初めてのアリーナ・ワンマンに臨む女王蜂。「この濃度のまま、みんなと一緒に大きくなっていきたい」アヴちゃんが想いを語る。

インタビュー | 2020.01.29 18:00

2020年4月4・5日、幕張メッセ 幕張イベントホールにて、女王蜂が『単独公演「十」-Introduction-』を行う。というのは、普段からワンマンに足を運んでいるファンからすると「まあそうなるよね」という、きわめて順当なステップアップである。ここ数年、ツアーのたびに会場を大きくして本数を増やすがそのたびにソールドアウト、ということがくり返されて現在に至るのが女王蜂であって、むしろ一足飛びに横浜アリーナとかに行かないあたり、堅実だなあとすら思う。ニュー・アルバム『BL』のリリースも2020年2月19日に控えている。そのニュー・アルバムのこと、ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』への出演もあった2019年のこと、初めてのアリーナ・ワンマンに臨む気持ちなどについて、アヴちゃんに訊いた。

本気で歌姫になりたいから、私たちは

──2019年はどんな感じでした?
たぶん、4年分ぐらいがんばったような気がして。バンドでアルバムを出して、ツアーをやって、それと別に舞台、ミュージカルもあったし。しかもバンドもののミュージカルだったから、自分の性格を一回忘れちゃうぐらい、自分で自分を追い込んじゃって……「心からやってよかったな」しかないんですけど、でもほんと、つい3ヵ月前くらいなのに、もうずっと前な気がしますね。「火炎」も、3年前くらい前の曲な気がするけど、1年前だものね。
だから、「女王蜂、いいね」って言ってくださる人が少しずつ増えて、すごい素敵な1年だったなと思っているけど、自分たちからすると、次々と準備をし続けていた1年だったので。今もリリースの絶賛準備中だし。
──ニュー・アルバム『BL』が、2月19日に出ますよね。前のアルバムから1年インターバルがないっていうのは──。
めずらしいんです。でも今回、早く出したかったのは、曲がすごく多くて。もともと普段、ずっと曲を作っているから。前のアルバム『十』に入らなかった曲たちもいっぱいあったし。でも、2年に1回ぐらい作ればいいかなと思ってたんですけど、『BL』って浮かんだ時に、パキーンとなっちゃって……私、アルバム・タイトルが浮かぶと、すごい速さで構成しちゃうから。それで、頭の中でできあがっちゃって、めずらしく自分からレーベルに「もう次のアルバム出したいんやけどいい?」って誘って。
これまで、アルバムを出すの、2年に1枚だったのは、女王蜂のペース的にそれがよかったんですよね。活動再開してすぐの頃は、1年に1回しかツアーが出来なかったから。でもだんだん1年に2回、3回ツアーができるようになってきて、単独公演をいっぱいやれるようになったら、それだけ新しい曲をトライできる時間が増えて、ステージで曲と向き合う時間が増えて。私ひとりで向き合うだけじゃなくて、メンバー全員で向き合えるっていうのは、すばらしくて。だから今出来ているこのムードを今出さなきゃ、と思って。
──2~3年前から、ツアーの度に会場のサイズを上げても上げてもソールドアウト、っていう状態になりましたよね。その手応え、あったんじゃないかと思うんですけども。
なんかね、活動を休止して、再開して、エンジンかかってきたなっていうのは……そう言ってくださるということは、外から見てると順調に見えると思うんですけど、やっているわたしたちは、興味が基本的にはバンドの内側にしか向いていなくて。「次のライブこうしたらどうだろうか?」とか、「あ、この音こうした方がすてきかも」とか「衣装、やっぱこうしよう」とか。そうやって、自分たちが女王蜂を続けるためにやってるっていう感じを観てくれる人が、だんだん増えてきた、っていうことなのかな、なんて思います。
──じゃあ、「もっと届くはずなのに届かない」みたいなフラストレーションがなくなってきた、という感じはあります?
いや、それは一生思ってると思う。本気で歌姫になりたいから、私たちは。名前を聞いただけでわかるみたいな人になるぞ!って思うし、、日本にもそういうすごいディーヴァっていっぱいいるから。そこにエントリーすらできなかった自分が、バンドを組んだ瞬間に「やれんじゃん! これ!」と思ってエントリーしたけど、やる気があるだけで、色々と奇跡だけれど稚拙で、頓挫しちゃったのが第一期の女王蜂だとしたら、今の女王蜂って、やりたかったことが少しずつやれてきたっていうか。
夢をかなえるイマジネーションとモチベーションを持って、夢を夢じゃなくしていくっていうことを、どんどんやっている。だから、お客さんがすごい来てくれてありがたいなあっていうのと、ウチらまだまだ行くで!ていう気持ちと……でもそれは、色んなアーティストの方とお話ししてみると、みんなちょっとずつ感覚は違うんだなあって思うし。
──どんなふうに違います?
「ヤバいね!」とか「今キテるね!」とか言われるんだけど、でも、2009年からバンドを始めて、「今キテる」って言われるものが、定着化したりどんどん収束していくのをひたすら見てきているから。で、自分の好きなアーティストは、それでもずっとキテるし、ずっとヤバいし、ずっとかっこいいから。だから、今の世の中に合ってるとか、世の中に見つけられたとか、そういうことではないんだろうな、っていう気持ちがわたしの根底にはあります。
  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

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