ORESAMA 目指す音楽や信念を強固かつアップデートしたシングルを4月リリース。「もっと客席の空間まで使って遊びたい」ワンマンの展望も!

インタビュー | 2020.01.24 12:00

80sディスコをエレクトロやファンクで昇華した音楽を渋谷から発信する2人組ユニット、ORESAMA。TVアニメやCM楽曲起用、様々なアーティストへの楽曲提供、ボーカル参加など多岐にわたる活動を続ける彼らが、約1年振りの新作となる『CATCH YOUR SWEET MIND』を4月15日にリリースする。昨年秋には新しい自主企画イベント「POPUP NIGHT」「POPUP BOX」を趣向を変えて3公演開催し、ぽん(Vo)と小島英也(Prog/Gt)はそのなかで様々な気付きがあったと口をそろえる。よりORESAMAの目指す音楽や信念を強固かつアップデートした新作や、リリース日の翌日である4月16日にTSUTAYA O-EASTで開催されるワンマンライブについて訊いた。
──ORESAMAは2019年、2月に新木場STUDIO COASTでワンマンを行い、その後、新企画「POPUP NIGHT」を立ち上げました。まず9月にはDISCO Side公演を渋谷WWW Xで、POP Side公演を TSUTAYA O-WESTで開催。12月にはワンマン「ORESAMA -POPUP BOX Supported by huez-」を行いました。このようなコンセプトライブを決めた理由とは?
ぽん(Vo)新木場STUDIO COASTでワンマンライブ「ワンダーランドへようこそ」シリーズを経て「自分たちは何色なんだろう?」とあらためて考えたんです。それで「POPUP NIGHT」という企画ライブをDISCO side、POP sideと分けて2夜行うことにしました。ポップの要素もディスコの要素もどちらも内包したライブが12月のワンマンです。

お客さんを非日常の世界に連れていきたい、という気持ちはずっと変わっていないことを再確認して、それが自信にもなりました(ぽん)

──その3公演を経て、どんな発見がありましたか?
小島英也(Prog/Gt)ORESAMAの2本の軸であるディスコとポップスを、もっとミックスして精度を上げていかなきゃいけないな、と思いましたね。DISCO SideとPOP Side、来てくださるお客さんの熱量には差異がないいっぽう、まったく違う層の方々が来てくださった面もあったんです。ディスコとポップスはとても相性がいいけれど、それぞれ別のものであることを実感して。だからこそもっとミックスさせる価値があるジャンルだし、そういう作り方をしていこうと決心できたんですよね。
ぽん「違う色を持ち合わせているのが私たちだ」とあらためて思いました。ORESAMAのライブにはアニメ、CM、幼児教室の公式ソング、音楽性、ソロ活動など、様々なきっかけからお客さんが集まってくださっていて。そんな多様なお客さんを非日常の世界に連れていきたい、お客さんが自分を解放できる場所を作りたいという気持ちはずっと変わっていないことを再確認したんです。それが自信にもなりました。

「ORESAMAらしく」とリクエストしてくださったので、今回はいちばんアップデートしたORESAMAをかたちにしました(小島)

──新曲「CATCH YOUR SWEET MIND」は、今おっしゃっていただいた、ディスコとポップスのミックスの精度が上がった楽曲だと思います。こちらはミニアニメ制作プロジェクト『ざしきわらしのタタミちゃん』主題歌。漫画家・押切蓮介さんによる原作&初監督作品で、押切先生はORESAMAについて「以前から心酔している」とツイートもなさっていました。
ぽん数年前、押切先生が観にいらしていたというライブにたまたまORESAMAが出演していて、ライブを観てすごく気に入ってくださったんです。「なにか一緒にできれば」という話をずっとしていて、今回いろんなタイミングが合ってお話をいただけたので、ぜひやりたいですとお返事しました。小島くんが初めて挑戦した劇伴もすごく良かった!
小島ありがとうございます(笑)。これまでボーカル/詞とメロディありきの曲作りがメインだったので、音だけで場面を作って、作品の世界観に合わせる楽曲制作は面白い反面とても難しくて。妖怪っぽい曲、ジャズ要素のある曲……いろんなジャンルの曲に挑戦しています。いい経験になりましたね。
──たくさんタイアップ曲を書き下ろしているORESAMAですが、映像作品を作るうえでゼロから関わるという制作は、新鮮かもしれないですね。
ぽん押切先生が原作者でもあり監督なので、押切ワールドづくりに携われる感覚がして、すごく楽しかったですね。押切先生も主題歌に関しては「タタミちゃんが毒舌キャラだから、多幸感溢れるエンディングにしたい」とおっしゃっていたので、そのイメージも念頭に置いて制作しています。
──「CATCH YOUR SWEET MIND」は『ざしきわらしのタタミちゃん』の世界を汲みすぎていない印象があったのですが、いかがでしょうか。
小島押切先生が「ORESAMAらしく、ORESAMAの好きなように爽やかに明るい曲を作ってください」とリクエストしてくださったので、今回はそれに応えるべく、いちばんアップデートしたORESAMAをかたちにしましたね。
ぽん『ざしきわらしのタタミちゃん』は風刺や毒舌も多くて、辛口なイメージが強いんですけど、ふだん周りのことを気にしたり考えている人、気を使いすぎているような繊細なひとにこそ届く作品ではないかと勝手に思ってるんです。だから「CATCH YOUR SWEET MIND」も、少しナイーブな人たちが『ざしきわらしのタタミちゃん』を観てクスッと笑ってしまうところを想像しながら、ORESAMAから音楽でメッセージを届けるなら――というイメージで制作をしていきました。好きも嫌いも、いいも悪いも全部ひっくるめて、最後はみんなハッピーな気持ちで終われればいいなあって。
──特にサビの歌詞は、ぽんさんがいつもインタビューで語ってくださっている、ライブにかける想いや願いと同じだなと思って。
ぽんあははは、そうですね。
──ただ《刃》や《ガラクタ》、《焦げた思考回路》や《つもる黒い感情》など、いつもより棘を感じさせる言葉が多いのが気になりました。
ぽん繊細な人たちからすると、現実世界はそういうもので溢れている気もしていて。そういう人たちにライブに来てもらった時、どんな感情になってもらいたいだろう?どんなふうに自分を解放してくれたらうれしいだろう?わたしはライブでどんな気持ちになりたいだろう?と考えながら書いていきました。だからこの曲をライブで披露するのが、本当に楽しみなんですよね。
──パワフルさがポップに響く曲なので、ライブで映えそうです。リフが楽器に連鎖していくようなトラックメイキングも心地いいので、それこそ歌詞のとおり《思うがまま》に楽しめるのではないかと。
小島今回はギターを大きめに録っていて、それはライブの影響が大きくて。僕はライブに音源では出せない人間の生感を求めているんですけど、それを続けているうちに、音源にもその生感を反映させたくなってきたんです。ギターをメインに置いてその隙間を縫うように他の楽器を入れていくことでバトンのようにつながって聴こえてくる。音が固まった厚みだけでなく、1個1個のつながりが見えてくる音作りになりました。ベースにはディスコのアプローチを入れてますね。
──小島さんは「歌詞とメロディがなにより大事」とおっしゃってはいるけれど、トラックメイクにも並々ならぬ情熱を注ぐ人でもありますよね。
小島今では作曲家がメロディだけでなく、それにあったトラックも作る時代になっていると思います。だから自然と歌を引き立てるサウンドメイクになっていくんですけど、それを続けていると必然的に「音楽」というひとつのものを出せるようになっていって。
ぽん全部の音が主役だね。小島くんはその曲にギターが必要ないと思えばギターもごっそり抜くし、わたしの歌も切り刻むし。音のなかに自分の歌が組み込まれている感じがしてうれしいんです。
──ORESAMAのライブもそうですよね。サポートメンバーさんにもスポットが当たっているし、その場にいる全員がその空間を作るチームの一員だなと。
ぽんああ、そうですね。「POPUP NIGHT」からキーボードの方を招いて、キーボードとボーカルだけのパフォーマンスも取り入れていて。表現の幅はもっと広げていきたいですね。

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