TOMOO、メジャーデビュー・ライブの振り返りと、新ライブツアー『BEAT』に込めた思いを聞く

インタビュー | 2022.12.15 20:00

──そして、10月には2枚目のデジタルシングル「17」がリリースされました。

セブンティーンアイスをインスピレーションの元にして、一般的に思春期の真っ盛りである、10代の象徴としての数字を重ねてナチュラルに書いた曲ではあるんですけど、自分が17歳のときに活動を始めたこともあり、このタイミングで出したいなっていうのはあって。

TOMOO - 17【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

──書いたのはいくつくらいの時なんですか?

最初のメモを書いたのは24歳ぐらいのときですね。21歳くらいまでは10代が近いんですけど、段々と遠くなってきて、本当にモラトリアムが終わる感が目の前に迫ってきてて。当時、自分はバイトをしてたけど、周りは就職したりして。元同級生と比べると、私だけ宙に浮いているモラトリアムみたいな感じだったんですけど、最後の夏休みみたいな感覚もあって。この一瞬の夏休みはもう終わるってなったときに。

──情景が目に浮かぶ歌詞ですよね。練習スタジオから出たら、かつて一緒に夢を追いかけていた友達が待ってるっていう。

その辺りのフレーズの描写については、聴いてくださる方にそれぞれのシチュエーションを想像してもらえたらいいなあと思ってるんですけど、たとえば何か社会的に見ていわゆる「大人」の形に身を置くようになった人の背中が、ふとした時に子供みたいに見えたら、心がぎゅっとなります。でも、人の中の童心って別に消えるわけじゃなくて、むしろ、誰かがその童心を見い出してくれることで、引き出されたりするし、残しておくこともできるんじゃないかと思って書いた曲でした。

──夢を追いかけたり、諦めたりする人だけじゃなく、例えば、周りのみんなが結婚していく時期を迎えている人もグッとくるだなと思います。「オセロ」も「17」もこれまでを振り返りつつ、未来を見据えてる曲ですが、それは、メジャーデビューというタイミングだからですか。それとも、活動から10年という節目だったからですか?

タイミングが合っちゃったのでどっちもありますね。私は17歳で、中学3年生の時に作った「金色のかげ」っていう曲で大会に応募して、活動を始めて。当時、『人の姿や形のことを影っていう言い方をする』っていうことを調べて。“金色”というのは光のこと。夕陽を見たときに、金色に光ってる思い出の中の人を思い出したっていう歌なんですね。光と影という言葉が一緒になった曲から始まって、結局、「オセロ」にも通じるようなことを言ってるなと思ってて。だから、いつも光を見てたんですけど、眩しいだけの光だけじゃなくって。例えば、夕焼けで、雲が影になっちゃってて、黒く見える。そのふちを金色が縁取ってる。「金色のかげ」はそういう光景を見ながら書いた曲だったんですけど、私はいつも、光と影がセットなんですよね。明るいタイプではないけど、暗いわけでもないっていう。そういうものの見方を人との出会いや関わりの中でも見いだしてばっかで、活動してきた10年だった気がします。めちゃくちゃ抽象的なんですけど。

──「ごちゃ混ぜ」とも通じる話ですよね。「17」には<回り道>というフレーズもありましたが、ご自身では回り道だと感じてますか。

私はこの歩き方しかなかったなとは思ってます、今は。でも、そのときそのときはいつも、何でそんなにうだうだしてるのって見られることもあったし、自分自身でも思うことは結構あって。もっとスパンって、自分の活動を前に進めていける人は周りにはいて。何かを吸収して、何かに順応して、何か行動を起こしたりするのがいつも遅いなって思ってて。でも、なんでも時間がかかっちゃうんですよ、私は。だから、見る人によっては、ある意味、回り道してるとは思うんですけど、私はこの道しかなかったなとは思ってます。

──12月からは初の全国ツアーがスタートします。どんなツアーになりそうですか。

東京以外でワンマンライブをしたことがなかったので、ライブハウスのワンマンツアー自体が初めてなんですね。基本的には、ライブハウスでのバンドでのライブっていうところが、前回のホールライブより強まるかなと思ってて。お客さんも全員ほぼ立ち見になるので、それだけでもそもそも雰囲気が違うんですけど、距離の近いところで、演奏する側も野生とまではいかないんですけど、各々がグイグイ押し合う感じのバンドらしいバンドのライブにしたいなと思ってます。あと、『Estuary』までは、みんなに演奏してもらって、私は歌だけで動き回って踊るってっていうところも多かったんですけど、ちょっとピアノに触れる時間を戻そうって思ってて。今回は、ピアノは私が全部弾くんですけど。

──「オセロ」はピアノを弾いてないですし、「Ginger」は1番は弾きながら歌って、2番はハンドマイクっていうのが恒例になってました。

今回は演者の人数も少ないので、ピアノがよく聞こえるってなったときに、私にしかない弾き方があるなと思ってて。それを体現した方がいいんじゃないかと思ったのと、タイトルに『BEAT』ってつけたんですけど、私、叩くようにピアノを弾く場面が多くて。ある意味、自分にとってのピアノは打楽器に近いんです。そういうふうに言ってるのに、自分で弾いてないのはどうなんだろうって思ったりもして。この半年はチャレンジとして、ハンドマイクでやってきたんですけど、そこを経て、今度はもう1回ちょっと弾いてみようっていう自然な流れと、打楽器っぽい自分のピアノっていう原点回帰みたいな気持ちも相まって。

──キーボードを入れずに回るんですね。

そうです。準備してて、やばい大変って思う瞬間があるんですけど(笑)、やっぱり自分はピアノとセットなので、もう一度ピアノと仲良くなりたいなっていう気持ちで頑張ろうと思ってます。

──繰り返しになるかもしれないですが、「BEAT」と名付けたのはどうしてですか。

タイトル自体はめっちゃノリでつけたんですよ。「Estuary」の当日3日前くらいの夜に、喉をケアするお薬を飲んだら、動悸が激しくなってしまって。本当に深夜3時ぐらいまで寝れなくて。バクバクしてしょうがないなと思ったときに、マジ、ハートビートだと思って。タイトルを決めないといけない時だったので、「BEAT」を調べてみたら、いろんな意味があって。打ち勝つ、打ち負かす!みたいなアグレッシブな意味もあれば、純粋に心臓の鼓動もあるし、楽器のビートもあるし。ドキドキっていう意味でのビートもある。今度の冬を想像したときに、それは全部、欲しい要素だなっていうふうに思って。このハートビートは、みんな共通に持ってるし、うまく言えないんですけど、一番ちっちゃい共通項みたいなところあるなと思って。ワンマンとしては初めての場所でライブを旅していくって想像したときに、どっか共通項を持ってる気持ちのままお客さんと向き合いたいなっていうのもあったりとか。さっきの打楽器としてのピアノのこともそうですし、あとは、メジャーデビューして、一緒に仲間になってくれた人たちがいっぱいいる中で、それをポジティブに背負うというよりは、熱をもらってる感じがあって。別に私自身が強い人間っていうことじゃなくって、人に目を向けたときにもらえる強さを段々蓄えてると思ってるから、そういう意味で、勝ちます! みたいなのを今は言ってもいいんじゃないかなと思って。渋公のライブ本番直前3日前ぐらいの気持ちの高まりも流れ込んじゃって、だいぶノリでつけたタイトルです。

──BEAT =ぶちかまかすようなライブを期待してますが(笑)、ご自身で何か楽しみにしてることはありますか。

それは、ご飯と空気なんですけど(笑)、本当に久しぶりなんですよ。5年ぐらい前に、ツアーと呼べるのかわからない、ワンマンではなく、各地を巡るライブがあったんですけど、それ以来なんですよね。北海道は人生初、足踏み入れだったりしますし、東京以外のワンマンは初めて。そもそも、普段から旅行をする人間ではないので、遠出をするのが楽しみです。普段はゆったりしてるタイプなだけに、もうやるしかないという状況で、未知の場所に放り込まれるのは、アドレナリンが出てる状態というか。細胞がカッて開くような感じが楽しみです。正直、ワンマンをしたことはない場所ばかりなので、怖いっちゃ怖いんですけど、怖いからこそ楽しみっていう感じですね。

──ライブに足を運ぶお客さんたちにメッセージをいただけますか。

めっちゃ初めましての気持ち満載で行くんですけど、物理的な距離の近さもありますけど、前から知ってたような人に会ったような、生身の人間感で会えたらいいなと思ってます。そうできると信じてるんですけど、私もドキドキしはながら、安心してライブしに行くので、安心して楽しみに来てください。なんじゃそりゃって感じですけど(笑)。

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公演情報

DISK GARAGE公演

TOMOO 1st LIVE TOUR 2022-2023 “BEAT"

2022年12月16日(金)福岡・DRUM Be-1
2022年12月24日(土)北海道・cube garden
2023年1月7日(土)愛知・THE BOTTOM LINE
2023年1月8日(日)大阪・BIGCAT
2023年1月15日(日)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)

チケット:一般発売日 2022101()

RELEASE

「17」

Major 2nd Digital Single

「17」

2022年10月26日(水) SALE

→Streaming/Download
  • 永堀アツオ

    取材・文

    永堀アツオ

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