「生ける屍か、それとも、踊り狂うのか…」VANIRU『NEW ROMANCER -PHASE Ⅰ-』ライブレポート

2017.05.1212:00

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VANIRU『NEW ROMANCER -PHASE Ⅰ-』

2016年11月11日 Shibuya WWW
Report:大前多恵

2016年11月11日、Shibuya WWWにて開催された、VANIRUのワンマンショウ「NEW ROMANCER -PHASE Ⅰ-」。2016年5月のメジャーデビューワンマンから約半年。2016年10月に開催された「VISUAL JAPAN SUMMIT」でもLEONEILはフロントマンとしての勇姿を示し、多くの観客の前で堂々たるパフォーマンスをしてみせ、新たな注目を集めた。そんなタイミングで迎えた昨年11月のワンマンを改めて振り返り、5月26日に控えるワンマン「The DIVINE CHILDLEN」への期待を高めたいと思う。

会場内にはcafé de VANIRUと名付けられたイベントスペースが設けられ、バロック音楽が流れる中、VANIRUをイメージしたケーキなど、オリジナルスウィーツを味わうことができた。その空間でひと際異彩を放っていたのは、「ISOLΛTION」のMVを完全コピーした動画で話題となったバビ江こと、ドラァグクイーンのバビ江ノビッチ。VANIRU支持者の一人であるバビ江は、マリー・アントワネットのようなゴージャスなドレス姿で開演前の一時を過ごすファンをもてなし、対話を楽しんでいた。

19:40を少し過ぎた頃、甘い芳香が立ち込める会場にはインダストリアルな金属音のようなSEが響き始め、いよいよ開演。ダークホラーの幕開けのようなスリルが最高潮に達したところで幕が開くと、パープルのライトを浴びたLEONEILがセンターに屹立。全身黒でボトムはレース素材のエレガントな装いだ。1曲目は、メジャーデビュー曲を暴虐に破壊し再構築したリミックス「ISOLΛTION‐The Vortex‐」(シングル『ISOLΛTION』に収録)。あらゆる常識も既成概念も、ここでは通用しないのだ、と痛烈に宣誓するような幕開けである。続く「L’Abime」では、叫んだりしゃがみ込んだり、惜しみなく熱を放出。その熱は、荒々しいディストーションギター、ズッシリとしたドラムのグルーヴが主張する「Who am I.Picture of Ghost…」へと引き継がれた。一旦姿を消し、やがて赤い襟がアクセントとなった黒ロングジャケットへと着替えてLEONEILが戻ると、「柘榴」がスタート。しなるエレクトリックビートに乗せ、柔らかく、時には囁くように歌い、声色の変化で魅せる。中盤でサウンドがヘヴィーに激変する場面では凶暴な獣のように、しかし、ラストは両手で雨を受け止めるかのように佇んで、シンセのピュアな音色が響き渡る中、そっと振り返り後ろ姿で余韻を見せる。「深海マリア」はステージ全体がピンクの光で照らされ、白いライトがフロアを彷徨うように照らし、美しい情景を織り成した。両手でマイクを握りしめ、「助けて」と切実に歌う姿もまた、印象深かった。

驚かされたのは、アコースティックアレンジで生まれ変わった「Stardust Waltz」。マニピュレーターはスネアを鳴らし、静寂の中掻き鳴らされるアコースティックギターに乗せ、LEONEILが哀愁を帯びたメロディーを歌い始めると、いつになくブルージーなムードが立ち上る。その余韻を打ち消すように、力強いドラムの音色からスタートした「Memory of Mayfly」はアンビエントに、続く「HiGH FANTASY」はサイケデリックに浮遊感を漂わせた。「千の夜」ではハンドマイクに持ち替えステージを左右に移動し、オーディエンスとの距離を縮め前列からは悲鳴のような歓声が上がった。シンセベースが主張しエレクトロ色が増したアレンジを施された「月詠ミ」は、ブルーの光を全身に浴びながら呪文を唱えるかのように<歌い踊れ、お前は愛されている>と艶やかで美妙な歌声でオーディエンスを月光のように包み込んだ。その優しい光の中「Dreaming Crystal」ではどこまでも清らかで、慈しみ深い歌声を聴かせるLEONEIL。VANIRUの立ち上げる世界はファンタジックで現実離れして美しいのだが、その中心には生々しいリアルな肉体があり、熱があり、心がある――音に身を任せながらそんなことを感じ取っていた。

「BLUE MONDAY」のミニマルなダンスビートが鳴り始めると、LEONEILは滑らかに、艶っぽく歌唱。和服のようにもカシュクールのようにも見える襟合わせのシースルー衣装に着替えた彼は、1番を歌い終えるとハイトーンでシャウト。「JUST YOUR DREAM」では“懺悔”と歌いながら十字を切って気怠く挑発し、仰け反り返ると会場から歓声が上がった。「LOVE AGAIN」では鞭を振り回して支配者のように振る舞いながら観客を煽ってところどころ共に歌わせ、一体感を最高潮まで引き上げた。そのまま「コズミック・ナイト」へと雪崩れ込み、少し巻き舌っぽく荒々しいヴォーカルを聴かせると、熱はこれ以上ないほどに高まっていき、ギターソロの後LEONEILが「Let’s dance!」と焚き付けると、それに応えてオーディエンスは一体となってステージへと想いを捧げるように手を差し出していた 。

普段はMCをすることのないLEONEILだが、「真実はいつも一つ。魂で感じて。また必ず出会いましょう」とこの日は挨拶。メジャーデビュー曲「ISOLΛTION」を放った。半年前のデビューワンマンでも、この曲と冒頭のリミックス曲の双方が披露されたが、順番は逆さだった。始まりと終わり、生と死、破壊と構築が無限に繰り返され、進化していく…そんなメッセージを読み取りたくなってしまう。淡々としたリズムと物悲しさを湛えたメロディーながら、ひたひたと熱を帯びていき、サビで思い切り弾ける痛快さを持つこの曲。フロアでは観客が飛び跳ね、LEONEILも昂った様子を見せる。力尽きたように跪いたかと思えば再び立ち上がって歌ったラストはとりわけ心の籠った歌声のように感じられ、胸を打たれた。

アンコールを求める声に応じ再び登場すると、「生ける屍か、それとも、踊り狂うのか…」という言葉に続き、「DEAD OR DANCE」を投下。曲が始まって早々、LEONEILは「踊れー!」といつになく激しい煽り文句を叫び、自分を縛るあらゆるものから解き放たれている様子だった。ギターソロを奏でるバックメンバーの近くへ歩み寄ったり、観客にところどころマイクを向けて声を合わせたり、とコミュニケーションを図りながら、LEONEILはどこまでも高く飛翔しようとしていた。

メンバーが去った後、スクリーンに映し出されたのは「WE NEVER STOP/Dem Phänomen sprang(※VANIRUのスローガン“現象を飛び超えよ“) 真実は一つ」というメッセージ。言葉で多くを語ることはなかったが、熱量とエネルギーを放出し、前進への決意を見せた意義深いワンマンショウだった 。

 

VANIRU – 「LOVE AGAIN」11.11.2016 SHIBUYA WWW Tokyo