SUSHIBOYSのラップは、なぜ笑いと強い共感を呼ぶのか?初のワンマンツアーに臨む2人にその秘密を聞く

インタビュー | 2018.11.14 19:00

独自な視点とユーモアに富んだリリックと、ドープなビートからキャッチーなトラックまでを乗りこなす本格的なラップスキルが生み出す世界観で、メキメキと頭角を現しているSUSHIBOYS。彼らにとって飛躍の年となった2018年は、1月発売のシングル「なんでもできる」を発端に、6月にはアルバム『WASABI』をひっさげたリリースツアーを敢行し、渋谷公演はソールドアウトとなる盛況ぶりを見せた。そして半年ぶりに最新EP『350』をリリース。ここでは新作に加えて、2018年を締める初のワンマンツアーへの思い入れについて、ファームハウス、サンテナの2人に聞いた。

お金をかけずに遊べるものが必要で
それがヒップホップだった

──前作のアルバム『WASABI』が話題になりましたが、新作EP『350』はどんな作品にしようと思っていましたか?
ファームハウス自分としてはそんなに話題になった気もしていなかったので、前作の『WASABI』以上に、自分たちらしさを出したいと思っていました。僕らはUSヒップホップのトレンドを取り入れてオリジナルなサウンドを作るタイプなわけでもないし、自分たちにとって挑戦していることといったら、トピックやリリックの内容、あとはフロウですよね。
──でも、そこが評価されているわけですよね。「ママチャリ」みたいに、ビートはトラップだけど、歌詞の内容が自転車だったりっていう“ギャップ”の部分というか。
ファームハウスそうですね。そういう部分は相変わらず取り入れています。
──今言っていましたトピックとかリリックの内容は、どんな風に考え出しているんですか?
サンテナ普段の生活で見ているものがテーマになることが多いですね。ヒップホップって人によっては曖昧で抽象的なことをテーマにしますが、そうすると僕としては“何を言っているか分かりにくい”って思うことも多くて。だから僕らは、今までずっと世話になった“チャリンコ”のことを、感謝を込めて取り上げてみたりします。今まで自分たちがよく見てきたものってちゃんと分かっているから、そういうものを曲にして楽しんでいる感覚ですね。
ファームハウス僕はそういうなかにメッセージを入れているつもりで、「ママチャリ」でも、自分のヴァースでは自転車について歌っているわけじゃなくて、今はまだレコーディングの機材も全然そろっていないけど、ヤバいラップするぜっていう内容だったりもします。だからヒップホップっぽいことを言いつつも、“ママチャリ”っていうフィルターを通すことでよりポップになって、いろんな人に聴いてもらえるかなと思ってはいますね。
──郊外に住む人ならではの、物事を切り取る視点の面白さもあると思いますが、住んでいる環境がもたらしているものが大きいと思いますか?
ファームハウスそれはありますね。もし都内に住んでいたら、音楽をやっていなかったと思います。僕らが住んでいる郊外って山と川しかないし、ホントにやることがないんですよ。それにお金もなかったから、お金をかけずに遊べるものが必要で、それがヒップホップだったんですよね。録音する機材とかも持っていなかったので、古いデジタルカメラ1台でPVも音声も全部録ってました。
──住んでいる場所って、どれくらい郊外なんですか?
ファームハウスそうは言っても埼玉県なので、特に生活に不自由するほどではないです。でも、駅前にコンビニもないし、電車に乗るときは切符を買うとハンコを押してくれます。
──新作のPV「Shopping Cart Racer」に映っている街が、住んでいる場所だったり?
ファームハウスそうですね。あの映像には住んでいる街やその周辺で自分たちが遊んでいた場所が出てきます。これまでは自分たちの曲に合わせてラップしているビデオが多かったので、あのPVではもっとシュールな視点というか……映像作品に寄せたかったんですよね。それもあって固定のカメラを全体の7割くらい使いました。
──確かに固定カメラの映像って観ちゃいますよね。PVのなかにカートに乗った3人が車に引っ張られていくシーンがありましたけど、あれは定点だったのに加えて、間があって面白かったです。
ファームハウス固定カメラってなんか観ちゃったり、何度も観たくなるんです。サンテナも映像にはこだわりがあって、カメラの画角とかけっこううるさく言ってきますね。
サンテナいろんなビデオを見たりして、とりあえず自分が気になった構図とかは試してみたりしますね。まあ、でもそれで満足して終わるというか、使うかどうかはあとで決めます。

Shopping Cart Racer SUSHIBOYS

──「Shopping Cart Racer」はどんな風にしてできた曲ですか?
サンテナもともとは僕らが学生時代に、今で言うYouTuberよりも前から面白い動画をYouTubeに投稿していたんです。そのなかでスーパーのショッピングカートを拝借して、公園でレースをやったことがあって……それを思い出して、曲にしてみようってところからはじまったんですよね。
ファームハウスホント意味分かんないですよね(笑)。この曲のPV撮っているときは、自分でも何やってるんだろうって思った瞬間が何度もありました。
──この曲のリリックはどんな感じに書いていったんですか?
ファームハウスメンバーそれぞれで違うんですけど、サンテナ君は主婦の目線っていうところが面白かったですね。
サンテナカートを日々の生活のなかで一番押しているのは、主婦の方たちだなって思って。で、曲のテーマは“レース”だったから、スーパーに来る主婦の心理を自分なりに解釈して書きました。今は共働きの家庭も増えているので、ちょっと前の時代の感覚かもしれないけど、昔は主婦ってガチっていうか、1円でも安いスーパーがあったらそっちに行く風潮があったじゃないですか。その感覚がレーサーっぽいなって感じたので、そこからイメージを膨らませました。
ファームハウス僕はわりとノリで書きましたね。入店してからレジに行くまでの流れを人生に例えたと言うか。僕は天国に思い出だけは持っていけると思っているので、自分が好きなものを取っていくっていうことを書きました。

公演情報

ディスクガレージ公演

<SUSHIBOYS ワンマンツアー2018>

2018年12月2日(日) 東京 Shibuya WWW X
2018年12月7日(金) 愛知 CLUB ROCK’N’ROLL
2018年12月9日(日) 北海道 SPIRITUAL LOUNGE
2018年12月12日(水) 大阪 心斎橋Pangea
2018年12月14日(金) 福岡 graf
2018年12月22日(土) 埼玉 川越G-style

チケット一般発売日:2018年10月27日(土)

RELEASE

『350』

ミニアルバム

『350』

2018年11月21日(水)SALE

【収録曲】
01.Shopping Cart Racer
02.味の素
03.Drivin'
04.8月32日
05.遊戯王
06.USB
07.とりま-Bonus Track-
  • 取材・文

    伊藤大輔

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