「ベストヒットUSA・DJナイト」いよいよ開催。小林克也がベストヒットUSAと本パーティを語る

インタビュー | 2018.11.13 17:00

12月1日、恵比寿ザ・ガーデンホールにて、「ベストヒットUSA presents 『小林克也・祝喜寿~ベストヒットUSA・DJナイト~』が開催される。日本の洋楽テレビ番組のオリジネイターとして、日本でMTVの放送が始まるよりも前、1981年に放送スタート、日本中の10代20代に多大な影響を与えた『ベストヒットUSA』は、一時的に番組が終了した時期や、放送局が変わった時期もあるが、2003年以降はBS朝日に固定、現在も支持を集めながら放送が続いている。
番組スタートから37年にして初めての開催となるこのイベントは、石野卓球、DJ KAORI、TOWA TEI、屋敷豪太の4人のDJたちが、同番組が始まった時代であり、日本でもっとも洋楽が広く聴かれた時代でもある80年代の曲を中心にプレイする、という趣旨。番組内の人気コーナー『スター・オブ・ザ・ウィーク』を小林克也が再現する、という企画もあるという。小林克也に訊いた。
──このイベントは、どのように企画が立ち上がったんでしょうか。

僕が今年喜寿で、番組サイドから「せっかくだから何かやりましょう」という提案があって。たとえばこの間は、番組のオフィシャルCDを発売したりとか、そういうことはやって来たんですけどね。だから、その一環みたいなものなんだけど、ただ、お客さんに参加してもらってイベントとして行うのは、初めてなので。今まで顔を見ることができなかったお客さんが集まって来る、というのは、僕にとっては特別なものがあります。お客さんに会える、というのがいちばんの楽しみですね。

イーグルスで踊る時代

──出演するDJみんな、10代の頃に『ベストヒットUSA』を夢中で観ていた世代ですよね。あ、屋敷豪太さんはちょっと上ですか。

でも、豪太さんもちょっと重なってるそうです。まあ、クラブ文化っていうのは、70年代のディスコの頃からずっとあるものですよね。僕もそこの出身で……1971年の終わりから、1976年までの5年間ぐらい、ディスコで皿回しをしていたんです。ただ、当時のDJは、今とはテイストが違うんですよね。その頃から80年代くらいまでは、「ディスコ・クラブ向けの音楽」っていうカテゴリー分けはなくて。とにかくダンサブルな音楽だったらなんでもいい、踊らせるのはDJの腕、という。選曲も、今なら考えられないような……たとえばママス&パパスの「カリフォルニア・ドリーミング」だとか、イーグルスだとかも平気でかかるような。大阪のディスコでは、みんな山下達郎で踊っていたし。ノンジャンルだったんですね、本当に。

──このイベント、生で『スター・オブ・ザ・ウィーク』もやるんですよね。これは出演者とトークショーを?

はい、そう考えてますね。

──小林さんの出番は、そこぐらいなんですか?

それは、打ち合わせがまだだからわかんないですけど、今のところは……僕は、さっき言ったように、昔やっていたから、DJも、やろうと思えばできるんですけど。ただ、僕らの時は──。

──しゃべるんですよね、曲の間に。

そう、しゃべりながらDJをやる。だから、今のDJとは違いますよね。

──我々は知らない世界ですから、体験してみたいですけどね。

そうですか。まあちょこっと愛嬌でやってみても、おもしろいかもな、とは思ってますけどね。

山下達郎『COME ALONG』秘話

──ぜひお願いします。というか、ここで言ってしまうと、やらないわけにはいかなくなりますけども。

(笑)。いや、でもあの頃はね、ほんとにノンジャンルで……その頃、1976年頃ね、山下達郎がまだあんまり売れてなかった時の、『COME ALONG』っていう作品があるんですけど。『RIDE ON TIME』でドカンと売れる直前。

──はい、曲間に小林さんのDJが入る企画アルバムですよね(※1980年・1984年にリリース。2017年にその2枚のリマスタリング盤が出る時、33年ぶりに『3』が発売された)。

あれは当時のディスコのスタイルで、ラジオの放送に近いような感じでやってみたらどうだろう? っていうアイディアだったんですね。当時、大阪にアメリカ村ができて、そこにディスコが乱立して。ほんとにみんな、イーグルスで踊るんですよ。山下達郎でも踊る。で、おもしろかったのが、同じ山下達郎で踊るのでも、ディスコによって曲の好みが全然違うんです。それに目をつけて、山下達郎が当時所属していたRCAレコードのスタッフが……その頃僕は、東芝だとかビクターだとかの、ディスコ音楽に強いレコード会社の、ディスコ・アルバムっていうのをよく作っていたんです。曲間にしゃべりを入れて。それ、みんな洋楽なんです。だけど、RCAのスタッフが、「克也さん、大阪でウケてる達郎の曲を、洋楽のディスコ・アルバムみたいな感じで作って、プロモーションで配りたいんです」と。それで『COME ALONG』を作ったんです。それをレコード会社が、タダで宣伝用で、ディスコとかに配っていたら、2万円とか3万円の値が付いて売り買いされるようになって。
それで、当時のスタッフの偉い人が、「そんな値段で取引されてんなら、カセットにして売っちゃえばいいじゃん」と。それでカセットで発売されたんです。あとからそういう話になって「え、売るの?」って言ったら、「ああ、悪いな。じゃあ払うわ」ってそこそこいいおカネをくれたんですね。「え、これもらいすぎじゃない?」とか言ってたら、そのカセット、40万本も売れて(笑)。カセットだけって話だったのがレコードも出ちゃったりして、それも大ヒットして。そのあと『COME ALONG 2』を出す時は、それなりのおカネをいただきましたけど。

──(笑)。

だからそれが、当時のディスコだったんですね。みんな『COME ALONG』『COME ALONG 2』で踊っていた。今はもっと、クラブによって、DJによって、ヒップホップ、EDM、レゲエって音楽のテイストが分かれているし、お客さんの好みも細分化されているでしょ。でもこの『ベストヒットUSA』のイベントは、昔のようにノンジャンルな音楽がかかる、“Get together”っていう感じの時間になると思います。そこも、とても楽しみなんですよね。

最初は「テレビの仕事は断っちゃえ」と言った

──あと少し『ベストヒットUSA』という番組自体についてもうかがいたいんですが。1981年に番組が始まる時……有名な話ですが、小林さんはあまり乗り気ではなかったという。

そうです。話が来た時に──うちのカミさんがマネージャーだったんですけど、僕は「断っちゃえ」って言ったんです。それまで何度かテレビの仕事、頼まれて司会で出たことがあったんですけど。テレビだと待ち時間が長くて1日かかる、僕はラジオばかりでそういうふうなペースで仕事してなかったから、「時間のムダだからやりたくない、断っといて」って言ったんです。そしたら、断ってなかったんです。ある日、FM東京のスタジオに行ったら、黒い服を来た人が5~6人来て、「こういうふうな番組なんですけど」って説明を始めて、「えっ、断ってなかったのか!」って気がついて(笑)。
しかたがないから始めたんですけど、最初はすぐ終わるだろうと思ってたんです。でも、始まって3ヵ月くらいの時かな、番組のスタッフの結婚式に行ったんですね。テレ朝の偉い人がふたりぐらいいて、あとビートきよしとかがいるテーブルで。そこでテレ朝の人に「小林くん、あの番組ね、続くよ」って言われて。「あれ、案外数字を稼いでて、我々もびっくりしてるんだよ」って。社長に近いぐらいの人がそんなこと言うもんだから、ちょっと本気に考えて、努力もするようになって。そうしたら……土曜日の夜の番組なんですけど、日曜日にレコード屋の売上が変わると。ゲストで出た人のレコードが売れるとか、そういう現象が起きるようになっていって。

──だって、MTVより早く始まったじゃないですか。当時、洋楽を映像で観られる番組なんて、たまにNHKがやる『ヤング・ミュージック・ショー』しかなかったですよね。

あとテレビは、『11 PM』で愛川欽也さんがやっていた……今野雄二さんが出ていてね、愛川さんが「ニューヨークではこんなものが流行ってんだね、コンちゃん」、今野さんが「ええ、これはトーキング・ヘッズというバンドで──」とか解説するんですけど。曲は1分も流れないんですよ。すぐ愛川さんが「これはおもしろいねえ」とかしゃべり始める。だから、『ベストヒットUSA』の話をもらった時も、テレビだからそういうふうなものしかやれないんだろう、と思ってたわけですよ。そしたら、そうじゃなくて……スタッフが言っていたのは「これからはビデオの時代です」と。これからは一般家庭にもビデオデッキが広まっていく、この番組の目的のひとつは、視聴者がビデオに録ることを予測して放送するんだ、という、新しい感じのことを言っていて。それはわかったんだけど、本当のところはよくわかってなかったんだよね。

──その番組がどんなにすさまじい影響力を持つことになるのか、というのは。

ええ、そういうことですよね。

「お客さん、1曲いかがですか?」の時代

──で、当初はワン&オンリーの番組だったですけど、MTVが開局して日本でも放送が始まり、洋楽のテレビ番組が増えていって。でもそこで『ベストヒットUSA』が必要とされなくなったかというと、そんなことはなかったじゃないですか。番組が終わっても局を変えて続いたし、今でも続いているし。

いや、でも、昔のような観られ方ではないですよね。今は映像なんて、YouTubeなんかで簡単に観れちゃうわけだけども……あの頃はね、僕のしゃべりが短いんです。30秒しゃべると長かったんです。80年代のあの頃は。みんな「ビデオを観たい!」っていうのがあったから、しゃべりは30秒以内に収める。15秒とか20秒かけてアーティストの説明をして、あとの5秒で、たとえば「今彼は××に夢中だそうです」みたいな下世話な情報なんかもちょこっと入れたりして。

──それがだんだん時代とともに──。

おしゃべりが長くなっていったんですね。ビデオはどこででも観られる、それよりもこの音楽に対してMCが何を言うかが、大事になっていったというか。

──で、今も『ベストヒットUSA』では、懐かしい音楽と最新の音楽、両方を紹介しておられますよね。

そうですね。まあ、予想ができる音楽も多いけれども、予想を裏切るものが出て来ると「おお、新しい音楽が出て来たなあ」と思いますしね。

──で、懐かしいものも紹介するというのは、実は番組の最初の頃から変わってないんですよね。『タイム・マシーン』っていう古い音楽を紹介するコーナー、ありましたもんね。

そうですね。だけど、80年代に、『タイム・マシーン』のコーナーで10年前のものを紹介しようと思っても、素材がなかったんですね。みんなMVとか作るようになる前だから。

──そう、だから、いつもレアな映像が流れてましたよね。

だから映像を探すの、苦労しました。ライブの映像とか、レコード会社の人間も、「うちの倉庫にあるかもわかんないから、来て探してよ」って言われて、スタッフが行ったりとか。で、「ピンク・フロイドのこんな映像が見つかりました」とか、「ユーライア・ヒープの日本武道館の映像がありました」とか。

──今の洋楽の状況、今の音楽の聴かれ方については、どのように捉えておられます? レコードの時代、CDの時代、データの時代、すべて現場で体験して来られたわけですが──。

ああ。まあでも、今こうなっているのは、あたりまえのことだなと思っていて。だって、時代の変化って、これが正しいとかこれは正しくないとか、そういうものではないじゃないですか。たとえば今は、ラジカセなんて知らない人がいっぱいいるわけですからね。それにつれて音楽の性質も変わってるし、アルバムなんて聴かれない時代に入っているし。僕ら、80年代の頃、「将来はすっごい変わるだろうなあ」っていう話はしていましたしね。

──あ、当時から?

はい。ただ、実際に見えて、自分の手の中で確かめることができるのは、たとえば楽器ひとつ抱えて「演奏しにまいりました、お客さん、1曲いかがですか?」っていうような。そういうお客さんとの関係は変わんないだろうな、ということは、よくしゃべってましたね。今、ミュージシャンみんな、ライブを中心に稼ぐようになったじゃないですか。それはまさにそういうことですよね。「お客さん、1曲いかがですか?」の時代ですよね。

小林克也よりコメント到着!

公演情報

ディスクガレージ公演

ベストヒットUSA presents
『小林克也・祝喜寿 ~ベストヒットUSA・DJナイト~』

2018年12月1日(土) 恵比寿ザ・ガーデンホール
16:30 開場 / 17:00 開演
チケット一般発売日:2018年10月20日(土)

出演:小林克也
<DJ> 石野卓球 / DJ KAORI / TOWA TEI / 屋敷豪太
※50音順
ベストヒットUSA

1981年のテレビ朝日での放送がスタートし、現在ではBS朝日の長寿番組としてお馴染みの「ベストヒットUSA」がお届けする初のオフィシャル・イベント!
今年、喜寿を迎えた小林克也を祝し、番組の大ファンを名乗る豪華アーティストたちが集結!
80年代洋楽を中心に、一夜限りのスペシャルDJパーティを開催します!
小林克也自らも登場し、番組の名物コーナー「スター・オブ・ザ・ウィーク」を、生でお届け!音楽ファン必見のイベントです。

※本公演は出演者の演奏によるLIVEはございません。
※都合により出演者が変更になる場合がございます。予め御了承ください。

INFORMATION

<小林克也・祝喜寿 ~ベストヒットUSA・DJナイト~>、 開催記念「非売品Tシャツ」プレゼント実施中!

【応募期間】
2018年11月8日(木)20:00~11月25日(日)23:59

TV

ベストヒットUSA

■BS朝日 毎週水曜 23:30~23:54放送

1981年テレビ朝日で始まった伝説の洋楽番組「ベストヒットUSA」は
2003年からBS朝日で復活!さらなる進化を遂げ、唯一無二の音楽番組として現在も放送中!
パーソナリティー/番組VJは、放送開始時から現在まで変わらず、小林克也。

  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

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  • 堀 清香

    撮影

    堀 清香

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