「CIRCLE」の育ての親、是澤氏が新インドア・フェス「Q」について、熱い思いを語る

インタビュー | 2019.02.09 09:09

今年で9回目を迎える福岡の人気フェス「CIRCLE」の育ての親が神戸と東京の2都市で新インドア・フェス「Q」を開催する。
アルファベット一文字で大胆に銘打たれたこのフェスは「CIRCLE」を彩る実力派アーティスト陣に加えて、GODIEGO(ゴダイゴ)といった 思わず二度見してしまうような驚きのラインナップで既に世間を騒つかせているのだから、見逃すわけにはいかない。今回はそんな唯一無二とも言えるブッキングの舞台裏やインドア・フェスならではの見所、あえて神戸・ワールド記念ホールと東京・両国国技館を選んだ最大の理由などを主催者の是澤氏(TONE)に、余すところなく語ってもらった。日本一“オルタナティブなフェス”の秘密はここにあり!…いや、彼自身が最も“オルタナティブ”なのかも、しれない。

──今回開催される新インドア・フェス「Q (読み:キュー)」のお話を伺う前に、まずは是澤さんが既に手がけられている福岡の人気フェス「CIRCLE」について少し伺っておきたいと思います。

最初に地元の音楽関係者によって「CIRCLE」が立ち上がったのは2007年で、その時、僕は主催者ではなく、出演者のブッキング等を行う制作担当として参加したんです。でも二年目以降に開催できなくなってしまいました。僕はどうしても続けたかったから、コンサートやイベントの勉強をし直して、5年後の2012年にもう一度立ち上げたんです。

Q主催者:是澤氏(TONE)

──頓挫してしまった最大の理由は?

ビジネス的に頓挫してしまいました。やりたいけどできない。僕の会社(TONE)は社員数名の弱小企業。そんな会社が福岡で野外フェスを開催するなんてあり得ない。だから周りの方から100%反対されました。でも、僕はどうしてもやりたいから「会社(TONE)がなくなってもいいのでやります!」って「CIRCLE」を復活させたんです。

──12年前って、まだまだフェスっていうのが今ほどなかったのでは?

そうですね。春開催の野外フェスは珍しかったし、そういう意味では先駆け的な存在だったと思います。5月は気候もいいし、狙いがすごく良かった。2012年に「CIRCLE」を復活させた時はいろいろな問題が起きました。野外開催なので週間天気予報で「晴れ」が発表された後に急にチケットが売れだして、あらゆるものが足りなくなってしまいました。まず午前中にビールが売り切れる。そして、仮設トイレが満タンになっちゃう。なおかつ入場時のリストバンドも足りなくなってしまって、急遽、東急ハンズだったかな?で無地のリストバンドを買ってきました。あれはもう素人以下!ひどい復活でした。お客さまには大変ご迷惑をおかけしましたが、(この場をお借りして改めてお詫びを申し上げます)なんとか終えて少しだけ利益が出ました。それで本気が伝わって、続行が決まったんです。

──フェスでのブッキングの決め手は?

まずは自分が見たいもの。次に存在が「オルタナティブ」であるということ。これは音楽のジャンルの話ではなく、個性的であり、時流を超えた音楽性、等々。あとは「お客さまに対して誠実であること」です。ビジネス的な視点はもちろん大事ですが、純粋に面白い!と思ってもらえるようなブッキングを心掛けています。「CIRCLE」はちょっと特異なラインナップなので、東京や大阪はもちろん、全国からいらっしゃるお客さまも多いです。おかげさまで今は万単位でお客さまが来て頂けるようになりました。

──それを経ての「新インドア・フェス」ですね。

「CIRCLE」の5回目くらいから全国の同業者の方々から注目していただけるようになって、こういうテイストのイベントが他には無いので、福岡以外での開催オファーをいただくようになりました。福岡(九州)は地元だからやる意義がありますが、他の場所でやる動機がない。だからずっと開催の意欲が湧かなかったんです。私事で恐縮ですが、昨年50歳を迎える前に「60歳まで元気に働くとなると、あと10年しかない。だから“終活”を始めなきゃ!」ってふと思ったんです。そこで、信頼している同業者の友人達に僕は何をしたらいい?と訊いたら「『CIRCLE』みたいなイベントをやったらいいんじゃない?東京には無いんだし」と言ってくれまして。『お客さまも楽しくて、出演者も楽しい。みんなが喜んでくれることを』と思い、イベントの全体構想を考えました。会場を決める上で、自分ができる範囲内でやるには、遠方での開催はイメージできませんでした。なので、主に東京都内近郊の公園を探しました。屋外で大きな音を出せる場所が何箇所かあるのですが、来年開催のオリンピックのため、整備や工事で残念ながら使用できない状態です。そこで屋内がひらめいたんです。週間天気予報も気にしなくていいし(笑)。『大人が楽しめるフェス』にしたかったので、色気があって、客席内で飲食ができるところ・・それは両国国技館しかない!と。関西の会場も同様に考えて、神戸のワールド記念ホールにしました。

──イベントタイトルの「Q」とは?

YMOの「CUE」という曲のタイトルが元のアイデアなんですけど、自分で何かをやる時に使わせてもらおうと思ってずっと温めていたんです。でも、いざ使うとなるとかっこよすぎるかな、と恐縮してしまって(笑)。少し可愛げを出して「CUE」→“Q”にしたんです。アルファベット一文字のイベント名は珍しいし。あとは「休日」の「キュウ」にもかけられるし。

──インドア・フェスっていうのは?

このキャッチコピーは誰が作ったんでしょうか(笑)。苦し紛れに出てきた言葉です(笑)。屋内のイベントは他にあっても「インドア・フェス」とは言っていない(たぶん)…言ったもん勝ちですね(笑)!神戸でも開催しますが、僕と同年の清水音泉の清水社長が手がけます。彼の会社は15周年で、弊社も15周年。お互いに終活をしよう、ということもあり。出演者は同じですけど、全く違う雰囲気になると思います。彼は大のプロレス好きなので、転換時間にプロレスやるんじゃないですかねえ(笑)。

──東京場所のチケットには「枡席」とありますね。一体どんな席ですか?

4人だとギューって座って見る感じです。異性と長時間一緒にいたら好きになっちゃうと思います(笑)。そのくらい距離が近いです!狭いけど楽しいと思います。

──そこで音楽を聴きながら飲んだり、食べたり!

そうですね。お金に余裕のある方(笑)は2人でゆっくりとか。なんなら独り占めもできる!

──そのほかの見所といえば?

転換の時間をどう過ごしてもらうかというところがポイントですね。ステージは1つなのでバンド毎に全転換します。5回の転換、トータル約2時間半の転換時間に、お客さんにどう楽しんでもらうかということを今はずっと考えています。
両国国技館には地下に1,000人くらい入れる大広間があって、そこで最高に美味いちゃんこを出せるんですよ。でも、転換の度にちゃんこを食べるわけには行かない(笑)。国技館には地下に焼き鳥工場があるので、焼きたての焼き鳥が食べられる。あとは、炊き出しですかね(笑)。残り2チャンスをどうするか!オリジナル包装の幕内弁当も販売予定です。

──乞うご期待!といったところですね。

そうですね。例えば、出演者の皆さんに「お客さまを待たせたくないから、ステージ転換を20分でやってください!」とお願いはできるのですが、僕はそういうところで無理をして欲しくない。皆さんオルタナティブな方々なので(笑)しっかり準備をしていただいて。Corneliusなんて大変ですよ!全曲で映像を使用するので、前日から仕込んでおかないといけない。

一同笑
──出演者のブッキングは「CIRCLE」につながっているメンバーですか?

ゴダイゴ以外は「CIRCLE」の常連ですね。ゴダイゴは、僕が小さい頃から大好きなアーティストで、もうアイドルですよ!今回、「Q」を初開催するにあたって、どうしてもゴダイゴに出演してもらいたくて、知り合いの方から事務所の社長さんの連絡先を聞いて、電話しまして…「私、是澤と申します。怪しいものではございませんので、どうか30分だけお時間をいただけないでしょうか…」と。事務所に伺って、ブワーっとプレゼンしたら「面白い!気に入った!」と、その場でOKいただきました。

GODIEGO / Cornelius / クラムボン /ハナレグミ / ペトロールズ / never young beach

──この「Q」は是澤さんの「終活」がきっかけだと仰いましたが、これは是澤さんのこれまでの「作品」と解釈することもできますか?例えば、殿様がお城を築いたように。

いえいえ、作品ではありません。みんなが集まる「場所」になればいいな、と思っています。若い頃はライブハウスをやりたいなぁと思っていました。今だったら小さなステージがあるカフェでしょうか。とはいえ、そんな資金はありません(笑)。ですから、年に一回みんなが集う楽しい「場所」を作りたいと思っています。福岡のフェス「CIRCLE」も同じ気持ちでやっています。終演後の恒例の打ち上げは出演者、スタッフ全員、強制的に参加してもらっています。(笑)
「Q」もみんなで盛り上がれる楽しい場所にしたいと思っています。

──来年以降の展望は?

もちろん、来年以降も続けたいと思っていますし、神戸、東京共に2日間やってみたいですね。時期的なことを言えば“*****”の裏に思い切りぶつけてみたいですね(笑)!…っていうのは書かないでくださいね(笑)。

──「CIRCLE」の時も試行錯誤を繰り返して3回目くらいで完成形に向かっていった印象がありますが「Q」もそんなイメージで臨まれていますか?

いつも試行錯誤はします。国技館で開催となるとステージも無いし・・本当にお金がかかるのです。今後、収支的な問題で国技館で開催できなくなるかもしれないし、東京オリンピックが終わったら野外でも開催できるようになるからインドアじゃなくなるかもしれないし。続けていくためにも、あまり形式にこだわらないようにしています。

──フェスの成長自体を楽しめそうですね。その第一回目はとても貴重ですね。

成長するといいですね!当日 僕は焼き鳥でも焼きながらみんなを見ていますよ(笑)。

公演情報

ディスクガレージ公演

Q

出演:GODIEGO / Cornelius / クラムボン /ハナレグミ / ペトロールズ / never young beach

◆Q 神戸場所
2019年3月31日(日) ワールド記念ホール

◆Q 東京場所
2019年4月14日(日) 両国国技館

チケット一般発売日:2019年2月9日(土)

PROFILE

有限会社トーン代表 是澤泰志

宮崎県出身。ミュージシャンのマネージメントを行う傍、コンサート制作、イベントやフェスの企画、運営、ブッキング等を行う。
福岡のフェス「CIRCLE」主催。2019年、新インドア・フェス「Q」を企画、東京と神戸で開催する。

  • テキスト

    田中サユカ

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