武藤彩未、「SHOWER」リリースパーティー開催!ミニアルバムについて全曲語る。

インタビュー | 2021.09.15 18:00

1980年代の日本の歌謡曲のエッセンスを取り入れた “レトロポップ”をコンセプトに掲げる武藤彩未が前作『あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。』から約10ヶ月ぶりとなる通算3枚目のミニアルバム『SHOWER』をリリースした。Rin音への楽曲提供で知られる音楽プロデューサーのmaeshima soshiやシンガーソングライターのOHTORA、evening cinemaの原田夏樹、元SHE IS SUMMERのMICOなど、歌謡曲やニューミュージック、シティポップを現代的なサウンドで表現する新感覚のクリエイターたちが参加した本作で彼女が目指したものとは——。
──まず、3枚目のミニアルバムができた感想から聞かせてください。

個人的には音楽を作っている時間は本当に充実したものになるので、こんなご時世の中でも音楽活動を止まることなくできているのは、ファンの皆さんのおかげだなと感じていて。改めて、感謝の気持ちがたくさん込み上げてきました。

──制作前はどんな作品にしたいと思っていましたか。

昔から大好きな80年代の昭和歌謡の良さを生かして、自分の音楽を作れたらいいなと思って。なので、今回も私が掲げている“レトロポップ”という根本的なテーマは変わらずに、自分の個性をガッツリ出していけたらいいなと思っていました。ただ、前作はライブでみんなと盛り上がるっていう意味で、あえてバンドサウンドで作らせてもらって。今回は、80年代というベースは一緒だけど、ガラッと変わって柔らかくて爽やかなシティポップサウンドを意識しました。今、皆さんきっと、いろんな葛藤や悩みがあると思うんです。そういう気持ちを洗い流せるようなアルバムが作れたらいいなと思っていて。なので、明るい曲調というよりは、皆さんの感情に寄り添えるような優しいサウンドにしました。

──今、「洗い流す」とありましたが、アルバムのタイトルが「SHOWER」になってます。

まさに「憂鬱な日々や悩みを洗い流す」っていう意味で「SHOWER」にしたんです。本当に人それぞれ、いろんな悩みがあると思うんです。同世代だったら、きっと今後の将来に不安を感じてる人もいると思って。私自身もまだ未来がどうなるかわからないですし、いろいろ思うことがあるので、幅広い世代の方に届いたらいいなと思ってこのタイトルをつけました。

──タイトル決めたのはいつですか。

最初ですね。テーマもタイトルも決まっていて。そこから曲集めをはじめました。

──最初に取り掛かった曲は?

先行配信で一番最初にリリースさせていただいた「ヘッドフォンコミュニケーション」です。デモ音源を何十曲も聴いて、そこから選んでいくんですけど、この曲はファーストインプレッションでビビッときて。「絶対にこの曲が歌いたい!」と思って。即決でしたね。

──どんなところにビビッときましたか?

クセになるメロディですかね。昭和歌謡の良さって、メロディがシンプルで残るんですよね。例えば、皆さんもCDを持ってなくても、歌えちゃう曲があると思うんです。そういう意味では、私もメロディのキャッチーさを大事にしていて。この曲は一回、聴いただけで耳に残るメロディだなって思ったので、すぐに選ばせてもらいました。

──作詞にも参加してますね。

今までの私にはないラップのような雰囲気になっています。音数が多いので、歌詞をはめるのに苦戦して。何回も何回も書き直して、やっとこの形になったんです。いっぱいやり直したぶん、私的には達成感がすごく強いですね。

──ラブソングですよね。

そうですね。昔の恋人への想いがまだ忘れられずに、前に進めていない人の気持ち。曲がエモいので、歌詞もエモい方が良いと思って。ガッツリと恋愛ソングを書かせていただきました。このタイトルはデモの段階でもうついていて。ハマりがよかったので変えないんです。タイトルから想像して歌詞を書いていったんですけど、最終的には、好きな人とたくさん聴いてきた曲がふいに流れてきて、ヘッドフォン越しに彼のことを思い出してるっていう意味。<片付かない思いがまだ/この曲の停止ボタンの指止めさせた>という最初の2行で全てが詰まってる感じがありますね。

──<片付かない想い>=<片想い>というフレーズはかなりの名文だと思います。武藤さんにもこういう部分はありますか。忘れられない思いというか、後悔や未練を引きずるというか。

いや、私は結構サバサバしてて。すぐに前に進みがちなので、自分の性格とはかけ離れてるなと思います(笑)。友達の話を聞いたり、好きな韓国ドラマを見たりして、ネタを得ていて。自分に重ねるというよりは想像しながら書くことが多いかなと思います。

──歌声はとても大人っぽくて驚きました。

ありがとうございます。自分でも新しい歌い方になったなと思いますし、新しい私を引き出してもらえた曲になったなと思います。個人的には、間奏明けの<Darling>が重要だったんですね。ちょっと弱いとダメで、力強さが必要だなと思ってて。何回も録り直して、やっと満足のいく<Darling>が録れたんですけど(笑)、レコーディングブースからモニター越しにディレクターさんやスタッフさんの顔が見えているんですけど。この<Darling>が出た時は、みんながガッツポーズしていて。これは決まったな!と思いました。気持ちよかったですね。

──(笑)このまま作った順番に収録曲についてお伺いできますか。

次は「あの夏の海で」ですね。ザ・シティポップ。イントロから波のサウンドが入っている、海辺な感じ。これも今までの私にはない楽曲になったなと思っています。爽やかな気持ちになれる曲調だけど、歌詞はちょっと切ないっていう。そのギャップがいいなと思います。

──これも過去を振り返ってますよね。

そうですね。いない人の存在を想像しながら、切なげに歌うことを心がけました。張るというよりは、ささやくくらいの気持ちで歌いました。

──夏の思い出というと何が浮かびますか。

私、あんまり青春してきてないんですよね(笑)。青春はアイドル時代、さくら学院だったので……。

──初代会長を務めたさくら学院は10周年を機に活動を休止してしました。

そうなんです。なんか、まだ実感がないですね。きっと父兄さん達ずっとは続くと思っていただろうし、やっぱり寂しさはありますね。でも、さくら学院は私の青春で、それはグループ活動が終わってしまっても消えることはないですし、私たちの中では生き続けると思っていて。だから、これからも卒業生代表として、頑張りたいと思います!

──卒業生代表という言葉が聞けて嬉しかったです。アルバムの話に戻りますと、続く3曲目に制作したのは?

「グッバイ。」ですね。これもデモに仮タイトルとしてついていて。先にあるテーマに沿って、私が想像して歌詞を書いていくっていうやり方が多くて。これも「グッバイ。」というタイトルはついていたので、シンプルにまだ振り切れてない恋人への思いにケジメをつけるっていう曲にしようと思って。

──どんな主人公ですか。

恋人のことを未だに好きなんですよね、でも、前に進まなきゃっていう強さもあって。きっとここから、新しい一歩が踏み出せていると思います。

──「SWEET MEMORIES」や「春の風誘われて~Spring has come again~」、「グッバイ・ガール」など、武藤さんが好きな聖子ちゃんをオマージュしたようなフレーズが見受けられます。

あはははは。そうですよね。でも、無意識なんです。聴きすぎちゃっているから自然と出てきてしまったっていう。松本隆先生の言葉が身に染みている感じがありますね。

──(笑)曲調は爽やかですよね。

この6曲の中では一番、昭和歌謡に近いかなと思って。構成もシンプルなので、一番私らしさが出てるのかなと思います。あと、サビが高音なので、歌っていてすごく気持ちいいです。早くライブで歌いたいなと思いました。

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