祝・空想委員会、再始動!「現体制活動終了」から「復活」までを語り尽くすロング・インタビュー!!

インタビュー | 2021.05.24 19:00

2019年3月31日ヒューリックホール東京と、4月1日下北沢GARDENでツアーを締めくくり、空想委員会が「現体制活動終了」してから2年。2021年4月15日、その日に初めてのソロ・アルバム『空集合』をリリースした三浦隆一(Vo.Gt)が、渋谷クラブクアトロでワンマン・ライブを行った。アルバムの1曲に参加した空想委員会のメンバー、佐々木直也(Gt)と岡田典之(Ba)も駆けつけ、アンコールで一緒に空想委員会の曲を3曲演奏、三浦の門出を祝った……と、思っていたのだが。
ステージを去り際に、三浦が「最後に観て帰ってください」と言う。そして、その日の17:30に公開されたばかりのアルバムの1曲目「えん」のMVが上映される。このMVのラスト・ショットは、ビルの屋上で空を仰ぎ見る三浦の後ろ姿なのだが、この日、この場でのみ、それでは終わらなかった。
そのショットの次に、カメラが三浦の足下を映す。そこにふたりが並んで立つ。再び後ろ姿のショットになると、それが空想委員会の3人であることがわかる。3人が振り返ってカメラに正対し、まんなかの三浦がメガネをかけると、「空想委員会 活動再開」という文字が。
そして、「2021年6月よりワンマンライブツアー開催決定!! 空想委員会ワンマンライブツアー【社会復帰】 6/4千葉LOOK 6/21名古屋CLUB UPSET 6/22 梅田Shangri-La 7/3 渋谷Guilty」──。
すごかった、この瞬間のクアトロの空気。コロナ禍でのライブだったので、拍手以外は静かに観ていたオーディエンスも、思わず悲鳴を上げる。そして喜びのあまり、泣き出す人があちこちに。僕もびっくりしたし、うれしかったし、「これは話を訊かないと!」と思った。で、DI:GA ONLINE編集部に掛け合ってOKをもらい、「現体制活動終了」と同時に事務所をやめたことを知っていたので、三浦本人にツイッターのDMでコンタクトをとり、実現したのが、このインタビューです!(兵庫慎司)

壊れる前に一回止めよう、続けていきたいからいったん止めた方がいい、と思った(佐々木)

──2年前の「現体制活動終了」の時って、どこかでインタビューとか受けました?
三浦隆一(Vo/Gt)いや、一切やってないよね?
佐々木直也(Gt)うん。テレビの番組でちょっと話はしましたけど、ちゃんとインタビューというのは、やんなかったですね。
──なら、そこに触らないのも変なので──。
岡田典之(Ba)確かに、謎のまま終わった感がすごい残ってて。急に消えて──。
佐々木急に現れる、っていう。
──急に消えた経緯は?
佐々木・岡田はははは!
──レコード会社との契約が終わったとか?
三浦いや、違います。僕らの方から。
岡田契約は関係ないけど、正直言うと、あのまま続けていくのが難しくなった、っていうのはありますね。
三浦単純に、売れなかった、っていう結論ですね。それで、方法を変えたかったけど、変えようがなかった。テコ入れしたいけど、今のままだと無理だね、っていう話はしたよね?
佐々木うん、そういう話はした。
三浦音楽活動のしかたが……時代が変わったせいで、今までの方法論でやっていても厳しいな、ってなってきたので。方法を変えたかったんですけど、それが上手にできなかったんだよね。配信とかも、時代についていってない感じがしたし。YouTubeで動画が広まって、とか、そういうところも弱い、遅れてるな、っていう。だから、何かを変えないと伸びていかないんだろうけど、変え方がわかんない。レーベルも事務所も、スタッフさん、いっぱいいる中で、こんな感じで続けていったら、みんなハッピーじゃなくなるな、っていうのはありましたね。

三浦隆一(Vo/Gt)

佐々木僕は、正直に言うと、続けたかった派なんですけど。三浦くん、責任を感じるタイプの人間なので。止められなかった、っていう。
──岡田さんは?
岡田僕も、続けたい気持ちはあって──。
──じゃあ2対1だったんですね。
岡田はい。でも、3人のうち誰かが、止めたいってなっちゃうと……まあ、いったん止めるけど、環境を変えて、それぞれがんばって、また3人で集まれる時があるといいね、という話をして。じゃあその時まで自分を鍛えよう、というふうに、気持ちを切り替えました。
佐々木だから、壊れる前に一回止めよう、というか。このまま行くと本当に壊れるぞ、続けていきたいからいったん止めた方がいい、と思った記憶はあります。
三浦だから、ほんとに僕だけですね、止めたかったのは。
佐々木・岡田はははは!
三浦レーベルもそうだし。契約更新の時期が来て、更新したいって言ってくれたんですけど、「一回止めたいです」っていう話をして。でも、契約は終わったのに、ベストアルバムとかBlu-rayとか出してくれて。本当にありがたいなと思いました。
──で、空想委員会が止まって、それぞれどんな活動に入っていったのか──。
佐々木:僕は、ツアーが終わった翌週から、レコーディングが決まってて。SHAKALABBITSのUquiさんとMAHさんのMuvidatで。だから、余韻に浸る間もなく……あと、ライブも決まっていて。そういうサポートの仕事とか、ゲーム音楽のライブで、国内だけでなく海外にも行ったり、レコーディングに参加したりとか。
去年だと、クロノ・クロスっていうゲームの大きいツアーがあって、台湾とかも行ったりして。それから、インストですけど、ソロの活動もしているので。

佐々木直也(Gt)

──そうだ、渋谷のO-WESTでサポートで弾いてるの、観ました。
佐々木あ、ほんとですか? セプテンバーミーですね。そのサポートもやってました。
──じゃあコロナ禍まではけっこう忙しく?
佐々木そうですね。コロナになってからはちょっと落ち着きつつ、でも最近はまた、新しいお仕事をいただけたりとか。あと、岡田くんのソロも手伝っていたので。
──「空想委員会どうしよう?」というのは?
佐々木それは常に思っていて。「現体制活動終了」って、中途半端じゃないですか? だから、どっかでけじめをつけないといけない。それが復活なのか、解散なのか、答えは出さないといけないな、っていう感じはありましたね。じゃないとファンに申し訳ないし。
──で、岡田さんはどんな感じでした? プライベートのめでたいトピック以外は。
三浦・佐々木はははは!(※休止直後の2019年4月にNegiccoのNao☆と結婚)
岡田(笑)。空想が止まるちょっと前に、アイドルの楽曲制作の話が……ベースでサポートをやらせてもらってた、amiinAのプロデューサーから、「岡田くんの曲で、新しい子たちをやっていかないか」っていう話をいただいて、Leo-Wonderに曲提供を。で、ステージにも立ちたいので、自分でやるしかないなと思って、ソロも始めて。あと、三浦祐太朗さんからベースのサポートのオファーをいただいて、それもずっとやりつつ……今もツアー中なんですけど。それをすべて吸収して、自分のものにして、「空想やるよ」ってなった時に活かせるように、っていう気持ちでしたね。

岡田典之(Ba)

──そこで、「あれ? 俺、これだけ活動できていれば、もう空想委員会、やらなくてよくない?」とはならない?
岡田まったくなんないです。でも、自分が何も変われてないのにやるのは違うな、と思っていたので。自分が変わってない状態では、話が来ても、「ちょっと待って」って言ってたと思う。自分がまだ「現体制」だと、できなかったですね。
──ああ、なるほど。で、三浦さんは──。
三浦僕は、空想委員会の「現体制活動終了」の時は、音楽をあんまり好きじゃなくなっていたので。なので、2年間かけて、音楽を好きかどうかを確かめていた感じかもしれない。
──一回就職したんですよね。
三浦しましたね。裏方に回ろうと思って。音楽専門のクラウドファンディングをやる会社に入って、ラスト・ワンマン・ツアーをやりながら、平日はサラリーマンをやっていて。で、空想が終わってからは、そこで働きながら……呼ばれたライブは出るし、でも曲がないから空想の曲を弾き語りで歌うし、みたいな。そうやっているうちに、「あ、ライブ、楽しいな」とか、一個ずつ確認していく感じでしたね。
──コロナで1年延びたけど、当初は2020年の4月11日に、渋谷クラブクアトロでワンマンをやるはずだったんですよね。
三浦あれも、何か目標を一個作っておかないと、音楽をやらなくなるだろうな、っていうのがあって。あと、サラリーマンとして働いていて、いろんなアーティストの裏方をやるんですけど、「いや、でもこれ、俺が表に立ってやった方が絶対おもしろいな」と思っちゃって。
佐々木・岡田(笑)。
三浦失礼なんですけど。でも「俺ならもっとこうする」とか思っちゃったので、「じゃあ自分でやるべきなのかな」と思い始めて。
──で、ソロのアルバムを作りましたよね。
三浦はい。当初は、2020年の4月に出す予定だったんですけど、体調を崩して入院したのと、コロナ禍になってしまったので、延期にして。延期にしたおかげで、空想委員会をやろうと言われた時に「ああ、いいよ」って言えたんですけど。去年の4月に言われてたら、「ちょっと無理かも」と言っていたかもしんないです。だから、そうですね、この3人の中では、いちばん音楽をやってないです。
佐々木・岡田はははは。
三浦YouTuberみたいなことをやってましたね。配信のしかたを勉強したりとか……最初の話に戻るんですけど、空想の時に「弱い!」と思ってたところを、自分でやんなきゃ! というのがあったのかもしれないです。
  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

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  • 撮影

    Kondo Hirokazu

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