2016年にデビューさせていただいて、ツアーが始まったのが17年の秋で、そこからピアノ/ボーカル、ギター、パーカッションの3人編成で各地を回ってきたのですが、最初の頃は目の前の1曲1曲をとにかく必死に演奏するという感じでした。それに、私は元々ライブに対して保守的な気持ちでいたんです。“間違えたらどうしよう”、“嫌われたらどうしよう”というようなことをすごく感じていたんですけど、お客さんは楽しみに聴きに来てくださっているということを、コロナ禍でのライブをきっかけに強く感じたんです。感染リスクがある状態でも会場に来てくださり、声を出せなくても手拍子で応援してくださる光景を目の当たりにした時に、考え方がガラッと変わりました。自分も楽しみ、お客さんも楽しみ、みんなでその空間を楽しむっていうふうに。声を出せないという、そのマイナスの部分が私の中ではものすごく大きなプラスに変換していきました。今回のツアーは声が出せる状況にまた戻ってきているので、より一体感が生まれるライブになるんじゃないかなと思うと、今からとても楽しみです。
この曲は、メロディーを最初から最後までアカペラで作っていった曲なんです。曲作りを始めた頃は、コードを全く知らなかったので、その作り方は初心に帰ったようで、自分のなかですごく新鮮味があって。最初は頑張っているサラリーマンやOLの方に向けて、「いくつからでも始められる!」という感じの歌詞だったんですけど、浜田さんから「中嶋さん自身のことを書いたらどうですか」というアドバイスをいただいたんです。それで自分たちの荷物を持って仲間たちと旅に出るというストーリーに変えたら、この曲がアルバムの1曲目に相応しい歌になりました。最後に「おーっ」と叫んでるところも、みんなで歌うというシチュエーションを想像しながら書いたので、今回のツアーで初めてのお披露目になるんですけど、一緒に歌ってくださったらもちろん嬉しいです!
私は、人に対してなかなか思いを伝えられなかったり、人の顔色を見て“この人が嫌な思いをしないように意見を言わなければいけないな”というような気持ちが日常の中ですごく渦まいているんですが、そうじゃなくてお客さんに対して、またCDを聴いてくださる方に対しても、私の心の中から出る歌を皆さんにお届けしたいという気持ちで、この歌詞を書きました。
確かに、そうですね。
あります。私が歌を書き始めたのは、自分が普段言えないことを授業中にノートに書き留めていたものを曲にしようと思ったのがきっかけで、今でもそれが根本にあるんですけど、皆さんも暮らしてて、「ふざけんな!」みたいなことって、そう思ってもなかなか直接言ったりできないと思うんです。でも、歌の中ではそれができるということに、私自身もすごく救われている部分がありますね。
そうですね、このアルバムの歌詞を書くにあたって、浜田さんからも「今回は中嶋さんが思うこと、感じること、つまり中嶋さん自身のことを書いたらどうですか」というアドバイスをいただきました。
歌詞を書くというのは、私にとってラストボスみたいなものなんです。
(笑)。私は本来、歌を歌うことが好きで、それで小さい頃から歌手を目指し始めて、自分の思いを曲に乗せて発信をしていこうと決めて歩んできたんですけれど、歌詞というのは自分が持ってるものをさらけ出すというところもあって、その部分でもう1歩踏み切れない感じが何度もありました。ただ、そういう中でも、ひとつ自分の中のスイッチが入ると、勝手に頭の中でその曲の主人公がストーリーを展開し出すっていう。その瞬間が来た時に“書いててよかった!”と思うんです。新しいものを生み出すというのはとても苦しいことですが、その感覚はすごく不思議なんですよ。ドラマみたいに、曲の始まりから最後までを全て頭の中で勝手に繰り広げてくれて、すらすら、すらすら書けるんです。それが面白いところですね。
あります! 本当まさに!
ものすごくあります。普段から自分のなかに“なんでこんなに涙が出てくるんだろう?”とか“何に対して怒っているんだろう?”というようなことがあるんですけれども、それを深掘りしていくのが歌詞を書くということなのかなと思います。そうですね、そこがすごい面白いところですね。
歌詞の中にも、生きるとはなんだろう、愛することとはなんだろう、守りたいものはなんだろう、そして人生の終わりの向こうはなんだろうと歌ってるように、誰もが日々毎日、その答えを探し求めながら生きていると思うんです。しかも、明日が来るかどうかもわからない、未来がどうなるかもわからないっていう漠然とした不安の中で。でも、私が最後にこの曲で行き着いたのは、そうではなくて、今というこの瞬間が一番大切で、自分にとって一番大事にしないといけない時間なんだなということでした。だから、今の積み重ねが明日や未来に繋がっていく、自分たちは常に新しい空の下にいるんだ、という思いをこの歌詞に込めました。
中嶋のライブに来てくださったことがある方も、初めての方も、帰る時には「なんかすごい楽しかったよね。また来ようね」と言っていただけるようなライブにしたいですよね。それそれの生活の中で、例えばちょっと疲れてるなと思いながら“だけど、今日ライブチケット買っちゃったから…”という方でも、“めっちゃ楽しみ!”という方でも、どなたが来ても最後には“楽しかった! なんか元気が出た”と思っていただけるライブにしたいと思ってます。
新しいミニアルバムの6曲も、ライブを重ねていくことによって、細かいアプローチの仕方が変わっていくと思うんですが、その結果として、『新しい空の下で』のベスト・オブ・ライブと言えるものが最後にできたらいいなと思います。ベースが入った4人編成になってから3回目のツアーということで、更にパワーアップしたサウンドをお届けしたいですし、会場に来てくだる皆さんとの一体感、そして自分の気持ちがよりステップアップしたことを感じられたらいいなと思います。