【インタビュー】中嶋ユキノ 3rdアルバム『Gradation in Love』を掲げ、バンド編成でのワンマンライブ開催!

インタビュー | 2019.02.21 18:00

──3rd アルバム『Gradation in Love』は、どんな時期に、どんなふうに作り始めたんですか。
「アルバムをどういう内容にしよう」とか、「どういう楽曲を入れよう」という話の前に、その時点で自分が作れる楽曲を…、20曲くらいあったと思うんですけど、それを2017年の年末から2018年の年始にかけてまとめて自分でデモを作って、そのなかからアルバムにふさわしい楽曲を選んでいきました。
──その時期に自分の楽曲をまとめてデモを作ったのは、やはりアルバムを意識してのことだったんでしょうか。
3枚目のアルバムを出すという話は、2018年の4月か5月くらいに動き出したことで、まだその2017年の暮れの時期にはアルバムのことはどうなるかわからなかったんです。それでも、私自身の活動として曲作りは止めないでやっていこうということでした。
──その曲作りの時期に、自分のなかで何か意識していたことはありますか。
2017年の秋に、自分にとって初めてのツアーをやったんです。それを終えた時点で、どんな楽曲を届けたいのかな?ということをあらためて自分のなかで考えました。ツアーの最中に“もっとこういう曲があるといいな”と感じた場面もありましたし。例えばアルバムに入っている「最後の恋」という曲のメロディはそのツアー中に浮かんだメロディなんですよ。
そういうメロディをちゃんと曲に仕上げたいという気持ちもありました。
──20数曲のデモから選曲する際、何か意識したことはありますか。
特に何か意識したことはなかったんですが、選んだ時点で自分が表現したい曲を並べてみると、不思議なことに、恋の歌が集まったんです。その意味では1 st も2 ndもそうだったんですけど、アルバムを作る時点での自分が作りたいものの集大成が作品になったという感じですね。
──選んでみたらラブ・ソングが集まった、というその事実に対してご自身はどう思いましたか。
“あっ、そうなんだ”というか…。どちらかと言うと、20代のほうが気持ちが恋愛に向かっていたと思うんです。でも、30代に入るタイミングで“自分は音楽で食べていくんだ”とはっきり決めたんですよね。だから、それ以降は恋愛よりも、仕事やそれに関わる人間関係に重きを置いていると自分では思っていたので、恋愛の曲が集まったときに“あれ?恋したいのかな?”とか、いろいろ考えましたけど…。それでも自分なりの答えがその曲たちの中に散りばめられたように思ったんです。自分がこれまでしてきた恋愛や、これからする恋愛の集大成がここに表れたのかなと思いました。
──そういうふうに、自分が自覚していた気持ちとは違う気持ちの在りようが曲に表現されて、それで自分の本当の気持ちを知るということはけっこうあることですか。
私が曲を書き始めたのは高校時代に自分の気持ちをノートに書き留めたりしていたことがきっかけで、それはそういうふうに実際に書き留めることで“自分はこう思ってたんだな”ということを発見できてたからなんですよね。それが、今も繋がっているような気はします。
──前回のインタビューで「私はラブラブな曲にあまりピンとくることがないし、だから自分で作る曲もそうじゃない歌詞になる」という話をされていましたが、例えば「最後の恋」は“これが自分の最後の恋だ”と思い定めている人の歌で、それはいわゆるラブラブな感じとは少し違うにしても、こういう曲が生まれたということは恋愛とか、人との向き合い方に変化が生まれているのでしょうか。
それは、どんどん変わってきていると思います。恋愛の仕方とか価値観とか、そういう部分で相変わらずな部分も多少あるかもしれないですけど。「最後の恋」は、元々はただただハッピーな、「この人と恋は終わりにして愛を始めるんだ」というような、言ってみれば結婚間近な感じくらいの恋愛を描いた歌詞だったんです。でも、それだとちょっともの足りなく感じたというか、より多くの方に共感していただくためには?と考えて、もう少し踏み込んで書くことにしました。
──♪その時が来るまでは/二人を引き離さないで♪という歌詞がありますが、つまり人の運命や人生みたいなことまで意識した世界を歌っているということですね。
実際の私がそういうところまで考えられるようになっているかと言えば、それはまだまだなんですけど。それにしても、あの歌詞には自分なりの何かが出てきた感じがします。
──「僕はボク」という曲の主人公は♪答え探して/歩いて/止まって/悩んでもっとちゃんとしなきゃと♪と自分に言い聞かせているわけですが、その主人公が♪僕はボクでいい♪と思えた時、それは答えを見つけたことにはならないんでしょうか。
ならない、と私は思っています。それは、一つの通過点であるような気がします。あの曲は、通勤の人たちで電車がすごく混んでいる時間に私がたまたま乗り合わせることがあって、そのすごく混み合った電車に毎日乗って通勤している人たちは、その通勤の間にどんなことを考えているんだろうと思ったのがきっかけで、できた曲なんです。その通勤ラッシュの中で仕事に向かっている人たちが日々どういうことを考え、どういうことに悩んでいるのかということは、私は想像するしかないんですが、その上で♪僕はボクでいい♪というフレーズに私なりの応援の気持ちを込めた楽曲です。
──中嶋さん自身は、自分は自分でいいんだと思い切れたら、例えば作品を作ってもついつい足りないところを探してしまうような気持ちから自由になれると思いますか。
どうでしょう…。そうはならないかもしれないですね。それは、自分に対する自信の無さの現れでもあるのかもしれないですが、あの曲はそういう自分に対する励ましの1曲でもあるかもしれないですね。
──サウンド・プロデュース、つまり楽曲のアレンジということだと思いますが、それを宗本康兵さんと石成正人さんが手分けしています。それぞれにアレンジを依頼する際にはどういう話をされましたか。
二人に渡す前に、浜田(省吾)さんと二人で「ここはこういうフレーズで」とか「ここはこういうリズムに」というようなことをそれぞれの楽曲についてしっかり固めてからお願いしました。二人は、石成さんがギターで宗本さんがピアノということですから、その意味でそれぞれが得意とするタイプの楽曲を振り分けた感じなんですが、具体的な作業としては私が作ったデモを基に色づけしてくださいというお願いの仕方をしたので、出来上がりが自分のデモからかなり発展して“こういうふうになったんだ”という部分も少なくなかったです。例えば「大丈夫は大丈夫じゃない」という曲は、デモはアコギをガチャガチャ弾いて歌ってるフォークソングだったんですけど、石成さんが音数はそんなに多くないんだけど、現代的なストリングスの使い方ですごくかっこよく仕上げてくださったように、自分ではできないことを二人が広げてくれたという感じです。
──アルバムを聴き通すと、ストリングスの印象が強い仕上がりになっていると思うんですが、それは二人のアレンジャーがそれぞれにやってきた結果ですか。それとも、あらかじめそういう仕上がりにしようという意図が中嶋さんにあって、その方向性に沿って二人のアレンジャーがこういうふうに仕上げたということでしょうか。
デモを作っている段階で、ベーシックなリズムは全部打ち込みにして、それ以外は生にしようというのが全体のコンセプトで、そのことはアレンジをお願いする際に二人にも伝えました。それから、ストリングスをふんだんに使ったアルバムを作ってみたいという思いが私のなかにずっとあって、その気持ちを浜田さんも知ってくださっていたので、だから「この曲とこの曲はストリングスを入れてください」という頼み方をしました。
──リズムは全て打ち込みにしようというのは、どういう気持ちの流れだったんですか。
そこが、私と浜田さんの間で唯一議論になったところで、去年のちょうど今頃、私のデモが出来上がって、それを聴いた浜田さんはタイトな打ち込みのリズムの上に生楽器がゆらゆらと流れているという、そういうサウンドがいいと考えられたんです。でも私は、生楽器がものすごく好きだから、全部生がいいと主張したんですけど、でも出来上がってみて、やっぱりリズムを打ち込みにしてよかったと今は思っています。例えば「1分1秒」という曲は石成さんのアレンジで、「このドラムは誰が叩いてるの?」とレコード会社の人が言ったくらい生な感じなんですけど、でもやっぱり打ち込みならではのすごくタイトなビートになってるんです。だから、最初に「リズムは打ち込みで」と言われた時に、私はすごく電子的なものになってしまうんじゃないかという不安を感じたんですけど、でも出来上がってみると上ものは生でゆらゆらときらめいている感じで、土台はタイトでどっしりしてるっていう、この感じがすごくいいなと思っています。
──そういうアルバムをリリースした後にアコースティックツアーをやりましたよね。そこで、このアルバムの曲たちに関して、改めて何か感じるところはありましたか。
そのツアーでは私を含め3人の編成でやって、全曲CDのようなサウンドは再現できなかったんですけど、でもそういうシンプルな編成でやれて良かったと思いました。私の音楽は、アレンジありきの楽曲ではなくて、まずは歌詞とメロディで伝わる楽曲というのが大事だと思っているので、そういう曲を今回のアルバムで作れたなということを再確認できました。
──3月の品川のライブはバンド編成ですよね?
宗本さんのキーボード、石成さんのギターに、ベース、ドラム、パーカッションという5人編成のバンドでやります。
──となると、今回のアルバムのサウンドの再現というか、音源で聴けるようなサウンドを披露するということになりますか。
アコースティックでやると言葉がすごく届きやすいという良さはあるんですが、バンドではやっぱりバンドならではの勢いを感じて欲しいなと思いますね。それから、アコースティックライブでは私が立って歌うということがないんですけど、バンドだと立って歌う曲もあるのでそれ自体すごく久しぶりですし、ギターを弾きながら歌おうかとも思っています。
──そもそも今回のアルバムは前回のツアーで“こういう曲があるといいな”と思って作り始めた曲たちが収められているわけですから、そういう曲たちをベースにしてセットリストを考えるのはいつにも増して面白いんじゃないですか。
そうですね。それに、もちろん今回のアルバムの曲が中心になりますが、1枚目、2枚目の曲もうまく入れ込んだセットリストになると思います。
──前回(2017年)のワンマンの前に4回アコースティックライブをやり終えたところで、浜田さんから「やっと小学校を卒業したね」と言われたというお話を聞きましたが、それからすると今は“中学3年”くらいでしょうか。
どうなんでしょう(笑)。前回のワンマンは、7本くらいある、私自身初めてのアコーステッィクツアーの間にやって、それから去年の春に10本、さらに去年の秋には11本のアコースティックツアーをやってきての今回なんです。そういうふうに考えてくると、“中学校”は卒業していたいなと思いますね(笑)。
──(笑)、お客さんがどう受け止めてくださるか、楽しみですね。
1年半ぶりくらいになりますから、私自身も楽しみです。観てくださった方が“また観に来たいな”という思いを持ち帰ってもらえるようなライブにしたいなと思います。

「最後の恋」Music Video

PRESENT

オリジナルグッズを1名様に!

受付は終了しました

公演情報

DISK GARAGE公演

中嶋ユキノ LIVE 2019 「Gradation in Live」

2019年3月10日(日)品川インターシティホール

チケット一般発売日:2019年1月20日(日)

RELEASE

「Gradation in Love」

3rd ALBUM

「Gradation in Love」

(SME Records)
2018年10月10日(水) Release
  • 兼田達矢

    取材・文

    兼田達矢

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