【halca ロングインタビュー 後編】新曲「ウィークエンドロール」に込めた想いやMusic Video撮影秘話などを大いに語る

インタビュー | 2025.05.01 20:00

halcaの新曲「ウィークエンドロール」は現在配信中、シングルが5月21日にリリース。放送中のアニメ『mono』のエンディングテーマで、自身で作詞も手掛けている。『mono』は写真部と映画部が合体したシネフォト研究部で活動する女の子たちの日常を描いたほのぼのとした作品だが、「ウィークエンドロール」も思いついたらすぐ行動を起こす女の子たちの元気さ、週末を楽しみにする様子を描きながらも友達や周りの人と過ごす時間の大切さをさわやかに歌っている。今青春真っ盛りの学生やかつて青春時代を送った大人など誰でも共感や郷愁を感じるような曲になっている。

アニメの監督が音楽好きと聞いたので、halcaチームの音楽魂がふつふつと燃え上がって(笑)

──今回の新曲「ウィークエンドロール」は、現在放送中のアニメ『mono』のエンディングテーマですが、『mono』の印象をお聞かせください。
おもしろすぎますね。自分がエンディングテーマを担当していなかったとしても絶対観ていたと思います。アニメーターの方のすごさも改めて感じました。特にシネフォト研究部(廃部を回避するために映画研究部と写真部が合体)に所属するさつきちゃんたちが作中でよく使用している360度カメラは、撮影した写真をスワイプ(スマホやタブレットなどの画面を指で強く押したままで滑らせること)するとぐるっと画面が動きますが、上手に表現されていたのが衝撃的で。しかも『きらら系アニメ』(女の子が主人公の4コママンガ誌『まんがタイムきらら』を原作にしたアニメ)で、作品の雰囲気自体はほのぼのとしているのに、高度な技術が使われていて、「ジャパニメーション恐るべし!(笑)」と感動しました。
また『きらら系』の女の子同士の友情やあいまいな感情も表現されているところも好きですし、キャラ一人ひとりも魅力的なので観ていて楽しいです。
そして放送が始まってから7年目に入った私のラジオ番組『halcaの「キミの隣」』が放送されているFM FUJIさんがある山梨県甲府市が舞台になっているのが嬉しいですし、すごく親近感を感じています。
──「ウィークエンドロール」がバックで流れるエンディング映像をご覧になった感想は?
すごく嬉しかったです!エンディングなのに、オープニング映像くらいにたくさん描き込まれていて。さつきちゃんたちが振り返って自己紹介をしているようなシーンも素敵ですし、サビの「360度の景色を撮って」の歌詞に合わせて、みんなでカメラをパスし合ってくるくる絵が回るシーンも「こんな感じの映像になったらいいな」と思っていたものが実現したので感動しました。
アニメ『mono』のイベントで制作スタッフの方々にお会いした時にも曲をほめていただきましたし、曲を聴いて「ここはこうしたい」とこだわってくださったのかなとか、皆さんの愛情が映像からも伝わってきました。あとAメロでさつきちゃんたちが5人で手を振りながら行進するところもかわいくて、TikTokなどでミームになったらいいなと思いました。

TVアニメ「mono」ノンクレジットエンディング|halca「ウィークエンドロール」

──1話でオープニングテーマが流れずに、エンディングテーマだけ流れるパターンはあまりなくて斬新だなと思いました。
確かにそうですね。私も1話を観ていて、オープニングテーマが流れなかったからエンディングでオープニングテーマが流れるのかなと思っていたのでビックリしました。でも1話でも多く「ウィークエンドロール」を聴いてもらえるきっかけを作っていただけてありがたいです。
1話と2話でエンディングをご覧になった方からも早速反響をいただいて、「『mono』の世界観に合ってますね」とか「サビの「シャラララ♪」をライブで一緒に歌いたいです」など喜んでいただけたようで良かったです。
──ちなみに好きなキャラを挙げるとすれば?
霧山アンちゃんです。主人公のさつきちゃんが好きすぎるところや表情が豊かなところ、自分の気持ちに真っすぐなところなどが好きです。あとさつきちゃんたちがよく出入りしている駄菓子屋「しろねこ屋」で居候しているマンガ家の春乃さんから「マンガのモデルになってくれない?」と頼まれて、さつきちゃんは悩んでいたのに、交換条件にアンちゃんの大好物のひねり揚げをあげると言われた瞬間にすぐにOKしちゃうところもかわいいなって。「しろねこ屋」で飼っている猫のたいしょうのしっぽにアクションカム(小型で軽量が特徴のカメラ)を結び付けて自由にさせたら、アクションカムがボロボロ状態で戻ってきて号泣しているシーンも「それはそうなるでしょ!」とツッコミを入れたくなりました。それとアンちゃんを演じる古賀葵さんの叫び声もかわいいのでお気に入りです。
──エンディングテーマ「ウィークエンドロール」の作詞を共作の形でされていますが、どんなコンセプトやイメージで作詞されたのでしょうか?
エンディングテーマのお話をいただいた時、アニメの愛敬(亮太)監督がかなりの音楽好きというウワサを聞いたので、「監督に満足していただける曲を作ろう!」とhalcaチームの音楽魂がふつふつと燃え上がって(笑)、すごく気合を入れてデモ曲をたくさん作りました。今の曲とはガラっと違うエモい感じの曲や振り切った曲など用意しましたが、サビの雰囲気などJポップっぽい、この曲が選ばれて、アニメを普段見ない方にも気に入ってもらえそうだなと思いました。
──アニメの制作サイドからオーダーはなかったんですか?
ありました!シンディローパーさんの「タイム・アフター・タイム」みたいにというリクエストをいただきました。ただそのまま作るわけにもいかないので、チームのみんながそれぞれ参考曲の印象も踏まえつつ、「今、『mono』に向けて作るとしたらこんな感じかな?」という話し合いをたくさんして出来上がりました。作詞・作曲の(山崎)真吾さんが素晴らしい解釈をしてくださってありがたかったです。
アニメのエンディング映像を観たらキャラクターたちが眠っている夢の中で、ダイジェストっぽいシーンが流れるシーンがありますが、あのアイデアが最初からあったから夜っぽい曲をオーダーされたのかもしれないとも後で思いました。今度監督にお会いしたらお聞きしたいです。
──思い思いのウィークエンドを過ごした夜、「今日だってなんだかんだ満足」や「来週は何して遊ぼうかな」など次のウィークエンドが楽しみになる感じがいいですね。
ゆっくりと日が暮れていって、ほのぼのとした感じがすると曲なので、帰り道、特に休日どこかにお出かけした帰りに聴いてほしいです。
──終始さわやかな歌声とオケで、サウンドの入りがアコギのフォーキーな雰囲気からキーボードが入ってきて徐々に音数が増えて、上がっていくところも優しくて聴きやすいんですよね。
ありがとうございます。作品の邪魔にならず、アニメ本編を観た後の余韻に浸ったまま、ゆったりした気持ちで聴いてもらえる曲になったのかなと思います。私自身も1話で曲が流れた時、違和感なく、むしろマッチしている感じになったのではないかなと。
ちなみに「瞬間最大風速」のカップリング曲で私が作詞している「ほんとしょーがない」の作曲・編曲をしてくださった木下龍平さんがベースを弾いてくださったことも嬉しかったです。
──あとアウトロがあんなにきれいに終わる曲も久しぶりに聴いた気がします。最近の曲はアウトロで凝った曲が多いので。
そういえばシネフォト研究部のキャラたちが歌うオープニングテーマ「メニメリ・メモリーズ!」も最後の締めはシンプルで懐かしい感じになっていて、「じゃあ、また来週!」感があって……オープニングテーマなんですけど(笑)。オープニングテーマもエンディングテーマも近いところを目指しているのかなと思いました。

かけがえのない時間を大切にしてほしいなというメッセージも込めて作りました

──そしてhalcaさんも共作されている歌詞はどんなことを意識しながら書かれたのでしょうか?
『mono』のキャラたちは思いついたらすぐ実践したり、まず動き出してみるし、仲間たちと過ごす日常は今は当たり前に感じるかもしれないけど、後で振り返った時にすごく貴重だったことがわかるから大切にしようねということをテーマにした作品だと思ったので、そのまま歌詞にしました。でもシチュエーションを限定してしまうような具体的な言葉は使わないで、誰でも共感できるように意識しました。
ざっくりと1番は真吾さん、2番は私が書いていますが、語感など急に違う人が書いたような違和感が出ないように合わせました。真吾さんが書いた1サビ前の「今日だってなんだかんだ満足 よかった…」に対して、私が書いた2サビ前の「そうやってすったもんだ解決でオッケー!」は我ながら「いい感じにできた!」と思いました。
──「忘れるモノ 見落とすモノ 大切なことはいつでも一瞬だ」は作品名に掛けた「モノが入っていつつ、一瞬を切り取る写真撮影にもつながっていますね。
最近、高校生の時の写真を見て振り返っていて、「ちゃんと形にして残しておいてよかったな」と思いました。今時の子たちは顔を手で隠して撮るのが流行っているみたいで。「今は恥ずかしくてレンズから目を背けて写真を撮ったりしているかもしれないけど、将来、同窓会や結婚式でスライドショーが流れた時に誰だかわからなくなるから顔を隠さないで。あと顔をアップにしがちだけど、背景とかもしっかり写したほうが思い出に残るから!」と妹に口が酸っぱくなるほど言っています。「もうわかったよ!」とすごくウザがられますけど(笑)。
「今はこれがかわいいの!」と言い返されるけど、私が過去の写真を見ていて「これ!これ!」とか「あの時はそうだったな」など思うのは一緒の人や背景が入った写真が多いんですね。今はまだ写真を撮ってからあまり時間が経っていないので、顔や背景が映っていなくても鮮明に思い出せるかもしれないけれど、何十年と経っていったら思い出せなくなるんだろうなと考えたら、その場のすべてを写して残したほうがいいなと思いました。だから皆さんもお友達と出かけたり、旅行に行って写真を撮るときは歌詞のように「360度のまるごと全部」収めて撮ってください。
──「ウィークエンドロール」のタイトルは「ウィークエンド」と映画の「エンドロール」の造語ですが、作品のシネフォト研究部にもつながっているのもいいし、タイトルからも青春映画のようなさわやかさや懐かしさを感じます。
ありがとうございます。原作コミックで春乃さんたちが居酒屋さんでお酒を飲んで楽しんでいる様子を見たさつきちゃんたちが「お酒っておいしいのかな?」と言っているシーンがあって、「いつかまたみんなが大人になったら来ようよ」というセリフにグッときちゃって。そんな友達とのかけがえのない時間を大切にしてほしいなというメッセージも込めて作ったので。
私は今回のお話をいただく前から写真を撮っていて……趣味というよりも私が忘れっぽいのがきっかけなんですけど、過去に起きたことを自分が忘れてしまうことでなかったことになるのが怖かったので、こまめに写真を撮るようになりました。
──「忘れるモノ 見落とすモノ 大切なことはいつでも一瞬だ」の歌詞の片鱗がそんなところにも(笑)。
いただいたモノや食べたもの、飲みかけのペットボトルとかも(笑)。今、この卓上にあるメモも少し斜めに傾いていますが真っすぐに直す前に撮ります。SNSに物撮りした写真などをアップする時、きれいにセッティングして撮影する人が多いし、私もそういう写真も好きですが、ちょっと不格好でも今そのままを撮影するのも好きなんです。だからSNS用のモノはちゃんと整理して撮って、自分の記録用は何もせずそのまま撮っています。「360度の景色を撮ってずっと形に残せたらいいな」という気持ちはずっと前からあったし、生きていく中でのテーマになっています。
──サビメロは優しく歌いながらも感情が入っている気がしました。ご自身でお気に入りのフレーズを挙げるとすれば?
サビの頭2行「360度の景色を撮ってずっと形に残せたらいいな」はパンチラインになる素晴らしい歌詞だなと思います。あと1コーラス目と2コーラス目の間にある「じゃあ またね いつか すぐに そのうちね」も、学生ではなくなると友人などに会った後、こんな感じで再会の約束をしてバイバイするけど、また会えないうちにすごく月日が経ってしまうことが皆さんもよくあると思います。だからこのフレーズを聴いてハッとしてほしいし、思い浮かんだ人がいたら久しぶりに連絡してみてはいかがでしょうか?

ウィークエンドロール

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