兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第1回 [2018年1月1日~31日の巻]

コラム | 2018.02.14 18:00

イラスト:河井克夫

「兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く」という企画を始めることになりました。兵庫慎司と申します。音楽などのフリーライターです。
このDI:GA ONLINEでもちょくちょくライブレポを書かせていただいていますが、そのようにどこかのメディアにレポを書くものも含め、特に書く予定のないものも含め、ディスクガレージ関係ではない興行も含め、音楽以外も含め、ただし映画とかは含めず──つまり、私がその月に観た、「生の」すべてのライブ・舞台などついて、日記的な形でひとこと書き記していく、という趣旨でございます。
初回は、2018年1月に観たやつ全部です。次回からは、月に2回とか2週に1回とかのペースで考えております。では、以下、お付き合いいただけますと幸いです。

1月1日(月)COUNTDOWN JAPAN 17/18 @幕張メッセ国際展示場

毎年12月28日から1月1日未明まで、幕張メッセのCOUNTDOWN JAPANで過ごすのが恒例になっている。で、大晦日、日が変わって2018年になってから観たのは3つでした。
まずGALAXY STAGEのカウントダウンを務めたヤバイTシャツ屋さん、23:20スタート0:10終了。お客さん、ものすごく熱狂的。踊る踊る、歌う歌う。それにつられてバンドの温度もひたすら上がっていくステージだったが、カウントダウンの瞬間はキメキメじゃなくてちょっとグダッてなったのも、このバンドらしくてよかった。いい年明け。
次、EARTH STAGEの大トリ、氣志團。前半30分くらい、遊びや脱線のないやけにキビキビとストイックなライブをやった、と思ったらそこから反転、大自虐MCをぶちかまして爆笑をさらい、得意の「『One Night Carnival』を××風にリアレンジして披露」ネタに突入、しかも最初にWANIMA風、続いてマキシマム ザ ホルモン風。鬼のように大ウケ。最後に團長、「今年は星野 源になりたい!」と言い残してステージを去ると、VTRで氣志團版「恋ダンス」が始まり、さらに大ウケ。まいりました、と言いたくなりました。
そして最後、COSMO STAGEの大トリ、ビッケブランカ。AM3:45スタート。歌ったり動いたりピアノ弾いたりしゃべったり呼びかけたりしてどんどんオーディエンスを巻き込んでいくエネルギーに満ちたステージだった。本人も元気だがお客さんも元気、この時間なのに。
自分は無理矢理変化を起こそうとしている人が大好きである、自分もそうだと思う、お互いに変化を目指す新しい年にしよう、というようなMCをしていたのが印象に残った。いろんな意味で元旦にふさわしいステージだった。

1月9日(火)ヤバイTシャツ屋さん @豊洲PIT

uP!!! プレゼンツの無料招待ライブ「uP!!!NEXT」を、ヤバTのニュー・アルバム『Galaxy of the Tank-top』のリリース日の前日、つまり店着日に行う、という趣旨で『大人が色々頑張ってくれたおかげで無料で出来るライブ』というサブタイトル付き。
これはrockin’on com.からライブレポの依頼をいただいていきました。書きました。こちらにアップされていますので、ぜひご一読いただければ。https://rockinon.com/live/detail/171919
で。年越しの時にも感じたが、とにかくお客さんの熱狂度がすごい。「こういう歌詞なのに」とか「ああいうキャラなのに」とか関係なく、ストレートな熱狂に包まれたステージだった。というか、逆なのかもしれない。ヤバTが「こういう歌詞」で「ああいうキャラ」であることが、却って気恥ずかしさなく思うさま熱狂できる理由のひとつになっているのかもしれない、というようなことを考えながら観ました。

1月10日(水)『髑髏城の七人』@IHIステージアラウンド東京

2017年~2018年でロングラン公演中の、1990年の初演以降何度も舞台にかけられている、劇団☆新感線の人気公演。
で、この新しい劇場、「客席が回転する」というのが売りなんだけど、それ要は「客席が回ることによってステージセットをいっぱい使える」というのがすごい、ということなのですね。というか、すでに観た人から「そこがすごい」ときいてはいたんだけど、目の当たりにした初めて「ああ、こういうことか!」というのが実感としてわかった気がした。
客席をぐるっと取り囲む形でステージセットが5つくらいある。で、芝居を行うステージだけLEDでできた幕を開けて、他のところは閉めて、客席がその開いたステージの方に正対するよう回転することで、普通芝居の舞台セットってふたつくらいしか作れないところを、もっと多くの数使える、ということなんだな、と。
で、そのLEDにも常にさまざまなものが映り続けているし(セットとかイメージ映像とか文字とか)、音響はすごいし、殺陣はすさまじいし、終始「初めて観た、こんなの」と絶句しっぱなしでした。すごいスケール感。
ただ、ひとつだけ気になった。この公演が終わったら、誰がこの劇場で次の公演を打つんだろう? このとんでもない装置の劇場を十全に使った芝居をかけられるの、新感線以外にいる?
なので、いつかここで始まる新しい公演も、観に来ようと思いました。

1月14日(日)エレファントカシマシ @NHKホール

エレカシ恒例の新春ライブ、今年は大阪フェスティバルホールで2デイズ、東京はNHKホールで1日。
これは音楽雑誌B-PASS ALL AREAにレポの依頼をいただいて行ったので、詳しくはそちらで。
なのですが、ちょっとだけ書くと、この新春ライブ、金原千恵子ストリングスが加わることが半ば恒例みたいになっているのですね。今年も、全28曲のうち14曲がストリングス4名合体バージョンでした。どの曲もすばらしかったけど、特に1年前の新春コンサートの時はまだ存在しなかった2曲、「今を歌え」と「風と共に」のストリングスとの相性が最高でした。
それから「真冬のロマンチック」と「この世は最高!」をやったのが、久々でうれしかった。「おおっ! いつ以来だろう!」ってなりました。家に帰って調べたら、どっちもそこまで久々じゃなかったんですが。

1月15日(月)ビートたけしほぼ単独ライブ @中野サンプラザ

2014年の10月に渋谷のCBGKシブゲキ!! で初開催された、ビートたけしのほぼ単独ライブ。「ほぼ」というのは、構成兼たけしの話し相手として、弟子ふたり=アル北郷&しめ鯖アタルが出演することと、「勝手に来る人」として相棒ビートきよしも出るからです。
で、そのシブゲキ!! 以降、半年にいっぺんくらいのペースで、よみうり大手ホール→浅草公会堂→世田谷区民会館→豊洲PIT、と会場を拡大しながら続いてきて、今回は遂に中野サンプラザ、ということになったのでした……。
……あれ? 今回「第五弾」って謳われていたけど、こうして数えてみると6回目ですよね? 私の記憶違いでしょうか? 最初のシブゲキ!! とかがカウントされてないとか? どなたかご存知の方いたら、教えてください。
とにかく。幸いにも、私、皆勤です。ただし、いつもお笑いKGB(ビートたけしの会員制有料サイト)会員の先行予約でチケットを取るのですが、今回その抽選に落ちて、一瞬ヒヤッとしました。その次の先行で取れた時は、ホッとしました。
ただ、このライブ、どういう内容だったかは書けないのです。SNSとかで拡散されるといろいろ差し障りがありすぎる、というか、そうなった瞬間に「大炎上」「今後開催不可能」になること必至な内容なので、いつも。
なので初回から、「おまえら一切書くんじゃねえぞ、書いたら次からできなくなっちゃうからな」というビートたけしの言いつけをお客全員が守りながら、ここまで続いているのでした。
特に初回がすごかった。あのビートたけしがものすごく久々に客前でのライブを開催する、というのでスポーツ新聞とかいっぱい来てたんだけど、みんな中には入れず。なので終演後に出て来る客を捕まえて「どんな内容だったんですか?」と訊きまくるも、誰も口を割らない、という。
大笑いでした。今回もきっとそうでしょう。

  • 兵庫慎司

    TEXT・PHOTO

    兵庫慎司

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