TM NETWORK、40周年を彩る豊かな楽曲と洗練された3人のパフォーマンスで魅了する“STAND 3 FINAL”最終日をレポート

ライブレポート | 2024.03.14 18:00

TM NETWORK
40th FANKS intelligence Days
~STAND 3 FINAL~<Day34>
2024年3月8日(金) TACHIKAWA STAGE GARDEN

いきなり個人的な話になるけれど、立川ステージガーデンは初めて訪れる会場である。立川駅に降り立つのもずいぶんと久しぶりのことなのだが、TM NETWORKのライブのために来たとなれば、ある意味では聖地巡礼的な感じもあるから、ちょっと不思議な気分である。立川ステージガーデンは2020年4月オープンということだけれど、その前には何があった場所なのか全く思い出せない。TMのメンバー3人は憶えているだろうか? それはともかく、いろんなことが周到に計画されて実行されるTMのツアーだから、“彼らの縁の地にできた新しいホール”が今回のツアーのファイナル公演の選ばれたことにもなにかしらの意図がきっとはたらいているのだろう。

当日は朝から変な天気で、うっすらと路面を覆うほど雪が降ったのに、昼近くにはもう見事な青空が広がり、しかし気温は上がらず、十分に寒い。開演近くの時間には雨が降る予報だった。幸い、雨に降られることなく会場にたどり着いたが、駅からそこまでの道端にはいくつも人の輪ができていて、再会を喜ぶ声のトーンが高い。おそらくはTMのファンの人たちで、やはりTMの聖地でのツアー・ファイナルとなれば、全国各地から集まってきているのだろう。

さて、注目のステージ。1曲目は「Nights of The Knife」だった。ファンならば思わず「おおーっ」と声が出るだろう。デビュー10周年の日、「終了宣言」とともにリリースされたこの曲を、切ない思いのなかで記憶している人は少なくないはずだが、今この時点で、もっと言えば、2021年10月の「再起動宣言」に始まり、いよいよ40周年を迎えたなかで行われているツアーの1曲目に♪新しい始まりが今/ドアの向こうまで近付いてきてる♪と歌い始められると、それはもう「終了宣言」当時とは全く違うときめきを呼び起こす。さらに言えば、去年リリースされたアルバム『DEVOTION』には長年厚い支持を集めながらスタジオ録音による音源化が行われなかった「TIMEMACHINE」が収録された。そんなことがあった後に、今度は「Nights of The Knife」がセット・リストの1曲目を飾ったとなればこれはもう明らかに、TMのメンバーはその歴史を新しいステージに進める更新作業を行なっているんだろうと考えるべきではないか。まさに♪We are going to make a brand-new day♪である。

そんなことを思っていたら、1曲目ではピアノを弾いていた木根尚登がギターを手にし、最新作のタイトル・チューンへと演奏は進む。アグレッシブなギター・サウンドが印象的だった最新作「DEVOTION」を象徴するこの曲の演奏は現在の彼らの充実ぶりを伝えて、ライブはいきなり最初のクライマックスへと入っていった。

とは言っても、デジタルな分厚いサウンドでオーディエンスを圧倒する展開ではなく、むしろ真逆と言ってもいい、メンバー3人のヒューマンな魅力が会場の熱量をゆったりと引き上げていく。考えてみれば、「再起動宣言」以降のライブは、配信ライブも含め、3人だけの演奏が基本で、それはメンバー3人それぞれの存在感をあらためてアピールし、同時にオーディエンスとのリアルな交歓が意識されていたんだろうなということがこの日のライブを見ていてもよくわかる。

小室哲哉

木根尚登

宇都宮隆

実際、ピアノでもギターでも大活躍だった木根の、プレイヤーとしての能力の高さを再認識させられる場面の連続で、一方コーラスでの小室哲哉の奮闘ぶりも印象的。その二人が、ピアノとキーボードで披露した新曲「Good morning Mr.Roadie」のハートウォームな質感は今回のツアーの魅力を象徴する1曲と言えるだろう。そして、そうした生身のエネルギーを押し出そうするとき、やはりフロントマンとしての宇都宮隆の存在感はじつに独特で、TMのライブの魅力ということを考える上で、彼のステージ・パフォーマンスが果たしているものの大きさを意識せずにはいられないステージでもあった。その中盤、「N43」で木根からちょっとおどけた感じで手渡されたタンバリンを鳴らし、続く「You can Dance」ではかけていたサングラスをステージ脇のスタッフに投げて渡す、その一つひとつの仕草に独特の華があるのだ。つまりは、この3人だからこそTM NETWORKなんだなという、当たり前のことに想いが至るステージでもあった。

その3人だけのステージがとりあえずこれでおしまいになることを告げているのが、“STAND 3 FINAL”というサブタイトルなんだろうが、ということはすでにアナウンスされている4月からのアリーナ・ツアーでは、サポート・メンバーを加えてのステージが展開されるということだろうか? あるいは、この3人を基調にしながら40周年をともに祝うのが相応しいゲストが登場するのだろうか? いずれにしても、快い驚きをファンに提供するのが大好きな彼らのことだから、きっと企みごとはあるのだろう。しかし、それもこれも、この3人のパフォーマンスと豊かな魅力を持つ楽曲があればこそ、という思いを新たにした一夜だった。

SET LIST

OP. WORDS
01.Nights of The Knife
02.DEVOTION
03.DIVING
04.君がいてよかった
05.Good morning Mr. Roadie
06.GREEN DAYS
07.N43
08.You can Dance
09.Past 1984
10.ELECTRIC PROPHET
11.Human System
12.Come Back to Asia
13.TK-solo
14.Love Train
15.Inter Mission~Nervous
16.ACCIDENT
17.I am
18.Intelligence Days

公演情報

DISK GARAGE公演

TM NETWORK

40th FANKS intelligence Days〜YONMARU〜

<Day35-36>
2024年4月20日(土)21日(日)東京ガーデンシアター(有明)

<Day37-38>
2024年4月26日(金)27日(土)大阪城ホール

<Day39-40>
2024年5月18日(土)19日(日)Kアリーナ横浜

RELEASE

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  • 兼田達矢

    取材・文

    兼田達矢

  • 撮影

    Hajime Kamiiisaka

  • 撮影

    Kayo Sekiguchi

  • 撮影

    Mirai Yamashita

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