の連打で本編を締め、アンコールで「春に迷い込んで」「恋する」を追加した全26曲。
 歴代の代表曲に加え、最新曲の「夏恋注意報」や、超初期のレア曲「宿題が終わらない」も披露 (宮崎朝子曰く、「今日やらないと今後なかなかやらないじゃないかと思って」)。中盤ではセンターステージへ移動、アコースティック編成で3曲プレイした。
 と、もりだくさんで大充実な内容であった上に、オーディエンスと同じくらい、いや、きっとそれ以上に、ステージの上の3人が楽しんでいるし、興奮しているし、感動しているし、感慨深くもなっているさまが、観ていると伝わってくるのが、なんだかとても良かった。
 アンコールで宮崎朝子、ずっとやっているとイヤなこともたくさんあった、そもそも10年もやるつもりもなかった、でもここまでやってこれたのは、(スタッフもオーディエンスも含めて)SHISHAMOに関わってくれているみんなのおかげです──と、お礼を言う。
 そして、改めてオーディエンスを見回して、「やめてえと思っても、こういう日があると、やめられないもんなんですよ」。実感がこもっていた。大変にグッときました。

11月12日(日)17:00 TESTSET @ 恵比寿ガーデンホール

 ファーストアルバム『1STST』の東阪リリースライブの東京編。アルバムを携えてのワンマンは初、しかもそのアルバムがめったやたらと良かったので、全曲やってほしいなあ、やってくれるだろうなあ、と、楽しみにしていた。
 そう、これまでのTESTSETは、フェスにしろ、イベントにしろ、7月13日にリキッドルームで初めて行ったワンマンにしろ、まだアルバムを1作も出していない状態で、EPの4曲とMETAFIVE時代の曲だけで、ライブを行ってきたのだ。と考えると、かなりアクロバティックなことを、やってきたんだなあ、と思う。
 というわけで、『1STST』収録の10曲すべて、その前に出た「EP1 TSTST」から3曲(4曲入りで、4曲目のボーナストラックは向井秀徳が参加したkimonos「No Modern Animal」のライブテイクだったので、実質全曲)、META FIVEの「Snappy」「Full Metallisch」「The Paramedics」、あと高橋幸宏のカバー「Glass」(を、やったのです!)、以上の全17曲だった。
 もう、ただただうっとりでした。バンドって、いろんな形態や、いろんな音楽的方向性や、いろんな集まり方や、いろんな正解があるものだが、その中のひとつの方向のバンドとして、究極だと思う、この4人。
 アルバム・リリースの時に、DommuneのTESTSET特番でインタビューしたのだが、まりん(砂原良徳)は、今回は入れられなかった曲もあるし、来年も作品をリリースしたい、というようなことを言っていた。
 こんなふうに「どんどん作りたい」、みたいなことを言うまりん、これまでの彼のキャリアの中でもめずらしい気がして、うれしくなった。なので、来年も楽しみにしています。

11月13日(日)19:00 YO-KING、DOGA、木(KI) @ 新代田FEVER

 江沼郁弥の新バンドDOGAと、以前に彼のソロライブをサポートしていた木(KI)と、YO-KING、3マンツアーのファイナル。なお、YO-KINGのバックは、DOGAと木(KI)の混合メンバーによるバンド=ザツオン21グラムが務める。
 DOGAは、パーカッションの岡山健二が、演劇の仕事(つまり俳優)が入っている時期とバッティングしたので、このツアーには不参加。ただし、この東京公演だけは来れる、ということで出演した。
 そのDOGAのステージには、1曲、YO-KINGが登場した。そしてYO-KINGのライブは、最初はひとりで弾き語り→木(KI)のオヤイヅカナルのキーボードとふたりで1曲→そのあとはザツオン21グラムと演奏、という3部構成。
 さらに、アンコールでは、ボーカル三人がYO-KING→オヤイヅカナル→江沼郁弥の順で歌いつなぐ。という、見どころだらけ、聴きどころだらけの時間だった。
 あと、大変に個人的な件だが、この日とてもびっくりしたこと。
 メンバー4人ともすごい演奏だなあ、と、圧倒されながら、トップの木(KI)を観終わった後の転換中。
 「兵庫さん!」と、声をかけられた。振り向いたら知り合いの、こっけ、こと中村公亮。下北沢THREEの店長で、今はソロとFoolclamというバンドで活動していて、こんなふうに時々出くわす。というか、出くわすも何も、THREEに行けばいるんだけど。
 僕と知り合ったのは2009年、当時僕がスタッフのひとりだった「RO69JACK 09/10」(優勝するとCOUNDOWN JAPAN 09/10に出られるコンテスト)で優勝した2バンドのうちの1バンド=うすしお、そのボーカルが彼だったのだ。なので、CDの帯のコピーも僕が書いたりした。
 おお、久しぶり。今日はなんで?ときくと、「木(KI)のギター、元うすしおの奴なんですよ」「ええええっ!?」。
 もんのすげえびっくりした。今さら言うても申し訳ないだけだが、当時、20歳とか21歳くらいの大学生バンドだったうすしおは、いかにも大学サークルバンドな……いや、大学サークルバンドの中でもだいぶ素人寄りな演奏だった。が、「曲が書けている」「ボーカルだけ突出している」という理由で優勝に輝いた。と、記憶していたからだ。
 え、あの子が、あの人なの!? あんなに弾けてなかったのに! いや、だってあれから14年も経ってますから。いや、そりゃそうだけど……そうか……そうよねえ……という。
 そういえば、江沼郁弥の前のバンドであるplentyは、同じコンテストの、うすしおの1年前の優勝者である。
 だからなんだと言われると、ただただ困るばかりだが、何か、一気にいろいろ思い出して、ややこしい感慨に包まれました。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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