ビッケブランカが全曲に光を当てたニューアルバム『FATE』をリリース!作品&リリースツアーについて語る!

インタビュー | 2021.09.11 18:00

シティ・ポップのフォーマットあり、EDMマナーの曲あり、以前からのR&Bやソウルのフォーマットもあり、どまんなかなJ-POPもありのビッケブランカのニュー・アルバム『FATE』。
一作ごとにステップアップして来て、ツアーごとに会場のキャパも上がって来て、さあいよいよ本格的にブレイク、というタイミングで、世の中が新型コロナウイルス禍になってしまい、ライブ活動を阻まれたが、それ以降も停滞するどころか、人気も注目度もあきらかに上がっている。このDI:GA ONLINEにおける前回のインタビューは、2021年3月17日リリースのシングル「ポニーテイル」のリリース・タイミングだったが、記事がアップされた時のネット上でのリアクション、ちょっとびっくりするくらい、それ以前よりも大きかった。以下のインタビューは、その前回の記事と地続きで始まるので、未読の方は、できればそちらから始めていただけるとよいかと思います。こちらです

全曲に光を当てたニューアルバム『FATE』

──前回のビッケブランカの、このDI:GA ONLINEのインタビューは、「ポニーテイル」のリリースの時だったんですが。「もう根本から変わりました!」みたいな勢いで話しておられて。

はい。

──その新しい方向で進んで、このニュー・アルバム『FATE』ができたんでしょうか。

あ、アルバムは、表面上は、その新しい方向で進んでないように思えるかもしれませんけど、内面的には進んでる。歌詞の本質的なところは、「ポニーテイル」を書いたことで、違う扉が開き、それはアルバムの他の曲にも色濃く出てる。言葉の選び方とか。

──違う扉とは?

えーと……歌詞は、ひとつひねるのを、やめることができた。変にひねらない、変に言葉で遊びすぎない。遊ぶのが好きだから、そういう曲もありますけど、行きすぎないようにする感じは、他の曲にも出ていますね。

──制作はスムーズに進みました?

今回はほんとに、スケジュールがヤバかったんで……9月にアルバムっていうのは決まっていたんですけど、7月と8月にEPを出すっていう作戦を、急遽決めたので、一気に締切が早くなっちゃって。

──その作戦というのは?

アルバムの中にいい曲があっても、気づく人が気づいてくれるくらいで、世間が聴いてくれるのはリード曲だけになるよね、みたいな話をしていて。「それもう三回やってるよね。四回目なんだから、もうちょっと違うアイデアをやりましょうよ」って言って、出てきたのが、その「ホップ・ステップ・ジャンプ」型だった。7月に3曲フィーチャー、8月に3曲フィーチャー、9月にアルバム全曲フィーチャー、っていうのを、みんなで思いついて、やったんですよね。全曲に光を当てたかった、ってことですね。それで最初のリリースが7月頭になったんですけど、それを決めたのが、6月頭なんですよ。だからもう、ずっと作ってました、間に合わせるために。

──その結果、いいアルバムができたという自負はあるでしょ、今回。

そうですね。全曲が「俺、俺!」って言っている感じだし。「俺を聴いてよ、俺が主役だろ!」「いや、俺が主役だろ!」っていうふうになってる感じが、いいなあと思う。

夢醒めSunset MV Behind the Scenes DIGEST

夢醒めSunset MV

ずっとやり続ければ、「わかんない」から「おもしろい」に、全部ひっくり返る瞬間が来る

──今作も、ひとりのアーティストだとは思えない、曲のバリエーションの広さですが。

はい。

──というふうに作るのは、今回でやりきったかな、という感じはある??

やりきったかな、っていう感じはしていて。で、「やりきったと思います、そういうバリエーション豊かなのは」って、俺、毎アルバム終わりに言ってます。

──はははは!

「もう、こういうバリエーション多いのはいいっすわ」って。結局飽き性な性格からまだ抜け出せてないのかな、と思いますね。

「蒼天のヴァンパイア」MV

──それに対して、「散らかってて、何がやりたいのかわかんない」って言われることよりも、喜ばれることの方が多いはずだ、というのはあります?

僕はそう思いますし、最近はもう、「散らかってる」って言われなくなってきたんですよ。初期は……外部の人に言われてもあんまり意識しないんですけど、スタッフ・チーム内の宣伝の人とかに言われると、それは汲まなきゃいけないじゃないですか。でも最近は、それはそれでいい、聴く人はおもしろがってくれてる、っていうことを、僕よりもスタッフが感じてるんですよね。たとえば、スピッツの草野(マサムネ)さんが、ラジオで「この人、ひとりじゃないよね」って、おもしろがって曲をかけてくれたりとか。DREAMS COME TRUEの中村(正人)さんが、「ひとりじゃないよね」っていうことをトピックとして引き合いに出して、なおかつ曲も大好きだって、オンエアしてくれるとか。そういうのが何度もあったことによって、「散らかってることが、こいつのおもしろいところ」っていうふうに、一気に裏返ったんですよね。それはなんとなく予想してたというか。ずっとやり続ければ、「わかんない」から「おもしろい」に、全部ひっくり返る瞬間が来る。何か一個のきっかけで、全部の存在意義がひっくり返る、と思ってやってきたから。それは、レオナルド・ダ・ヴィンチの伝記を読んだからなんですけど。

──(笑)。はい、なんでもやる歴史上の人物。

地学、天文学、医学、音楽、いろんなことをやって、中期は「なんにもない」って言われてたんですよ、レオナルド・ダ・ヴィンチって。「結局何? こいつ」みたいな。でも、やり続けることで、晩年は、全部のレベルが高い、っていうことに気づかれて、天才っていう扱いになったんですよね。そのまわりの変化のしかた……ダ・ヴィンチがどういうつもりでやってたのかはわかんないですけど、最後までやり続けたっていうことは、それが飽きない方法だったんだろうし、それが自分のやりたいことだったんだろうし。それで僕も、もう充分なぐらいひっくり返ったかな、と思います、前回のアルバム『Devil』のタイミングで。あそこで、「なんでもやって、どれもいいね」っていう域まで、ようやく行けたのかな、っていう自覚はある。

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