ニューロティカと怒髪天。形の違ったパーツを持ち合う両バンドが、圧倒的な楽しさとチカラを生み出した夜!

ライブレポート | 2021.09.24 18:00

武道館deロックバカ やれるもんならやってみろ!
ニューロティカ 新宿LOFT出演300回 カウントダウンシリーズ 297回目
(ゲスト:怒髪天)
2021年9月20日(月・祝) 新宿LOFT

2022年1月3日(月)に初の日本武道館ワンマン『ニューロティカの『心燃会』 ~俺たちいつでもロックバカ!!~』を控えたニューロティカが、すでに武道館を経験している“武道館のパイセン”を招いて行う対バンシリーズ『武道館deロックバカ やれるもんならやってみろ! ニューロティカ 新宿LOFT出演300回 カウントダウンシリーズ』。ロフト297回目のステージとなり、シリーズ4戦目となる今回の対バンは、14年1月に日本武道館で『怒髪天結成30周年記念日本武道館公演 "ほんと、どうもね。"』を開催した怒髪天! これまでイベントで一緒になることは数あれど、意外にもツーマンライブは初めてという、ロティカと怒髪天。ありそうで無かったこの組み合わせ、楽しい夜になること間違いナシ!

先攻は怒髪天。SE「男祭」と観客の盛大な拍手に迎えられ、武道くんTシャツを着用した楽器隊が登場すると、貫禄たっぷりにステージに現れた増子が「よく来たぁ!」とひと声。上原子のギターリフを合図に激しく勢いよく始まった1曲目は「天誅コア」。ハードコアな演奏と怒りのシャウトが、出口の見えない闇に包まれた現在の世の中に一筋の光を射す。

Vo.増子直純

間髪入れず始まった「欠けたパーツの唄」では、声を出せない観客が掛け声の代わりに、握った拳を力強く突き上げる。<お前と俺とで 形の違った パーツを持ち合えばチカラになるぜ!>の歌詞がこの日の対バンを想起させ、粋なエールにいたく感動していると。続いて始まった曲は「や・め・と・き・な」。軽快なR&Rに乗せて、<アイツはやめときな>と繰り返すこの曲。形の違ったパーツを持ち合えばチカラになる、だけどあいつはやめときな(笑)。そんな照れ隠しやユーモアも怒髪天らしくて、たまらなく良い!

こんな時代でも、エアで酔える「酒燃料爆進曲」で増子の酔拳が炸裂すると、「ホントに来づらい中、ねぇ。いまはライブハウスに行かない方が褒められる。まぁ、昔からそうだったから、変わらないと言えば変わらないんだけど。いいニュースも少ないこんなご時世で、さらに心配になるのが1月3日の日本武道館!」と始まったMC。「1月3日なんてさ……コロナが明けてなければ自粛してるし、明けてたら2年ぶりに実家に帰っちゃうんだから!」とズドンと的を射た発言が、会場に笑いとどよめきを生む(笑)。さらに「いままで武道館やったバンドの中で一番無謀だと思うんです。でも、オリンピックで学んだじゃないですか? 挑むこと、参加することに意味があるから!」と冗談交じりに言い、「我々からニューロティカに出来ることと言ったら、『よし行け!』って気持ちを伝えるしかないから!」と、“明日も懲りねェバカ野郎”に届けた曲は「北風に吠えろ!」。歌や歌詞だけでなく、坂詰のパワフルなビートや清水の野太いベースサウンド、上原子の鋭く激しいギターと一音一音に「よし行け!」と背中を押す優しさと力強さがあり、胸が熱くなる。

Ds.坂詰克彦

Ba.清水泰次

Gt.上原子友康

会場中が手を振り合わせて気持ちをひとつにした「せかいをてきに...」、みんなにではなく一人ひとりに向けて歌う「孤独のエール」と続き、無謀なチャレンジに挑むロティカ、そしてこんな時代を頑張って生きぬく全ての人にエールを送った怒髪天。想いと念をたっぷり込めた歌と演奏で<ドンとゆけ>と届けた「ド真ん中節」は力強く心強く、明日の光が見えない日々にも、迷わず前に進む力と勇気を与えてくれた。

MCでは「ありがとう! いや、ニューロティカに送ってたわけだから、ニューロティカのメンバーが俺に『ありがとう!』って言わないとな」と笑った増子が、「昨日、ニュースで見ましたけど……」とライブならではの物騒な話で大いに盛り上げ、終盤戦へ。「我々からとっておきのリキの入る曲を」と始まった曲は、決して折れぬココロを歌った「H.M.A.」。さらにロックバンドの矜持を歌う「HONKAI」と続いてフロアの士気と熱気を上げると、上原子が火に油を注ぐような渾身のギターソロで沸かす。

ラストは最新曲「ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!」でどデカいロックを鳴らし、これでもか!とロックバンドのカッコ良さを食らわしてフィニッシュ。ロティカへの最大級の愛情と叱咤激励が込められた、熱く男前なライブだった。

Vo.アツシ

怒髪天からの熱いエールに応えるべく、1曲目からキラーチューンの「チョイスで会おうぜ!」を投下! 「新宿ロフト297回目、武道館で会おうぜ!」とあっちゃんが叫び、フルスロットルでライブをスタートさせた、後攻のニューロティカ。その強烈な勢いに怒髪天ファンも思わず、♪チョイス!と手を上げ応える。キャッチーな楽曲と陽気なピエロが生み出す、竜巻みたいな求心力で初見の人も構わず巻き込み、気付くと一緒に笑顔で踊ってるという、ロティカの常套手段で観客の心を掴むと、♪よっしゃ!! よっしゃ!! と「悲しきラガー」で追い打ちをかける。

さらに<西へ東へ行くぜ 道なき道を>と歌う熱い歌詞が、怒髪天へのアンサーにも聴こえた「お前の街へGo!」と続き、アミーゴたちの振るペンライトの光を浴びながら、真っ直ぐに歌を届けたあっちゃん。切れ味鋭いRYOのギターソロも炸裂し、前半戦を一気に駆け抜ける。

Gt.RYO

Ba.カタル

「良かったですね、みんな。来年の1月3日は2年ぶりに故郷に帰れますよ」と増子の発言を受けたMCで始まり、苦笑いするあっちゃん。「それ聞いた瞬間ね、もう楽屋にいる人がみんな真っ青! ウチのスタッフも『実家帰んなきゃ』だって(笑)」と続けるナボに、もはや笑うしかないと笑い合うメンバー。「怒髪天のみんな、ありがとーーっ!」と舞台袖に感謝の言葉を叫んで気を取り直し、「ニューロティカ、このまま一直線で武道館に向かいますので、よろしくお願いしまーす!」と改めて挨拶すると、増子との思い出を語りだす。あっちゃんの心が弱ってる時、いつもそれを察するかのようにLINEをくれるという増子。「石橋凌さんの還暦の誕生日会があった時、私だけ呼ばれてなくて。へそを曲げちゃって、仕事があるフリしてライブに行かなかったんです。そしたら増子ちゃんが“ニューロティカより”って花の前で凌さんがケーキをカットしてる写真と『あっちゃん、なんで来ないんですか?』ってメッセージをくれて。それ見て、家で泣きましたよ……本当にちっちゃい人間なんです」と秘話を明かす。「いいねぇ、初めて聞く話だよ!」とナボに茶化されて照れながら、「ちっちゃい人間なので、みんなで後押しして武道館まで連れてって下さい。お願いします!」と告げるあっちゃんに、観客からは温かい拍手が起きた。

Dr.ナボ

MCに続いて、「怒髪天と初めてのツーマン、新宿LOFTで出来ました。LOFTにこの歌を捧げます!」と始まり、♪ロフト!の声を合図にタオルが舞った「バイバイモンキー」では、曲を中断し、「息が上がっちゃうんでね、酸素を吸わせて下さい」と酸素缶を吸引すると声が高くなるというネタを仕込んでたあっちゃん。これ知ってる! あの時の対談(DI:GA ONLINE「あっちゃん(ニューロティカ)×ファンキー加藤(FUNKY MONKEY BΛBY’S)対談」 )で生まれたネタだ!!(笑) 。

続く、「気持ちいっぱいビンビンビン!!」で会場中がタオルを回して会場をひとつにすると、「武道館のパイセンたちのカバーをやってきました」というMCをしながら、神妙な表情を見せるあっちゃん。「次の曲で大事なのは頭なんで。RYOくん、お願いします!」と告げ、RYOのギターを合図に「ロックンロール!」のシャウトで始まった曲は、怒髪天「オトナノススメ」のカバー! ロティカサウンドから生まれる本家とも異なる力強さとノリの良さを持つ演奏とあっちゃん流の歌い回しで、新鮮さと新たな魅力が生まれていたこの曲。♪バンバババンと会場中が手を振り合わせて最高潮の盛り上がりを見せる中、曲中には怒髪天メンバーがステージに乱入する嬉しいサプライズも! ヤバい、楽しすぎて震える!! オトナはサイコー! 青春続行!

「いや~、ビックリしちゃったよ! 俺、ちっちゃい人間だから、足が震えちゃったよ」とお気に入りのフレーズを混じえて嬉しそうに語りながら、モニタを蹴り続けるあっちゃん。手や足が震える時、壁を叩いたり蹴ったりするのが井上家の治療法だそう(笑)。続いて、10年にリリースされた『ピエロとスイカと88ライダー』で、怒髪天がカバーをしてくれた「WHISKEy ROCK」を披露すると、増子の影響を受けたであろう物騒な話題で笑わせたMCを挟み、とびきり明るくハレンチな「東京ハレンチ天国」で終盤戦に突入。<やりたいことをやらなきゃ 嘘になっちまうのさ>と聴く者を奮起し、自身も奮起させていたであろう「嘘になっちまうぜ」を勢いよく披露すると、ラストは<歌う爲だけに 生きて生きて生きぬく>と力強く宣言する「永遠ピエロ」を真摯に歌い届け、本編を締めくくった。アンコールはMCで話していた物騒な話題から、「いい人間になろうぜ! 更生しようぜ!」と訳あって遠くにいるお友達に「ア・イ・キ・タ」を送った。

新宿ロフトでの初ツーマンながら、やっぱり!と言える抜群の相性の良さを見せた、ロティカと怒髪天の対バン。ロティカに最大級の愛情を送った怒髪天、想いに応えるべく全力のステージを見せたニューロティカ。形の違ったパーツを持ち合う両バンドの掛け合わせが、圧倒的な楽しさとチカラを生み出したこの夜に、対バンシリーズを行う意味や意義、そして対バンの醍醐味を感じた。そして終演後、「あっチャンネル」の収録を終えた増子にコメントを貰ったのだが。増子の語る「ニューロティカの凄さ」に、この対バンシリーズで感じていた、ロティカの底知れぬ強さの理由が分かった気がして、僕の中では大満足。実はこの日のライブでも見せてた、ロティカの強さとは一体なにか? 「怒髪天 アフタートーク」をぜひチェックして欲しい(笑)。

ニューロティカ「怒髪天/オトナノススメ」をカバーしました

SET LIST

怒髪天

01. 天誅コア
02. 欠けたパーツの唄
03. や・め・と・き・な
04. 酒燃料爆進曲
05. 北風に吠えろ!
06. せかいをてきに…
07. 孤独のエール
08. ド真ん中節
09. H.M.A.
10. HONKAI
11. ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!

ニューロティカ

01. チョイスで会おうぜ
02. 悲しきラガー
03. お前の街へGO!
04. バイバイモンキー
05. 気持ちいっぱいビンビンビン!!
06. オトナノススメ(怒髪天カバー)
07. WHISKEy ROCK
08. 東京ハレンチ天国
09. 嘘になっちまうぜ
10. 永遠ピエロ
ENCORE
01. ア・イ・キ・タ

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