kobore、ニューアルバム『HUG』と全国ワンマンツアーについて語る[後編]

変化を恐れないバンドは美しい。本音を行動で示すバンドはかっこいい。koboreのニューアルバム『HUG』がとてもいい。直情径行の佐藤赳(Vo/Gt)、熟慮断行の田中そら(Ba)、二人のソングライターが並び立つことで音楽性の幅がぐっと広がった。安藤太一(Gt/Cho)、伊藤克起(Dr)と、感情表現に優れたメンバーの成長も著しい。進化し続けるバンド・koboreの今について、佐藤赳と田中そらに話を聞いた。
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──去年の10月にシングルで出た、初のアニメタイアップ曲(フジテレビ系TVアニメ『デジモンゴーストゲーム』エンディング主題歌)も入ってるし、今年1月にシングルで出た「うざ。」も入ってる。本当にバラエティ豊かなアルバムで、それを締めくくるラスト曲が、そらくん作曲の「この夜を抱きしめて」。これがまたすごい。一発録りのガレージロックみたいな、とんでもなく荒々しい音。

田中そら一発録り風、です。うちのバンドは絶対誰かがミスるんで、確率は俺かギターか、2回に1回はミスるんで、無理でしょうということで。でも現代にありがちな、機械でいじることはほとんどしてないです。録った音そのままで、整えたりもしないでって(エンジニアに)お願いしたんで、粗い感じになってます。むちゃくちゃいい音ですよね。

──ほんと、いい音。

田中こんなに思った通りのサウンドになるとは思ってなかった。エンジニアさんにけっこう説明して、こんな感じの音源にしたいというものも聴かせた気がします。銀杏BOYZかな。

──あー。わかる。

田中銀杏は無理だけど、koboreのいいところを取ってやってみようって。銀杏は無理らしいです。エンジニアさんに「無理」って言われました。できないというか、やってはいけない音というか。

佐藤赳めっちゃ汚い。でもめっちゃ好き。それが今回、俺らのやるぎりぎりを攻めた感じです。

──途中でアコースティックギターと歌だけになるところがすごい劇的で。

田中そういう落差を作りたいんで、基本。乗り物もジェットコースターが好きだし、いつも何でも、差がほしいんで。うるさいのと静かなのとか、きれいと汚いとか、切り替えが好きなんで入れました。ここで言ってること(歌詞)も嘘はないんで。全部本音です。

田中そら(Ba)

──「ステージを降りると死ぬのが怖くなる」ってすごい歌詞ですよ。逆に言うと、ステージに上がってる時は死んでもいいと思ってる。

田中というのもあるし、超楽しいから、別に今日死んでもいいかって。でもステージを降りると、もう一回同じ気分を味わいたいから死ぬのが怖くなる。ちょいちょい延命してる感じです。

──―ライブって延命行為なんだ。なるほど。

佐藤俺はステージの上でも下でも、死ぬのは怖くないですよ。ていうか死なねぇし、と思いながら歌ってます。

佐藤赳(Vo/Gt)

──そういう曲と、洗練された「雨恋」「もういちど生まれる」とかが一緒に入ってる、すごいアルバム。

田中やばいですね。

佐藤ひとクラスみたいな、いろんな奴がいるみたいなアルバムだなと。

田中時代には合ってないと思いますけど。今の子たちには。

──そんなことはないでしょう。

田中全部聴いてくれるきっかけがあるんだったら、ほぼ勝ちだと踏んでるんですけど。この中の1曲だけとりあえず聴かれたとしたら、困りますね。「雨恋」から聴かれて、こんなバンドなんだって判断されてもちょっと。しょうがないんですけど、だからどうにか聴かれる方法を模索してます。聴かれれば、絶対にいいアルバムなんで。このアルバムが話題になんないんだったら、普通に幻滅です。日本人に。

佐藤確かに。でも、売れるために作った曲は1曲もないけどね。

田中めっちゃ頑張ったから、聴いてほしいな。絶対好きな曲が1曲はありますよ。

──そしてアルバムリリースツアーは5月から。どんな気持ちで臨みますか。

田中ライブ映えする曲が多いんで、それをやるのが楽しみなのと、逆にライブ映えを全然考えないで作った曲がどうなるのか、来てくれた人がどう感じるのかが楽しみです。あと「雨恋」という曲は、19本のうちどこかで絶対やるんで、どうしても聴きたい人は全部来てください。どこかでやります。

──どこかでやるんだ。

田中どこかでやります。やるって言っちゃったんで、やんなかったら訴えられちゃう。一回はやります。ちとせさん次第です。