水曜日のカンパネラ、河口湖で円形劇場公演を開催!初の水を使った演出など、いま、コムアイが思い描く構想に迫る!

インタビュー | 2018.04.27 18:00

海外公演を含め、これまでさまざまなロケーションでライヴを開催してきた水曜日のカンパネラが6月30日(土)、7月1日(日)に河口湖ステラシアターでライヴを行なう。今回は本公演に向けての思いから、この会場を選んだ理由、演出やコンセプトを中心に、新作EP『ガラパゴス』、近年のライヴパフォーマンスの変化まで、たっぷりと語ってもらった。

情報/カロリー過多のだだ漏れな演出じゃなく、みんなが耳を澄ませる状態を作りたい。

──今回の会場を選んだ理由を教えてください。
去年のツアーをずっとライヴハウスでやってたから、そろそろどこか面白い場所でやりたいなと思って、探してもらった中のひとつです。円形劇場の形がすごくよくて、ちょっと廃墟っぽい、取り残された巨大建造物みたいな感じがする場所で。全部コンクリートなので重さがあるというか、ソリッドで気に入りました。半分野外みたいな場所も好みなんですよ。家族とかで来てもらっても楽しいと思います。遠出が慣れてない人もバスで来やすくなってるし。
──公演のテーマやコンセプトは何かあるんですか?
最初に考えてたのは、"0.1みたいな光や音をよく見て聴く"公演にしたくて。たとえば、ライヴをしたり映画を観たりしててもそうなんですけど、爆音だからといって必ずしも爆音に聞こえるわけでもないんです。人間の耳も目もすごく相対的なので、光が眩しければ目も小っちゃくなる。そういうのを意識して、情報/カロリー過多のだだ漏れな演出じゃなく、もっとツボを突いた表現がしたいなと思ってます。長い暗闇があってそこからスッと一筋の光が差すとか、まったく音が消えてさらにそこから消えるとか、それで宇宙に放り出された感じになるとか。イメージとしては、マイナスまで引っぱってそこから少しずつ出していくような、みんなが耳を澄ませる状態を作りたい。聴き手の受動器官をどういうふうにデトックスしたり起動させたりできるかが肝になりそうで、それができれば成功ですね。少しの光を眩しく感じるほうが私は好きで、優雅でスマートだと思うんです。
──この一年くらいでやりたいこともまた変わってきてるんでしょうね。
昨年3月の日本武道館でのライヴが変わるきっかけになりました。武道館は3ヵ月以上準備してたんですけど、私はどんどんやりたいことが出てくるタイプなんで、準備が長いとできないことも溜まっちゃうというか。だから、終わってストッパーが外れたらもう別人みたいでしたね。ようやく自分にしかできない表現が少しずつ世の中に出せるようになってきたんで、今ならもっとうまくダイナミクスも付けられると思う。さっき言ったみたいに、普通にやったら100までしか行かない興奮度も、視覚や聴覚をマイナス50くらいまで落としてから100出力すれば、150以上に感じさせられるんじゃないかなと。武道館のときに地声で歌った「ネロ」はマイナスではないですが、0までは落とせた気がします。
──武道館は盛りだくさんでしたけど、バブルボールの演出がなかったり、あの日ならではのパフォーマンスだったと思います。
ハッ!そういえば、この頃バブルボールあまりやってなかったかも。けっこう忘れてた(笑)。お客さんの上に乗らずに、ただステージで歩いて使ったときもありますね。しばらくライヴをしてないので、また新しいものを見せられたらと思ってるところです。ただ、人にどう見られるかは以前よりも気にしなくなりました。たまに真顔でもいいや、ってくらいのテンション。あと、スタンドマイクってすごく楽ですね。最近わかりました。お客さんの中に入るのは好きで、驚かせるのも好きなんだけど、動かずにスタンドマイクで歌いたいときもあって。
──新しい気分がどんどん生まれてると。
はい。自分の中で河口湖公演の布石として記憶にあるのは、去年7月の新木場Studio Coastでのライヴで、あの日は面白いことができたと思います。四角いハコを丸くする感じっていうのかな。ライヴハウスって、角があって真っ黒だったりするじゃないですか。ああいう堅くてマスキュリンなものを、天井に網を張ったりして有機的なカーブが多いものにしていって。
──曲線的なものが好きなんですか?
今回の円形劇場しかり、惹かれますね。メディアアートみたいなサイバーっぽいのがセクシーと思う感覚ではないんです、私の好みって。能とかがすごく好きで。この前ひさしぶりに観に行ったら、あまりに自分が能に影響されてることに気付いて恥ずかしくなったけど(笑)。ライヴでステージを去るのがすごいゆっくりだったりとか、時間の使い方が遅ければ遅いほどいいとか。
──女優業などの活動も増えてきてますよね。
演技をやらせていただいてて面白いのは、水曜日のカンパネラのコムアイとして見られることをわりと捨てられるところ。いつも被ってる役を、逆に落とせる感じで。演技の方が自然体になれたりもして、風通しがいいですね。自分を常に表現しなきゃいけない状況と違って、セットされたものの中で上手く演じるのが気持ちよくて。でも、自分がいい役者になっていってるとはぜんぜん思ってません(笑)。

武道館のあとのゼロになったときに、何のために役立つかわからないことをまずいっぱいやろうって。

──でも、音楽活動にはいい影響を与えてる。
かもしれないですね。去年はもう何をしたらいいかわからないところもあったというか、自分が何者になるかわからないと思ったんで、とにかく人に会って、海外旅行もたくさんしました。人に会うっていうのは、面白いと感じた人と対談をさせてもらったり、プライベートで会いに行くのもあったり。おじいさんおばあさんが多かったかな。武道館のあとのゼロになったときに、何のために役立つかわからないことをまずいっぱいやろうって。アーティストとしても必要なことだけど、単純に生き物として自分にはそういう責任があると思った。
──そういう経験から、6月に出るEPの"ガラパゴス"というワードが生まれてきたり?
あー、確かに帰国してから浮かんだ言葉かな。"ガラパゴス"っていうのは単純にガラケーみたいなニュアンスで、日本のことを指していて。海外の人への自己紹介としても、自分の育った地域の好きなところと好きじゃないところを紹介するのに適した言葉だと思ったんですよね。ポジティヴ/ネガティヴどっちかだけじゃない。市場が孤立してるからこそ美しい芸術や文化がいっぱい育って、私はそれを愛してるので。一方で、人との距離感がガチガチで"よくない"って思ったことを躊躇して言えないとか、思いつくことに対して行動があまり素直じゃないところも日本はありますよね。もう少し楽にしていいんじゃない?って思うところが。自分にもすごく感じるし、東京に住んでて強く感じる。それを旅行で外すことを意識してて。外してみると本当に気持ちいいんですよ。この1年でよくわかりました。ライヴパフォーマンスでも"これやらないとウケないんじゃないか?"とか"これやっとけば大丈夫"とか考えなくなりました。面白いと思ったほうが勝ち。
──「見ざる聞かざる言わざる」に"誰のためのルールなのさ コンプライアンスを守れという 上層部の意見では"って歌詞がありますね。
あはははは!(笑)そういうのはガラパゴス感が出てますよね。これはCM(Beats by Dr.Dre「BeatsXイヤフォン」新キャンペーン「新生活 NEW LIFE 2018」CMソングに起用)にベッキーさんが出てくれるって聞いたから、もしかしたらケンモチさんが足してくれたのかもしれないですね。
──あと、「メロス」のMVの冒頭にセリフ(とにかく私は走らないといけないのだ 不確かなものに犠牲を払う その行為だけが確かなのだ もうここにはいられない こどもの私が離れていく 振り返る時間はない)が入ってるじゃないですか。あれが今のコムアイさんのモードを表わしてる気もしました。
あれは私ノータッチなので、偶然ですね(笑)。監督さんが考えてくれたのかな。かっこいいセリフだ。そういう偶然ってよくあるんですよ。MVを撮ってるときにまったくプライベートと同じシーンが現れたりもするので。ケンモチさんが何気なく書いた歌詞がすごく自分の心境と合ってたりすることも多いし。

公演情報

DISK GARAGE公演

水曜日のカンパネラ・円形劇場公演
Wednesday Campanella Live Show at Amphitheatre

2018年6月30日(土)7月1日(日) 河口湖ステラシアター

チケット一般発売:2018年4月28日(土)

※雨天決行、荒天中止。雨天時は可動屋根を設置し開催。傘の利用はご遠慮願います。
※ステラシアターは野外音楽堂のため、気温等著しく 変化する場合がございますので、予め厚手の衣類を ご用意ください。

RELEASE

「ガラパゴス」

NEW EP

「ガラパゴス」

2018年6月27日(水)SALE
(ワーナーミュージック・ジャパン)
※CD盤、アナログ盤を同時リリース

⭐︎先行配信楽曲「見ざる聞かざる言わざる」のMusic VideoがKOM_IのInstagramのストーリーズで少しずつ公開中!

KOM_I インスタグラム:https://www.instagram.com/kom_i_jp/
  • 田山雄士

    TEXT

    田山雄士

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