山下洋輔トリオ結成50周年!歴代メンバーが集結する記念公演はどのようなものに?山下洋輔に話を訊いた。

インタビュー | 2019.08.26 12:00

2019年12月23日、新宿文化センター大ホールにて『山下洋輔トリオ結成50周年記念コンサート 爆裂半世紀!』が開催される。山下洋輔(ピアノ)、中村誠一(テナーサックス)、森山威男(ドラム)、坂田明(アルトサックス)、小山彰太(ドラム)、林栄一(アルトサックス)──という、山下洋輔トリオに参加してきたメンバーが全員集合し(89年に亡くなったテナーサックスの武田和命を除く)、かつて共にステージに立ってきたタモリ・麿赤兒・三上寛がゲストで登場する。日本のフリージャズのパイオニアであり、70年代から欧米でも活躍し、また当時から現在まで執筆や劇伴等でも幅広く活躍することで、日本の「音楽文化」だけでなく「文化全般」を押し上げてきた山下洋輔は、この日、何を見せてくれるのか。山下洋輔トリオの始まりの話も含め、訊いた。

──山下洋輔トリオの歴代メンバーが、50周年で一同に会するわけですけども。山下洋輔トリオを始めた頃にやろうとしていたことというのは、どういうものだったのでしょうか。

1969年に、改めて始めて……というのは、その1年半前から私、病気で演奏できませんで、休んでいて。それで、改めて始める時に、休む前のメンバーで集まったんですよ。でも、今自分がやるにはちょっと違うなあ、もっと強いものがほしい、激しいものがほしい、というふうに、私の中ではなって。それで、ちょうどいろいろなことが起きましてね。ベーシストが就職が決まってやめちゃった、とか。それで、ベースをどうしようっていう時に、森山(威男)が「いらないんじゃないか?」なんて、すごいことを言い出して。それで、話しているうちに、森山、中村誠一、僕の3人で──僕が言い出したんですが、「思いっきり勝手にやってみようよ」と。

──その話は、いろいろなところで語り継がれていますが──。

事実なんです。その時に一応、手本がありましてね。50年代からやっていた、ピアノのセシル・テイラー。拳打ち、肘打ちをやっていた方です。それからオーネット・コールマン。この人たちの音が、60年代にはもう、ジャズ喫茶に行けば聴けたんですが、その頃の僕というのは、「こういうむちゃくちゃな音楽はダメだ」と。近寄ってはいかんという、むしろ逆の考えで。ずっと正しいミュージシャンであろうとしていたんですが(笑)、病気のことがあり、新しく始めた時でもあり、もっともっと激しい、速い、すごい表現の音がほしいなと思って、「みんなでやってみたらどうだろう」と言い出したんですね。その背景には、近寄ってはいかんと思っていた音楽を、メンバーみんな聴いていた、という経験があるんですよ。

──ああ、どういうものかは知っていた。

特に、1966年には、ジョン・コルトレーンが日本で最初で最後のコンサートをやったんです。あのコルトレーンが、完全にフリージャズだった。「なんでコルトレーンがこうなっちゃうんだよ?」って、みんなびっくりした。だから、その時「みんなでめちゃくちゃやってみようよ」って言った背景には、そういったいろんな経験や、音を聴いてきた積み重ねがあった。

──やってみていかがでした?

リハーサルで、おもしろいものができちゃったんですよ。「これ、おもしろいんじゃないの? 誰もやってないよね」っていう手応えがありましてね。3人でお互いに、おもしろくなっちゃったんです。だから、「誰がなんと言おうとこれをやろうね」ってなれたのは、幸いでした。

──当時の日本のジャズの環境から考えたら、わけのわからないことをやっている、というふうに見えていた可能性は──。

もちろんです(笑)。僕はその音でピット・イン(新宿ピット・イン)に出たい、と言って──ピット・インには「NEW JAZZ HALL」っていう、フリージャズの人たちのライブハウスもあったんですが、僕はそっちは選ばずに、みんながやっている場所でやりたかった。特別なものではない、これを他のすべてのジャズ・バンドと聴き比べて判断してくれ、っていう気持ちがありましたので。それでピット・インに出たんですね。最初はお客さんもそうは集まらず。ミュージシャンの先輩たちからは「洋輔、どうなっちゃんだ? おまえは」というような反応がほとんどでしたね。急に変わりましたからね。でも、今までやってきたことはやらない、ジャズの決まりも忘れる、そこでやりたいことだけをやってみたらどうなるか、っていう、それが楽しくなっちゃったんですよ。

──今思うと、自分には潜在的にこういう気持ちがあったから、そういう方向に走ったんだな、と気づくことはあります?

今までやってきたことをやるなら、僕よりうまい人はたくさんいる、同じことをやってたんじゃダメだっていう。何か自分独自のものがほしかったんでしょうね。「これが俺たちの音楽だよ」って言いたかったんですね。

公演情報

ディスクガレージ公演

山下洋輔トリオ 結成50周年記念コンサート 爆裂半世紀!

2019年12月23日(月) 新宿文化センター 大ホール

出演:山下洋輔 (p)
中村誠一 (ts) / 森山威男 (ds) / 坂田明 (as) / 小山彰太 (ds) / 林栄一(as)
ゲスト:タモリ / 麿 赤兒 / 三上 寛 ほか
MC:中原 仁
※出演者ならびにゲストは都合により変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。

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チケット一般発売:2019年9月7日(土)

  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

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  • 田中サユカ

    撮影

    田中サユカ

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