自信を持って断言できる。米倉 利紀は、歌も、ダンスも、観てるだけでも楽しめるソウルフルなエンタテインメントショーを、いつどのタイミングで観ようとも絶対なるクオリティーで提要してくれる唯一無二のソロシンガーである。そんな、観客満足度No.1といえる米倉が最新アルバム『analog』を掲げ“analogな心”をコンセプトに全国18都市25公演を行なうニューツアー<sTYle72 inc. presents toshinori YONEKURA concert tour 2019 gotta crush on..... volume. twenty “analog”>が開幕。米倉に、キャリア27年目に突入したいまも、年に何回もツアーを行ない、各地のライブハウスでハイクオリティーなコンサートを開催し続ける理由を聞いてみた。
──今日は、米倉さんがいまも精力的に毎年ツアーを行ない、そこでつねにハイクオリティーなコンサートを行なえるのはなぜなのか。その理由を探っていこうと思ってます。
いまの質問を受けて “生かされていることを無駄にしない”という言葉が頭のなかに浮かんできました。例えばステージ上に立っている。その状況、その時間、その空間を無駄にしない。歌うという仕事を僕は神様から与えられた訳ですが、まずその歌っている時間、仕事を無駄にしない。すべて、生かされてるんだと思うんですね。この取材をしていただいている時間も無駄にしない。例えば取材していただいてる時間もどうにだってコントロールできるわけじゃないですか。
──そうですね。それこそ世間話をしているだけでも時間は過ぎていきますからね。
だけど、その時間をどう生かしていくのかというのが、僕の『ライブ感』なのかなと思うんです。無駄にしないということ。
──そのライブという時間を無駄な時間にしないもののひとつに、米倉さんの歌唱力があると思うんです。あの抜群の歌唱力は、米倉さんのコンサートの揺るがない魅力でもあると思っているんですが。
そういっていただけること、ありがたく受け止めさせてください。そして、それも米倉 利紀のひとつの魅力として僕は揺るがないものにしたいなと思っていますし、この声を授かったことに感謝の気持ちでいっぱいです。だけど、僕はそこで“歌が売りなんです”“踊りが売りなんです”“ビジュアルが売りなんです”という固定観念をみなさんに植え付けるような発言や想いはないんです。『米倉 利紀』というひとつのパッケージを築き上げていきたいと思っています。“歌を聴きにきました”という人がいてもいいと思う。“ビジュアルが好きだからライブに行くんです”という人がいてもいいと思う。“踊りを観に行くんです”という人がいてもいいと思うんです。だけどそれらを固定観念として定着させたくないですし、想いを偏らせたくないというか。僕のライブの作り方、こだわりとして強い想いがあります。
──米倉 利紀ブランドをお届けするためのブランディングとして。
はい。例えば歌を聴きにきた人でも、あるツアーでは“歌は当然なんだけど今回は踊りがよかったな”とか、ビジュアルが好きで来てくれた人も“ビジュアルが一番なんだけど、今回のツアーを観たら歌が好きになってきたかも!!”とか。毎回感じることが違っていいというか。
──ツアーごと、ライブを観るたびにお客さんの興味や関心が高まる部分がどんどん変わっていくようなパフォーマンスを提供することが、ファンを飽きさせない秘訣というか。
その通りです。だからといっていろんなことにチャレンジするという“なんでも屋”ではなく、要はいろんな“入り口”を用意しているということです。いろんな米倉 利紀を用意するのではなく、いろんな角度からの米倉 利紀への入り口を用意して、みなさんの好きな入口から米倉 利紀の信念という中心に向かえる。いろんなタイプの僕がいると迷っってしまうと思うんですが、最後に向かう場所がひとつであれば、様々な景色を見ながらみんながたどり着く場所はひとつ(米倉 利紀の想い)ですよね。みんな僕の「心」にたどり着くはずなんです。
──ビジュアル、歌、どの道を選んできたとしても、ライブで出口までたどり着いたら、いつの間にか米倉 利紀の魅力を全のせで好きになって戻って来ていると。まさに、プロフェッショナルだからこそできる匠の技ですね。
いやいやいや(微笑)。例えばカバー曲。なにを歌っても米倉 利紀になるんですねっていっていただけたらとても嬉しいです。でも、なにをうたっても同じなんですね、では悲しい。(笑)どのツアーを観ても同じなんですね、では悲しい。それだとさっきお話したような自分という図形、意図していることがなにも伝わってないってことですから。だから一番嬉しい言葉は、「いつ観ても『米倉 利紀』としての存在は変わらない」といわれること。
──そうやって築き上げてきた米倉 利紀ブランド。それをお届けするツアー、ライブの本数も米倉さんは毎年すごくやられてるじゃないですか。
周りの業界人に不思議がられるところ。(笑)“どうやって全国ツアーやってるの?”って。いまは、マネージャーも一人にしました。そして、これ以上自分の周りにスタッフは必要ない、探してもいないんです。
──それ、普通に考えても大変じゃないですか?米倉さん自らやらなければいけない業務が増えて。
大変です。(笑)だけど、そうやって自分を見つめ直し、足元を確認し、多少の追い込みをしてもう一回原点に返りたいなと思ったんです。だからといって、“事務所もマネージャーもなくして一人から始めます”では、いまの僕の活動内容、環境では他社のスタッフのみなさんに迷惑をかけてしまう。迷惑をかけない極限まで自分の環境をシンプルにして、改めて米倉 利紀の歌人生に集中しています。