岸谷香、ゲストに森高千里と渡瀬マキを迎え、40周年記念イヤーを締めくくる“感謝祭”を2デイズ開催

ライブレポート | 2025.03.13 18:00

岸谷香 感謝祭2025
2025年2月22日(土)23日(日・祝)EX THEATER ROPPONGI
※レポートは2月23日実施

昨年2月の“感謝祭”からスタートした40周年記念イヤーを締めくくる今年の“感謝祭”は初の2デイズ。しかも、ゲストに森高千里と渡瀬マキ(LINDBERG)を迎えるという、アニバーサリー企画らしい豪華な内容。事前に公開された三人の鼎談記事では「3人でバンドを組んで、新曲も作ろう」なんて話も飛び出していたけれど、それぞれにライブ・ツアーをやってたりするし、どう考えても忙しい3人にそんなことができるのか?と思う一方で、“岸谷香は有言実行の人だしなあ”とか、そんなことを考える楽しみを与えてくれただけで、この顔合わせはすでに成功してるんじゃないかと思っていたのだけれど。

果たして、会場に着いてステージを見ると、ドラムが2セット組んである。これは、やはり森高がドラムを叩くのか!? いや、楽器はなんでもやりたい岸谷が叩くのかもしれない!? などなど、開演までの10数分にもそんな楽しみを与えてくれた今年の“感謝祭”、フタを開ければ、その予想の遥か斜め上を行く、文字通り盛りだくさんのイベントだった。

まずは、「夜のヒットスタジオ!」と叫んで、元フジテレビアナウンサーの木佐彩子と武田祐子が登場。岸谷のファンなら、彼女たちが岸谷の仲良しであることはよく知っているのだけれど、「ある意味、旬です」(by武田祐子)という元フジテレビの友達も動員してのオープニングはプロデューサー岸谷の辣腕ぶりを感じさせたが、この後の展開を見れば、「元フジテレビ」よりも「夜のヒットスタジオ」がキーワードだったようだ。というのも、出演する歌手が順に、次の歌手の曲を歌った上に楽屋話的な話題をひとネタ披露して紹介するというメドレーが「夜ヒット」の名物企画だったのだが、それをこの日は岸谷→渡瀬→森高、そして再び岸谷という流れで展開。ここですでに、“お祭り感”は例年以上に高まったが、「特別スペシャル」(by岸谷)な企画はさらに続く。

LINDBERGの「もっと愛しあいましょ」と森高の「17才」を3人が歌って踊るダンス・コーナーでは、この会場にいる人たちのなかで一番楽しんでるのはステージ上の3人じゃないかと思えるほど、3人ともノリノリのダンスを披露。「17才」の間奏では、演奏を担当するUnlock the girlsのギターYukoとベースHALNAが順にシャレたソロをコンパクトに聴かせたが、おそらくはオーディエンスの心はすべて3人のダンスに引き込まれてしまっていただろう。

さて、ここからは「オーソドックスに」と言っていいだろうが、岸谷を含めたUnlock the girlsの演奏をバックに、ゲストである渡瀬と森高が自身のレパートリーを披露するコーナー。ここで再認識させられたのは、渡瀬も森高も百戦錬磨のライブ・アーティストだということ。それぞれ3曲ずつ自分の歌を歌ったのだけれど、その3曲でしっかり自分のカラーを打ち出し、そして自分なりのやり方で会場の熱量をちゃんと高めてみせたのだった。

それと同時に印象的だったのが、渡瀬と森高それぞれの魅力を音楽的な演出でさらりと引き出して見せたプロデューサー岸谷のセンスだ。LINDBERGの「GAMBAらなくちゃね」をピアノ伴奏だけでしっとり聴かせることによって、渡瀬が例えば1stソロ・アルバム『message d’amour』で披露したアンニュイな世界を彷彿とさせる彼女の繊細な個性を引き出し、森高の「渡良瀬橋」はアコースティックギター1本のサポートで彼女の詞とメロディーの素朴な美しさを際立たせた。間奏で森高が吹いたアルトリコーダーの音に感じた温もりは、この日のクライマックスの一つだった。

そして、「特別スペシャル」な企画はまだ終わらない。公約通り実現した3人によるバンド“ぷリンド千里バーグ”の新曲「ぷリンド千里バーグ GO GO」と、それに続くプリンセス プリンセスの「Diamonds(ダイアモンド)」で会場の盛り上がりは最高潮に達した。

ここまでが第一部とすれば、後半の第二部は岸谷たちUnlock the girlsの現在と未来を凝縮して届ける展開。ここにも“特別スペシャルな”演出として3管のホーン隊“Unlock the boys”が加わり、いつにも増してヘヴィなサウンドで最新シングルの「Beautiful」やリリース前の新曲「ボディガード」、そして「STAY BLUE」や「ミラーボール」といった彼女たちのライブの定番曲をたて続けに演奏して、バンドとしての彼女たちの充実ぶりをアピールして本編は幕を閉じた。

アンコールは2曲。1曲目の「私がオバさんになっても」では、進行役を務めた木佐と武田、それに「Beautiful」の振り付けをリードしたダンサーのMiHOも加わって、壮大な女子会でもあったこの日のステージを象徴する大団円となった。そして、最後はUnlock the girls&Unlock the boysの演奏で「OH YEAH!」。最後に岸谷は「50周年を目指して、音楽を楽しくやっていきたいと思います」と語ったが、それは即ち「OH YEAH!」と叫び続けるということだろう。

熱いという言葉では言い足りないと思わせる、彼女が音楽に注ぐ月並みでない情熱と、これまた手厚いという表現では不十分に思える濃厚なもてなし心、そして仲間との強い絆が生み出した“特別スペシャルな”音楽を堪能した一夜だった。

SET LIST

01. 恋をしようよYEAH YEAH~気分爽快~~世界でいちばん熱い夏
02. もっと愛し合いましょ
03. 17才
04. 今すぐKiss Me
05. LITTLE WING
06. GAMBAらなくちゃね
07. ララ サンシャイン
08. 青春 
09. 渡良瀬橋
10. ぷリンド千里バーグ GO GO
11. Diamonds<ダイアモンド>
12. Beautiful  
13. ボディーガード
14. Wrong Vacation
15. ハッピーマン
16. M
17. STAY BLUE
18. ミラーボール

ENCORE
19. 私がオバさんになっても 
20. OH YEAH!

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