SPARTA LOCALS再結成って、いったいどういうことなのか?HINTOを続けながらスパルタを再始動させた安部コウセイに、徹底的に訊く!

インタビュー | 2017.05.01 18:00

SPARTA LOCALS

インタビュー/兵庫慎司
取材協力:下北沢レインボー倉庫3

SPARTA LOCALSが再結成した。2016年12月4日赤坂BLITZのイベント『DECEMBER’S CHILDREN』への出演を発表、という形で、オリジナルメンバーでの再結成を宣言。解散の3年前に脱退したドラマー、中山昭仁が再加入、そのステージでファンを狂喜と感涙の渦に叩き込んだ。続いて7月15日には恵比寿ザ・ガーデンホールにてワンマンライブ『復活のファンファーレ』を行うことが発表になった。 ただし、ちょっとややこしいポイントがある、このバンドの再結成には。SPARTA LOCALSが2009年に解散したあと、ボーカル&ギターの安部コウセイとギターの伊東真一は新バンドHINTOを結成し、活動をスタート。2013年にはサポート・ベーシスト林束紗の腕の不調で、代わってSPARTA LOCALSのベースだったコウセイの弟、安部光広が加入した。 つまり、HINTOと再結成SPARTA LOCALSはドラマー以外の3人は同じメンバー、しかもHINTOは3人+ドラムの菱谷昌弘でこれまでどおり活動中。どういうことなんでしょうか?という話も含め、再結成の経緯と今後の活動を安部コウセイに訊いた。

「HINTOでSPARTA LOCALSの曲もやればいいじゃん」っていう、それはイヤなんです、俺

──まずこれは、どんなふうに始まった再結成なんでしょうか。

安部コウセイ(以下略) 一昨年くらいですかね、ギターの伊東真一に話を振ってみたところ、「うーん……それはどうだろう」って感じの、あんましかんばしい反応じゃなかったんですよ。「ですよね。俺もちょっと言ってみただけなんだよね、ヘヘッ」ぐらいの感じから始まって。そこから半年とか空いて、「やっぱり俺やりてえな」と思えてきて、また伊東に話したんですけど。彼も、一度決めたら頑固な男なので、首を縦に振らなかったんですね。 そういうのがしばらく続いて、そうこうしているうちに、所属事務所と契約満了になって。これは考え方だと思うんですけど、こういうことってマイナスにもなるしプラスにもなる、と僕は思っていて。この状況を自分たちにとってプラスにするためには、「祝!」みたいな、いいニュースがほしいと。 少なくとも、僕にとってはSPARTA LOCALS再結成っていうのはいいニュースなので、このタイミングでやりたいって強く思ったんですよね。なんで、伊東にかなり強く「やりたい」っていう話をして。

──それは、SPARTA LOCALSというバンドをやりたいんでしょうか。SPARTA LOCALSの曲をやりたいんでしょうか。

曲です、曲です。

──であれば、客観的に見ると今のHINTOとSPARTA LOCALSって、ドラマーが違うだけじゃん、とも言えますよね。

ドラム違うだけで、全然違うんですよ。だから、HINTOでSPARTA LOCALSの曲もやればいいじゃん、っていう話でしょ?それはイヤなんです、俺。それは大きな違いがあって。屋号です。屋号が違うとすべてが変わると思います。 それはなぜかというと、HINTOに(安部)光広が入った時点で、もうほぼSPARTA LOCALSと同じメンバーなわけですよ。それでもやっぱりSPARTA LOCALSとは全然違う感じになるっていうか、HINTOの感じになるんですよ。ってことは、やはり屋号はすごく重要なのかなと。イメージ的には、同じ映画チームで違う映画を作るような感覚なのかな、と思ったんですよね。 でも、今こうしゃべってるのもかなり後付けのところはあって(笑)。もっとこう、「生理的になんかイヤ!」っていうのが正直なところなんですけど。弾き語りでやる分にはいいんですけど、バンドになって屋号がくっついてくると、イヤなんですよねえ。

「はあ?」となるようなことをやりたいから、僕は音楽をやっているので

──それはメンバーも共有している感覚?

共有してるメンバーもいるし、してないメンバーもいると思いますよ。あの、ギターの伊東真一と、堕落モーションFOLK2っていう弾き語りのユニットをやっていて。そこでSPARTA LOCALSの曲をやったんですよ。その時に「いや、いい曲だわこれ!」と思って、手前味噌ですけど。これバンドでやりてえなと思ったんですよ、シンプルに。 でも、一般的な考え方だとむちゃくちゃじゃないですか、HINTOをやっててSPARTA LOCALSもやるって。メンバー4人のうち3人が一緒なのに。前代未聞のような気がしてるんですけど、一般的じゃないからやめるっていうのは、なんか違うような気がして。やりたいんだったらなんだってありじゃん、と思ったんですよ。みんなで話して、納得して決めたことであれば、それが一般的であろうとなかろうと別にいいんじゃないかなと思って。 でも、自分の中で、ブレーキをかける自分も……「これ、むちゃくちゃなことだぞ」と思ってる自分もいて。でも「それっておもしろいな」ってワクワクする自分もいたんです。今までないから、こんなこと。「はあ?」となるようなことだから。 「はあ?」となるようなことをやりたいから、僕は音楽をやっているので。曲をやって人をドキドキさせたいんです。ドキドキさせたいって思ってるくせに、ビビってる自分もいるんです。曲だとビビんないのに、一般的か一般的じゃないかってことを気にしている自分もいて、それがイヤだなっていうところもあったというか。それで「やらない」という答えを選びたくないなと思ったんですよ。 悩むのはいいと思うんです。悩む必要はあると思うんですけれど、それに対して出す答えは、やっぱり自分にとっておもしろい方を採っていきたいっていうのが、何につけてもあって。それはHINTOに光広が入るタイミングでも考えたことだったんです。

──ああ、やっぱり「これ、ありなのかなあ?」って思ったんですね。

思いました。でも俺は、このタイミングで光広が入るのが、いちばんむちゃくちゃでおもしろいと思ったんですよ。 サポートの(林)束紗が指の腱鞘炎で弾けなくなって、束紗がかなり華があるベーシストだったんで、後任で女性のベーシストを入れても弱いだろう、男のベーシストを入れても弱いし、有名なベーシストを入れても企画物っぽくなる。だったら光広だなと思ったんです。これがいちばんおもしろいカードだなと。どっちにも転ぶな、これでHINTOが壊れる可能性もあるし、よりおもしろくなっていく可能性もあるなと思って。 今回のことに関しても、そういうリスクはすごくあると思いますね。SPARTA LOCALSをやることで、HINTOにいい影響も悪い影響もあるけれど、そのパワーが大きい方が、HINTOにとってもいいだろうなと思ったんですよ。そこでダメになるようなバンドだったら、HINTOは存在する意味ないと思うんですよね。それでダメになんないという自信が、僕はあって。そこまで来たからSPARTA LOCALS再結成っていうことに対して、さらに行動的に進んで行けたところがあるんで。

──ごめんなさい、どんどん揚げ足取っていきますけども──。

どうぞどうぞ、仕事ですから。

──(笑)。HINTOにその3人が揃った段階で、「あれ?俺ら、なんで解散したんだっけ?」ってならなかったですか?

俺は思わなかったです。だってその時は、もう解散するしかなかったんです。 だから僕、あんまり「前にこうやったから今こうやるのはおかしいだろう」って思わないんですよ。その時はそうだったし、今はこうだし、っていう考え方しかしないんで。辻褄が合うかどうかってことに関しては、「どうでもよくね?それ」とか思ってるフシがあるっていうか。

──今さらきくことでもないですけど、スパルタが解散してHINTOを結成する時に、スパルタのギタリストを誘ったのは、解散時に決まってたんですか?

決まってないです。そもそも俺、バンドやるつもりなかったですから。でもその時、ヴィンテージロックの若林さん(ライブ制作スタッフ。その後HINTOのマネージメントも手がけた)の助言があって。 「俺もうバンド無理っすわ、性格的にむいてない」って言ってたんですけど、「いや、コウセイはバンドの方がいいし、ヒロトとマーシーみたいな感じで真くんと力を合わせてやるのがいいと思うよ」って言われて。「ええー?めんどくせえなあ、またそこに人間関係が生まれんのか」と思ったんですけど、若林さんにはずっとお世話になってたし、僕あんまし人の言うことをきかないんですけど、若林さんの言うことは信用できたんで。「じゃあちょっと前向きに考えてみます」って感じで始まったんですね。  

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ワンマンライブ『復活のファンファーレ』

7月15日(土)恵比寿ザ・ガーデンホール
Tickets:6月4日(日) SALE

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