兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第137回[2023年6月後半編・家主、やついフェス×2日、真心@名古屋、坂本慎太郎@野音、の5本を観ました]編

コラム | 2023.08.28 17:00

イラスト:河井克夫

 音楽などのライター兵庫慎司が、半月の間に自分が観たすべてのライブのレポをアップしていく連載の第137回です。2023年6月後半に観たのは、以下の5本でした。ほぼコロナ禍前の規模に戻って開催された、という事実がうれしかったやついフェスと、自分の人生的にありえない良席が当たった坂本慎太郎@日比谷野音が、今回の個人的トピックでした。

6月16日(金)19:30 家主 @ 渋谷クラブクアトロ

 家主、新曲「きれいにおまかせ」のリリース2日後であるこの日から始まった、全7本の全国ツアーの初日。注目度急上昇中のロックバンドであることは認識しているつもりだったが、クアトロがソールドアウトの超満員であることに「うわ、もうこんな人気あるのか!」とビビり、ライブが進めば進むほどその超満員のオーディエンスの拍手や歓声がどんどん大きくなっていくさまに「うわ、ファンこんなに熱狂的なのか!」とまたビビる、そんなふうに驚いてばかりの時間だった。
 基本的に歌とギター2本とベースとドラムによる、オーソドックスなフォーマットで作られている音楽だし、聴いていれば「ああ、ルーツはあのへんから、あとあのあたりも好きなんだろうな」ということがわかるし、ボーカル&ギターの田中ヤコブをはじめとするメンバー4人も「こういう音のバンドはだいたいこういう感じ」な佇まいなのに、どの曲もなんだか妙に新しさを感じさせるのがとても不思議。世代のせいか、キャラクターのせいか、その両方が理由なのか、それ以外にも何かあるのか。気になるのでまた観に行きたい。

6月17日(土)12:00 YATSUI FESTIVAL 2023 の1日目 @ 渋谷10会場

 やついいちろうが毎年この時期(6月の第三週末)に渋谷道玄坂のライブハウス&クラブで行っているサーキットフェス、通称「やついフェス」。毎年オフィシャルのレポを、ここDI:GA ONLINEに書いています。個人的にはCharisma.comの復活ライブが胸熱だった、1日目のレポはこちら。
YATSUI FESTIVAL! 2023 6/17(土)DAY1レポ

6月18日(日)12:00 YATSUI FESTIVAL 2023 の2日目 @ 渋谷10会場

 で、その「やついフェス」の2日目。フェスのあちこちに出番があるやついいちろう、前日の途中でノドを完全につぶしてしまったので、この日は本当に四苦八苦。そのさまが気の毒でもあり、おもしろくもあった、2日目のレポはこちらです。
YATSUI FESTIVAL! 2023 6/18(日)DAY2レポ

6月24日(土)17:00 真心ブラザーズ @ 名古屋・東別院対面所

 真心ブラザーズが年イチペースで行っている、ふたりきりの弾き語りツアー『真心道中歌栗毛』、2023年版の名古屋公演。ファイナルの東京公演が行けない日だったので、名古屋まで遠征しました。会場は、名古屋では、アコースティック系のライブ等でよく使われている、大きなお寺の「対面所」という、講堂のようなホール。
 前半は、「凍りついた空」「話」「ふりかけ」など、普段のバンド編成のライブではなかなか聴けないレアな曲、多数。桜井秀俊の初期の名曲「僕は喜劇王」が、特にうれしかった。
 中盤ではリクエストコーナーも。最初に箱から1枚引いたら「FLY」、「ほんとにいける?」「キーは?」などと言いながらも、なんとか完奏。しかし次の「緑に水」は、最近の曲なのに、「いける?……無理だな」「謝ろう」とギブアップ。オーディエンス、大笑いで拍手。で、次に引いたのは「愛のオーラ」。「あんまり弾き語りでやらないけど」などと言いつつも、さすがにこれは余裕で完奏。
 続いて、桜井の未発表曲「アイラブユー」を経て、「真夏といえども」「アイアンホース」「君と一緒」「どか〜ん」等のライブ鉄板曲を連打し、「サマーヌード」「空にまいあがれ」で本編を締め、アンコールで「I’m in Love」を追加。いっぱい笑って、いっぱいしみた。行ってよかった。

6月25日(日)18:30 坂本慎太郎 @ 日比谷野外大音楽堂

 坂本慎太郎は、以前は全然ライブをやらなかったが(初めて国内でライブをやったのは、ソロデビューして7年半経ってからだった)、ここ1〜2年は、フェスやイベントに出たり、初の全国ツアーを行ったりして、観れる機会が増えている。
 それに伴って、以前ならどうやったって取れなかったワンマンのチケットも、ちょっと取りやすくなった。2022年秋〜冬の初のツアー、全7本すべてに申し込んだら、大阪が当たったし。で、この日比谷野音も当選した上に、席が、なんと6列目のどまんなかだった。うわあ。よく見える、ステージが。日比谷野音、30年以上通っているけど、こんないい場所でライブを観たの、初めてかも。
 「できれば愛を」で始まり、「動物らしく」で終わる、キャリア全体から選曲された16曲。アンコールなし。
 11曲目から14曲目、「物語のように」「君はそう決めた」「ディスコって」「ナマで踊ろう」あたりが、特に白眉だった。単に、自分が好きな曲が並んだせいかもしれないが……いや、でもそれを言ったら、オープニングの「できれば愛を」「おぼろげナイトクラブ」「思い出が消えていく」という並びも「おおっ!」と思ったし、そこから「めちゃくちゃ悪い男」「鬼退治」「べつの星」と続いていったのも……まあ要は、全曲うれしかった、ってことですね。
 なお、日比谷野音で週末にワンマンをやる場合(というか、音量の問題でバンド等は週末しかできないのだが)、17:00とか17:30から始める人が多い。が、この日の坂本慎太郎は、18:30開演だった。なぜでしょう。途中で日が暮れて、照明が効き始めるようにしたかったからだと思う。そのさまが、本当に見事だったので。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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