シンガーソングライター・れんが、音楽活動1周年記念ワンマンライブを東京・大阪で開催。「僕の気持ち、情熱、全部受け取ってほしいです」

インタビュー | 2022.08.29 18:00

SNS投稿動画視聴再生回数1億回を誇る、2003年生まれのシンガーソングライター・れん。コロナ禍でギターの弾き語りを始め、オリジナル曲を制作するようになったことをきっかけに、彼の人生は大きく変わったという。
高校3年生、部活動をした直後の2021年9月に1stデジタルシングル「嫌いになれない」でアーティスト活動をスタートさせ、コンスタントにリリースを重ねるなかで2022年3月には高校卒業記念ワンマンライブ「れん 1st ONEMAN LIVE ~きみのうた~」を開催。8月にオリジナル曲としては6作目のデジタルシングル「ゆらせ」をリリースし、10月には東阪ワンマンライブ「1st Anniversary Tour ~ゆらせ~」も決定している。
音楽活動を本格始動させ約1年、高校卒業から約半年経った彼は、今何を思いながら音楽と向き合っているのだろうか。これまでの歩みから今後のビジョンまで、じっくりと話を聞いた。
──れんさんは中学3年生の2018年からTikTokに投稿を開始したそうですね。

そうです。最初はサッカーの動画を上げていたんですけど、高校に入ってからサッカー部の友達に「歌った動画を上げてみればいいじゃん」と言ってもらったんです。僕はサッカーの練習中や試合前はONE OK ROCKやゲスの極み乙女、洋楽とか、ジャンル問わず好きな曲をめちゃくちゃ聴いたりしていたし、その友達は僕がよくロッカールームで歌っているのを耳にしていたからそう思ったみたいで。それで親戚の結婚式でONE OK ROCKの「Wherever you are」を歌った動画をアップしてみたら、たくさんの人に見てもらえたんです。

親戚の結婚式で歌いました。

──順調にプロサッカー選手への道を歩んでいたその頃のれんさんにとって、音楽はどういうものでしたか?

好きなことをやっている、という感覚でした。でもそれは今も同じかも。僕、好きなことしかできなくて。サッカーも好きで楽しいし、曲の投稿も小さい頃から歌うのが好きだから始めて、それを幸運なことにありがたい環境でやらせてもらっているんです。だからサッカーも音楽も、僕にとっては大好きな趣味なんですよね。それで結婚式の動画以降TikTokではサッカーの練習の合間にカラオケに行ったときの動画を上げていたんですけど、2020年にコロナ禍に入ってしまって。

──カラオケ店は臨時休業も相次いで、部活もできない日々も続いてしまったと。

家にいるのも退屈で、何かやってないと落ち着かないから動かないとと思って。前々から弾き語りができたらかっこいいなとも思っていたので、これを機会にギターを始めたんです。1、2万円ぐらいのギターを親に買ってもらって、半年以上それで練習しました。今までカラオケのゴージャスなオケで歌っていた曲も、弾き語りだとちょっと優しい感じ、エモい感じ、落ち着く感じが表現できるのが面白くて。そこから少しずつオリジナル楽曲のかけらをTikTokに上げるようになりました。

──サッカーで埋まっていたれんさんの生活が、コロナ禍という環境によって音楽が幅を取り始めたということですね。

2020年の部活停止期間がなかったら、ほぼ間違いなくそのまま大学でもサッカーを続けていたと思います。弾き語りを始めたことをきっかけに、音楽についてより深く知るようになったんです。そしたら自然と自分で曲を作ってみたくなって。新しいことに挑戦していくのが新鮮で楽しかったし、たくさんの人に届いて、反応をもらえたことがすごくうれしくて。それでこのままサッカーを続けるか、音楽の道に進むかすごく悩んで。「高校最後のインターハイで全国に行ったとしても、大会が終わったら音楽活動をしやすい大学を受験しよう」と決めたのが2021年の5月でした。

──そこまでサッカーに少年時代を費やして、将来を約束されるほど順調に進んでいたところに、それを手放して音楽の道に進む。とてつもない勇気だと思います。

監督や校長、学年指導の先生からも「考え直さないか?」と説得されました。母親のところにも「息子さんどうにかしてください」という電話がかかってきたらしくて(笑)。そこまで言ってもらえるのは本当にありがたいし恵まれていると思うんですけど、音楽を始めて得た経験は本当に新しいことばかりで……好奇心がどんどん湧いてきてしまったんです。母親も僕が決めたことは何を言われても曲げないとわかっているので、「もう本人が決めたことなので」って。

──その大きな決断を経て2021年9月にリリースされたのが、1stシングル「嫌いになれない」ということですね。曲作りにもご自分のアイデンティティを見出したからこそ、シンガーではなくシンガーソングライターという選択をなさったのでしょうか?

そうですね。「嫌いになれない」が出来上がったときに……女性に対しておこがましい言い方になってしまいますけど、子どもをつくるような感覚があったんです。曲は僕が死んだ後も残り続けるし、知らない誰かの元にも届いて、その人の心にも寄り添える。すごく神秘的でクリエイティブだと思いました。バンドに憧れはあったんですけど、まず自分の軸を確立させたかったので、ひとりで活動をしていくことにして。ちゃんと自分で自分の責任を取りたかったんですよね。

──「嫌いになれない」は歌詞やメロディ、ボーカルのムードも含めて、リスナーとしてのれんさんが愛してきた音楽の要素が、れんさんの身体を通して出てきたような曲だと感じました。

わ、うれしい(笑)。曲作りは習ったこともなかったし、最初は何をすればいいのかまったくわからなかったんですけど、僕の好きなコード進行や展開を意識しつつ、そのコードにメロディをはめて歌詞をつけていって。そうやって作ったのが「嫌いになれない」なんです。

嫌いになれない (Music Video)

──3rdシングル「赤」は歌詞にもご自身の思いがダイレクトに刻まれていたり、作曲を重ねるごとに楽曲にはどんどんれんさんなりの視点や、れんさんならではの味が濃く出てきていると思います。Twitterを見ていても日常的に曲作りをなさっているようなので、それも影響しているんだろうなと。

「今日は曲を作ろう!」と意気込んで作り始めるときもありますけど、だいたいは普段生活していてメロディが落ちてきたり、生活のなかでふと自然に作り始めています。曲作りが義務的ではなく、趣味の延長線上でやれていることが、すごく自分にとってもありがたくて。曲作りも歌うこともライブも全部楽しいし、自分の知らない人にも自分の曲が届いていること、それを喜んでもらえたり共感してもらえるのもうれしい。全部同じくらい大事なんですよね。

──れんさんの楽曲の主人公はみんな純粋ですよね。4thシングル「きみのうた」の主人公の女の子も好きな人への愛が止められないから独占欲が生まれてきているのだろうし、2ndシングル「Promise」や5thシングル「氷解」の主人公は優しくて勇敢で。みんななんてピュアなんだろう……! と気持ちがあたたかくなって。

僕の恋愛経験がまだまだ浅いのかも(笑)。ラブソングを書くときは僕の恋愛観もあれば、友達に聞いた話から生まれることもあるし、想像から生まれることもあって。「氷解」は幼馴染に恋をする男の子というシチュエーションを想像して、「きみのうた」は口に出せない、内心に秘めている独占欲をテーマに書きました。「Promise」は彼女ができた僕の友達から「彼女ができて初めてあの曲の良さがわかった」と言ってもらって。そう言ってもらえることも、自分が歌で思いを伝えられていることも、すごくうれしかったですね。

氷解 (Music Video)

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