レトロリロン、次世代ブレイク候補筆頭の彼らが示す新しきバンドの音と言葉

インタビュー | 2023.05.22 17:00

──方向性を決めるのは涼音くんだけど、音楽的な貢献は全員が平等。レトロリロンの仕組みがわかった気がします。そして今回リリースされるファーストEP『インナーダイアログ』は、結成3年の集大成と言っていいですか。
涼音僕からしたら、10年ぶんのいろんなものがようやく形になりました。高校1年生で活動を始めてから10年というキリがいい時に、初めて全国に自分の音源が置かれるのは、かなり感慨深いです。
──それぞれの、初EPに対する感想は?
永山このバンドでやってきたものを詰め込んだというか、自分で聴いていても好きな作品です。いろんなアレンジがあるからこそ、その時代のプレーを振り返れるというか、面白い作品だなと思います。
miriレトロリロンが伝えたいことが全部詰まったEP。歌詞もそうですけど、1枚通して聴いて心に残る作品になっていると思います。歌詞は重いと言うか、ダークなことも言ってるけど、いろんなサウンドに乗せて伝えられているのがこのバンドの魅力だと思うので。10代20代の若い子たちにも、30代40代の方にも、届きやすい形なのかなと思いますね。
飯沼さっき「初めはバラバラだった」と言ってましたけど、3年間かけてやっとポップスバンドになったな感はありますね。ポップスバンドとして、誕生一作目です。
──リード曲は「カウントダウン・ラグ」。こんなに若いバンドが、100年前からあるラグタイムのリズムを使って、こんなにフレッシュな曲を作るとは。いい意味で驚きました。
涼音ラグタイムの曲を作ろうという意識はなくて、みんなで話し合っていくうちに、勝手にそっちに進んでいきました。最初は「ディズニーランドみたいにしよう」とか言ってたんですけど。
miriデモを聴いた時に、アコギのリズムがディズニーの「カントリーベア」みたいな、ああいう感覚があって。ディキシーとか、そのへんの。
涼音ちゃんと聴くと、ラグとカントリーの中間というか、ベースもカントリーっぽく弾いてもらったりとか。それこそディズニーランドみたいに、エンタテインメントを詰めたかったんですよ。エンタテインメント性があるのが人生なのかな、と思ったので。

レトロリロン - カウントダウン・ラグ(Official Music Video)

──それは、歌詞の世界観ともすり合わせて?
涼音そうです。詞では暗いことしか言えないので、それをスッと受け取ってもらうには、この形が一番良かったのかもしれない。これがバラードとかだと…。
miri重すぎるかも。
涼音そういう意味で、メンバーが培ってきたものはたくさんあると思います。僕が「ディズニーランドで」と言っても、それをちゃんと音にできるんですよね。普通、そんなこと言われたら「え?」ってなるじゃないですか。そこで「ああ、ディズニーランドね」って、出てくる音が「そうそう、それ」っていう、謎のコミュニケーションができるので。
──バンドマジックですね。素晴らしい。
涼音クラシックを参考にしたり、クリスチャンミュージックだったり、本当にいろんなところから(アイディアを)持ってきています。日本の人たちにもっとちゃんと音楽を聴いてほしい、という気持ちがあるので。歌詞とは別に。
miri流行りの音楽というよりは、届けたい音楽を届けるというほうが強いです。
涼音だから、あんまり自分たちでバンドマンとは言わないです。音楽家といったほうがしっくりくる。表現者として、演奏家として、集まった感じなので。「バンドやろうぜ」って、集まってないんで。
永山その通りだね。音で表現しようという感覚はすごくある。
涼音それもあって、持ってる楽器もあんまりロック寄りにはならなかったんですよ。鍵盤とアコギと、ベースとドラムの組み合わせで、歪みは無しというバンドは、あんまりいないですよね、ロックは、気持ちの中にあればいいかなと。
miriそれが逆にロック。
涼音そこまで言うと恥ずかしい(笑)。でも、持ってる楽器とかではなくて、どういうふうに思っているかが大事なので。究極、miriがピアノを弾いて、みんなが踊ってもいいいし。
miriえ!?(笑)
涼音やらないけど(笑)。それで伝わるなら、それでもいいのかもしれない。何をしても。
miri音楽は自由ですから。
──「カウントダウン・ラグ」の歌詞は、涼音くんが日頃思っていることですか。「人生とは、階段を下りてゆくようなものだ」と。
涼音そうです。ちょうどレトロリロンを組んだ頃、コロナ禍で、高速バスが片道1500円ぐらいの時で、思い立った瞬間に一人で京都に行ったんです。貴船神社に行ったんですけど、鞍馬山を登って奥宮まで行って、帰りに山道を下りている時に思いついたのが、最初の着想でした。「人生って、階段を下りているんだな」って。
──若い世代なら、そこで「上る」という言い方をするのが普通ですよね。人生の目標に向かって。でも涼音くんにとってはそうじゃない。
涼音考えて思いついたというよりは、本当に階段を下りている時に、「人生は階段を下りるようなものだ」という感覚があったんです。神秘的な場所にいたからなのか、たまたまリンクして思ったのか、わからないですけど。コロナ禍で一人で京都に行って、自分と向き合う時間があったので、そこでポッと出てきたものだと思います。それが3年越しに曲になりました。忘れていたんですけどね、そんなことを考えていたことを。
──最後の一行は「自分だけのゴールにたどり着けばいいさ」。着地点はポジティブなメッセージだと受け取りました。
涼音どういうふうに受け取ってもらっても大丈夫です。僕の歌詞は、基本は自分の人生の中で起きたこと、感じたことを、ただ内向きに曲にしているだけなので、お客さんに何かを与えたいとか、救いたいとかはなくて、自分が救われたいだけなんですけど。そこでたまたま聴いてくれる人が増えて、共感してくれる人が増えて。それは3人のおかげで、僕の詞だけだと重いというか、すごく助かってます。僕の表現を、「届ける」という面で手助けしてくれるので。
永山お客さん的にも、押し付けてない感じが聴きやすいのかもしれない。
涼音歌詞は相当に、押し付けることもできる内容を歌っているので、そこは気を付けてはいます。

レトロリロン - Document(Official Music Video)

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