──そしてアルバムと同じ3月22日には、ZIGGYとしてのシングル「CELEBRATION DAY」が出ます。ZIGGYの新曲は、ずいぶん久しぶりになりますか。
久しぶりですね。3年前にZIGGYでツアーをやった時に、デモ音源を出していて(*会場限定3曲入りCD)、正式に録れればと思っていたんですけど、結局それは実現できなくて。僕の記憶が間違っていなければ、10年ぶりのリリースになるんじゃないかな。10年前にZIGGYを活動休止にしたのは、当時の3人のメンバーで新機軸のものを制作するというモチベーションも枯渇していたし、共通する方向性も見失っていて、活動休止ということになったんですけど。
──ああ。そういう事情があった。
それがここ数年のソロ活動を通して、友人や第三者から“ZIGGYっぽいね”というリアクションを受けることがけっこうあったんですね。自分が作る楽曲に対して。そりゃそうだよな、もともとZIGGYは俺が曲を書いて俺が歌うバンドだから、森重樹一がやってることにZIGGYっぽいところがあるのは当然だよなと思ってきて。そこでちょうど思い当たったのが2017年で、デビューから30年目の節目の年で、前のアルバムから10年ぶりになるんだったら、今年はZIGGYを一歩進めた形で、過去のメンバーに戻っていくということじゃなくて、やっていこうと。とにかく紆余曲折の多いバンドだけど、その都度僕自身もメンバーも前を向いて、人間関係も含めた音楽性というものを前進させたいという意欲のもとに、人事異動があったと思ってるんですね。
──はい。
だとしたら、今ここで誰かを呼び込まずに、森重樹一ひとりのZIGGYというものも、一度もトライしてないやり方だよなと。ここ数年、ZIGGYとしてテレビの歌番組に出演させてもらう機会があった時に、僕とサポート・メンバーという形だったので、それの延長線上にあるものとして、オリジナル・メンバーひとりのZIGGYというものを作品化することは、自分にとってとても興味深いし、やりがいのあるトライアルだなと。それで、やってみようという気持ちになったんですね。
──はい。なるほど。
そもそも、なぜ自分はZIGGYをやりたかったのか?というと、1984年の結成時にさかのぼると、自分が詞を書いて、曲を書いて、歌いたいと。それが一番最初のモチベーションに他ならないので、“あ、俺、まだ同じことをやりたがってるじゃん。30数年前と”と。1984年に自分がいた場所と、今自分がいる場所は、まったく同じ線の上にいるんですよ。だったら何の問題もねえじゃんと。これをZIGGYの最終形にするとも何とも言ってなくて、“とりあえず俺は、2017年、ZIGGYをひとりでやってみようと思う”ということです。
──「CELEBRATION DAY」のサビを聴いた瞬間、“ああZIGGYだ”と思ったんですよ。メンバーどうこうではなくて。やっぱりZIGGYらしさってありますよね、うまく説明できないですけど。
あるよね。自分でもよくわからないけど、自分で作った曲を聴いて“ああ、ZIGGYっぽい”と思うことがある。ソロワークの中にもZIGGYのテイストがあるものはあったけど、あくまでも森重樹一として世に発表するつもりで作っていたから、自分の中での住み分けが、もしかしたら無意識のうちに行われていたのかもしれない。でもZIGGYでやると決めて作った曲は、もうすでにZIGGYの色合いを完全に帯びていて。
──帯びてますね。はっきりと。
自分の意識の持ち方が、“ZIGGYでやるんだ”という覚悟を決めた時に、少し変わったのかもしれないですね。正直、このCDセールス冬の時代に、商売的なビジョンはまったくないです。ただ1枚でも多くいろんな人の手に届いてほしいし、ひとりでも多くの人に聴いてほしい。音楽と縁遠くなった人たちの中に、もしかしたら、この曲が響く人がいるんじゃないか。だって僕は、これが一番かっこいいと思ってやってきたわけだから。こういう曲が僕は最高に好きだし、こういう曲をほかに作れる奴がいるのか?といったら、やっぱりいないんだよね。これを自分は愛してきたし、どんなに苦しい時期にも続けてきたことだから、もし共感してくれる人がいたらすごくラッキーだし。自分の人生の後半に、より共感を持って、喜び、悲しみ、生きていける人たちと出会いたいという思いが、すごく含まれていると思いますね。
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