Gacharic Spin、結成15周年&現体制5周年Wアニバーサリーイヤーの2024年、さらに前へ!ガチャピン流ロックとエンターテインメントで魅了した「Ace」ツアーファイナルをレポート

ライブレポート | 2024.05.17 18:00

Gacharic Spin TOUR 2024「Ace」
2024年4月20日(土)EX THEATER ROPPONGI

今年は結成15周年であり、現在の編成となり5周年というWアニバーサリーイヤーのGacharic Spin。最新EP『Ace』を引っ提げて全国7ヶ所8公演開催したリリースツアーは、今作のコンセプトである「ハイスピードで熱く激しく、押せ押せなサウンド」を汲んで、バラードやミドルナンバーを除いたセットリストに。満員の観客に迎えられたファイナルのEX THEATER ROPPONGI公演も、バンドのタフネスや表現のバリエーションなど、Gacharic Spin流のロックとエンターテインメントで魅了する、情熱とオリジナリティ溢れる2時間となった。

「オドリオドレ」のリミックス音源をバックにメンバーが登場すると、アンジェリーナ1/3(Mic Performer)とはな(Vo/Gt)が同曲を歌い出し、ツアーファイナルの幕を開ける。攻撃力が強くもキャッチーで、6人それぞれに余すことなくスポットを当てるロックナンバー。オープニングから6人がそれぞれの知恵と技量を持ち寄って楽曲を構築していることを音でもって明示する。

yuri(Dr)の刻むビートが閃光のように瞬くエネルギッシュな「BakuBaku」は、中盤のオレオレオナ(Key)による優雅かつ気魄のあるクラシックテイストのピアノでさらに奥行きが生まれる。F チョッパー KOGA(Ba)がセンターのお立ち台に躍り出てなだれ込んだ「ミライ論争」では、イントロでTOMO-ZO(Gt)、はな、KOGAの竿隊3人が合わせてステージ前に出るなど華やかなフォーメーションを見せ、観客もコールやジャンプ、メンバーの動作に合わせて身体を動かすなどして前のめりに興じた。テクニカルなプレイとエンターテインメント要素が交差するステージは彼女たちのライブの魅力のひとつだ。だがこれはまだまだ序の口。ここからさらに妥協なき表現者スピリッツを目の当たりにすることとなる。

硬派な質感のサウンドで魅せる「ストロボシューター」は、アンジーのメインシンガーとしての華やかさが生きる。その一方で、TOMO-ZOのキュートな笑顔でアグレッシブなギターを弾くというギャップある佇まい、はなのエモーショナルなボーカルとプレイ、KOGAとyuriのきめ細やかなリズムセクションも際立ち、オレオに限っては時にムードメーカーに、時にはなとシンクロするように情熱的なパフォーマンスを見せ、適材適所で自身の役割を変えていた。バンドを語るうえで「全員が主人公のよう」と例えることがあるが、Gacharic Spinの場合は何よりも曲を主役にするべく6人が力を合わせている印象だ。ここまでのチームワークは、日々の鍛錬と綿密な意見交換、意思統一がなければ成し得ない。「リバースサイコロジー」「The Come Up Chapter」と、自分たちの曲を極限まで輝かせるべく力を注ぐ姿に目を見張る。

Gacharic SpinのEX THEATER初ワンマンは「オレオさんの婚活ツアー'16春 ~新しい出会いを求めて~」のツアーファイナル。あの日と今日のセットリストで重複しているのは1曲のみとのことで、KOGAが「ガチャピンはいつもカラーの違うライブをしている」「今日は今日しかできないライブを届けたいし、そのためにはみんなの力が必要です!」と気合いを見せると、会場からは大きな歓声が沸いた。

遊び心を詰め込んだ「カチカチ山」とファンからの人気の高いナンバー「ブラックサバイバル」でははながドラムセットに就き、yuriはリズムパッドをプレイする。はながメインボーカルを務める「僕だけのシンデレラ」ではアンジーとオレオが曲中で観客に丁寧にクラップを促し、朗らかなムードで包み込んだ。その後はTOMO-ZOのギターソロから彼女がボーカルを務める新曲「S・w・e・e・t」へ。ツアー中に制作したという同曲で、爛々とした笑顔の彼女は桃色の光に包まれながらギターボーカルと振り付けを披露する。6人が手際よくポジションチェンジしていく様子は職人芸にも近い美しさだ。彼女たちの手数の多さを再確認する、痛快なセクションだった。

インストの新曲「SPEED」の後、アンジーが「MindSet」のMVで着用していたパンキッシュなセーラー服を纏い、同曲と「レプリカ」を畳みかける。どちらも若者の本音が綴られた曲ゆえに、アンジーの歌はもちろん一挙手一投足からリアルな心情や混乱が伝わってきた。少しずつ熱を上げていくボーカルは客席を自身の精神世界へと引きずり込むようで、そこに没入する緊迫感溢れる演奏にも息を呑んだ。

ここでTOMO-ZOによるMCコーナーへ。爽やかな笑顔と小気味よい語り口で会場を沸かしながら巻き込んでいく様子はまるで漫談家だ。なかでもメンバーしか知り得ないメンバーの意外な素顔を暴露していくメンバー紹介は、シュールでもあり、Gacharic Spinにさらに深い味わいをもたらす重要な要素と言ってもいいかもしれない。テンポのいいトークにより会場はさらに和気あいあいとした空間に包まれた。

アンジーが「ここからは後半戦です! がんがん行くけどついてこれますか!?」と呼びかけると、ロックナンバーを立て続けにプレイする。「超えてゆけ」では観客のシンガロングも高らかに響き、「Lock On!!」や「ナンマイダ」は曲中のポジションチェンジで聴覚視覚ともにカラフルに。「I wish I」と「Let It Beat」の集中力が通ったシリアスな空気感は、まだまだ高みを目指していくことを示唆する非常に凛々しいステージングだった。

アンコールではアンジーが「せっかくアンコールをいただきましたし、ソールドアウトもしているので、めでたいことでもしたいじゃないですか」と言い、新曲「乱心glow」を初披露する。観客がクラップできるリズムを用いたパワフルなロックナンバーで、今後ライブのキラーチューンへと成長することを予感させた。ツアーの締めくくりは、EPのラストを飾る「Lin-Lin-Lan」。「ともに歩んでいこう」というファンに向けたメッセージとも解釈できる同曲で、未来を明るく照らすポジティブなムードを作り出す。アンジーが「ここにいるみんなの声を聞かせて! みんなのおかげでわたしたちは音楽を続けることができています、本当にありがとう!」と叫び、満員の客席からシンガロングが溢れるシーンはとてもすがすがしかった。

最後に全員がステージ前に集合すると、感極まったオレオが涙ながらに「今のわたしたちをぎゅっと詰めたパワー漲る『Ace』を引っ提げたツアーも一旦今日で幕を閉じます。本当に……ここまでやってきて良かった! 各地でみんなからパワーをもらって、わたしたちも感謝の気持ちで回ってきた大事なツアーでした。この勢いで追加公演のTOKYO DOME CITY HALL、15周年に向けて一丸となって走っていきたいです」とまっすぐ語る。ひとりステージに残ったアンジーも目を潤ませながら会場の隅々を見渡し、深々と頭を下げた。

アニバーサリーイヤーという節目は、変化を遂げてきたGacharic Spinにはさらに自分たちを前へと突き動かそうとする起爆剤になっているのかもしれない。7月6日のTOKYO DOME CITY HALLでの追加公演「LIVE 2024 “Let It Beat”」も、12月に開催予定の「Gacharic Spin × DOLL$BOXX Zepp TOUR」も、今回のツアーファイナルとは違う手法で我々を驚かせてくれるだろう。次から次に得意技とアイデアを最大限のパワーで繰り出す彼女たち。その生き様が終始とても眩しかった。

SET LIST

公演情報

DISK GARAGE公演

LIVE 2024「 Let It Beat 」

2024年7月6日(土)TOKYO DOME CITY HALL

チケット一般発売日:2024年518()10:00

BIRTHDAY LIVE

HANA BIRTHDAY LIVE!!!! 456ヵ月目のはな~
2024年5月19日(日)Spotify O-WEST
一般発売日時: 2024427()10:00

 

TOMO-ZO BIRTHDAY LIVE2024Let It BeaM
2024年9月14日(土)Spotify O-WEST
一般発売日時: 2024427()10:00

 

SHOW-YA PRODUCE『NAONのYAON 2024』出演!

2024年5月18日(土)日比谷野外大音楽堂
SOLD OUT

  • 取材・文

    沖さやこ

  • 撮影

    ゆうと。

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