GOOD BYE APRIL、メジャーデビュー記念ワンマンライブ開催!「これからも“変わらずに変わり続ける”」

ライブレポート | 2023.04.20 18:00

GOOD BYE APRIL メジャーデビュー記念ワンマンライブ "Feel So Brand New"
2023年4月7日(金) duo MUSIC EXCHANGE

4月5日に日本クラウンの「PANAM」レーベルからデジタルシングル「BRAND NEW MEMORY」でメジャーデビューを果たしたGOOD BYE APRIL。それを記念したワンマンライブが7日、渋谷duo MUSIC EXCHANGEで開催された。

結成から12年。機が熟してのメジャーデビューということもあり、会場は満杯。ヴォーカルの倉品が言っていたように「いろんなタイミングで出会ってくれた人たち」がそこに集まり、序盤からある種独特の熱気が渦巻いていた。自分が長いこと好きでい続けたバンドが遂にメジャーデビューする。観客ひとりひとりのそのことに対する思いと祝福の気持ちが目に見えない渦となってそこにあるのを感じた。メンバー4人の気合いもまた並々ならぬものであることが伝わってきた。「一生に一度しかないメジャーデビュー記念ワンマンライブ」(倉品)であり、ここからまた新しく始めるのだという決意または感覚を「Feel So Brand New」というライブ・タイトルに託しつつ、一夜でそれを表現しようというのだから当然だろう。いや、表現しようというよりは、それをみんなと分かち合おうというのがこのワンマンライブの主旨だったかもしれない。一方的に表現する、伝えるのではなく、みんなと分かち合う。これまでもAPRILはそのようにやってきたし、これからも変わらない。そして実際、メンバー4人の気合いと集まったファンたちの思いは音楽を介してひとつになっていた。みんなが1曲目から立ち上がり、スローめの曲が続くあたりでは座り、後半でまた立ち上がり、曲に合わせて手拍子したり腕を振ったりカラダを揺らしたり。コール&レスポンスもバッチリだ。ステージの上と下との理想的なエネルギーの循環。それによる一体感。自分はバンド結成間もないときの初ライブから節目となるライブはほとんど観てきたが、そのなかでも屈指の一体感がこの夜、あった。

この日は4人のミュージシャンがバンドをサポート。鍵盤はお馴染みの清野雄翔。それからトロンボーンの湯浅佳代子、TRI4THからトランペットの織田祐亮、同じくTRI4THからサックスの藤田淳之介。ホーンの3人はステージ向かって右側の後方に並び、思った以上に多くの曲で華やかさ、またはアーバンなムードを加えていた。

セットリストはこの一夜のために練りに練られたものであることがよくわかるものだった。オープナーは「Xanadu」。彼らの音表現が初めて時代にマッチし、折からのシティ・ポップブームもあってリスナー層が一気に広がりを見せたのと同時に評価もグンと上がったのが2020年発表の3rdフルアルバム『Xanadu』だったが、その表題曲だ。そこではこう歌われる。「好きな場所へ行こう 何があっても変わらずにいよう」。APRIL楽曲のなかでも比較的派手さのあるこの曲で、(このとき)結成10年目の彼らはそんなふうに気づきや覚悟や希望を歌い込んだわけだが、メジャー契約を通じて新たな(好きな)場所に進みながらも、しかし根っこは変わらずにいようと、今回はそのスタンスを自分たちで再確認するべく(あるいはもう一度それをみんなに伝えるべく)この曲をオープナーに選んだに違いない。

2曲目は2013年の2ndミニアルバム『もうひとりの私』のリード曲で、ある時期までのライブ定番曲のひとつ「パレードが呼んでる」。3曲目は2020年の6ヶ月連続配信シングルの1曲「恋がはじまる」(『Xanadu』にも収録)。4曲目は昨年9月リリースのシングル「YES」。5曲目はこれも6ヶ月連続配信シングルの1曲「plastic」。6曲目は2012年の1stミニアルバムの表題曲で、けっこう久しぶりとなる「夢みるモンシロ」。と、このようにライブは新旧の楽曲をいい塩梅に織り交ぜて進んでいった。昔からのファンの思いにも『Xanadu』以降のファンの思いにも応えたいという4人の気持ちがよく表れた構成だ。が、懐かしい曲を懐かしい手触りのまま演奏することはない。「パレードが呼んでる」にしても「夢みるモンシロ」にしてもそこまで大胆なアレンジ変更は施していないが、しかしドラムの入りなどところどころをアップデート。そのように楽曲自体も演奏も“Feel So Brand New”の概念を伝えてくるものだった。

倉品はいつにも増して歌に感情を乗せていた。ステージ向かってやや左側に椅子が置かれており、「nightingale」と「plastic」ではそこに腰を下ろして歌ったりも。特にハンドマイクで歌われる曲では手の動きや表情でも気持ちの動きを表わすことをしていた。久しぶりに聴けた「ターナー」での伸びやかなファルセットがキレイだった。

「夢みるモンシロ」におけるただパワフルなだけではないドラミングからスロー曲での撫でるようなそれまで、演奏面ではつのけんの技術のアップを強く感じた。ギターの吉田はいつにも増して楽しそうに見えたが、本編終盤の「リップのせいにして」から「君は僕のマゼンタ」「missing summer」へと続く盛り上がりタイムで感情の開放をギターに反映させる様がエモかった。ベースの延本はライブの序盤で既に「泣きそうになる」と話していたが、プレイは安定感があり、常にグルーブの支えとなっていた。ミラーボールの回転と共に藤田淳之介のサックスが夜のムードを強めた「nightingale」、コーラスワークの光る「feel my hush」やアレンジによって厚みの増した「ぜいたく」(このあたりは清野雄翔のピアノの美しさも印象的だった)など触れておきたい曲はほかにもいくつかあるが、何よりシティ・ポップの王道を作った大ベテラン林哲司をプロデュース&作曲に迎えたメジャーデビュー曲「BRAND NEW MEMORY」の輝きと強度は、厚みあるホーンも手伝って抜きんでていた。この日が初演となった曲だが、懐かしくも新しい、まさにAPRILだからこその旨味がギュッと詰まったデビュー曲であることを改めて強く実感した。

アンコールではメンバー4人がひとりずつ今の思いを述べもしたが、涙声で話した吉田、延本のあとの倉品のこの言葉がとりわけ印象的だった。「僕は自分が有名になるとかよりも、自分たちが大事に育てた曲がみなさんの日常に届くことのほうが1億倍嬉しい。これからもとにかく曲を広めたいんです。そのためのメジャーデビューだと思っているし、ずっとそういうスタンスを変えずにやってきたので、これからも“変わらずに変わり続ける”僕たちを見守っていただき、みなさんの日常に僕たちの音楽を置いていただければと」。

変わらずに変わり続けること。ただただ生み出す楽曲のクオリティを上げ、それを育てて広めること。その意思に1ミリのブレもないことをハッキリと再確認できたメジャーデビュー記念ワンマン。だから4人はこれから好きな場所どこへでも行ける。

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